台湾のジャイアントは世界最大の自転車メーカーであり、ロードバイクはワールドチームに提供するほどの高グレードから、初心者の方の最初の一台に最適な機種まで、実に幅広いユーザー層に対応しています。
かつてはコスパばかりが評判になる時代もありましたが、多くのライダーに愛されている理由はもちろんそこだけではありません。
今回はそんなジャイアントのロードバイクを、インプレでの評判なども参考にしながらご紹介していきます。
世界最大の自転車メーカーと評判のジャイアントとは?
ジャイアントは1972年に台湾で創業されたメーカーで、多くの欧米メーカーのOEM生産で技術を積み上げてきました。
当初はOEM生産のみで年間に2000台も生産できない年もあったほどでしたが、アメリカ大手の「シュウイン」の生産に加わったことをきっかけに一気に評判が立ち、1980年に台湾で販売数NO1のメーカーになります。
その後はヨーロッパ、アメリカ、日本に現地法人を構え、世界最大の自転車メーカーへと成長していますが、現在も積極的に他メーカーのOEM生産に携わっています。
ロードバイクではのちほど詳しくお話ししますが、現在ではなくてはならない「スローピングスタイル」のフレームを開発しています。
また、カーボンフレームを自社で一から製造できる世界で唯一のメーカーでもあり、ここに技術の確かさとコスパの高さが表れています。
そして、近年はレースへの参加も積極的に行っており、1999年から2002年まではスペインの「Once」にバイクを供給し、3年連続でツール・ド・フランスのチーム総合優勝に貢献しています。
また、2018年のツール・ド・フランスでは、機材を提供しているドイツの「チーム・サンウェブ」の選手がステージ優勝を果たすなど、着実に結果を出し続けています。
ジャイアントのロードバイクの評判を高めたのはコスパの高さ!
ジャイアントのロードバイクの魅力は低価格で高性能、いわゆるコスパの高さで評判になってきました。
今ではスポーツバイクを手掛ける多くのメーカーがコスパ重視の機種を出してきているので、以前ほど独走状態ではありませんが、コスパが高いことに変わりはありません。
例えば、同じ価格帯で他メーカーとの比較をすれば、ジャイアントにはワングレード上のコンポが搭載されているというイメージになりますので、まだ優位に立っていると言えるでしょう。
これを実現できるのは、完成車に自社製のパーツを多く使用することがあげられ、そのパーツが単体で購入できることからも、その評判の良さがうかがえます。
ロードバイクでは近年、ほとんどの機種にクリンチャーとチューブレスタイヤを兼用できる「チューブレスレディ」のシステムを導入しており、高い対応力を見せています。
また、各国に法人を持っていることもお伝えしましたが、日本でも全国に30店舗以上の直営店があり、一括管理がしやすい販売網もコスパの高さに繋がっています。
ロードバイクのスタンダード「スローピングフレーム」はジャイアントが開発した!
冒頭でも触れましたが、ジャイアントのロードバイクの評判を高めた大きな要因の一つに「スローピングフレーム」があります。
それまでのロードバイクのフレームは、トップチューブが地面と平行で、前側の三角形が大きくなる「ホリゾンタルスタイル」でした。
これをジャイアントは、トップチューブをサドルに向かって斜めに下げて配することで、前側の三角を小さくして、軽量化と剛性のアップを実現させました。
また、重心が低くなることと、コンパクトになったことで重心が集中するので、反応がよく、コントロール性の高いフレームにすることができたのです。
開発当初は、前側の三角が小さくなることで衝撃吸収性がダウンして、全体的に硬くなるというデメリットが評判になりましたが、それもジャイアントの卓越した技術でバランス化をはかり、多くのライダーに認められることになります。
これにより、各メーカーもこぞってスローピングスタイルのフレームを製造し、レースでも次々と結果を残すこととなり、主流の座を獲得し今日に至ります。
ジャイアントのカーボンコンポジットフレームの評判
冒頭でもお話ししましたが、ジャイアントはカーボンフレームに相当なこだわりがあり、世界屈指の技術力があります。
長年に渡って自社で行ってきた素材からカーボンシートへの製造の技術と、トップライダーからのフィードバックも受けてフレームにまで仕上げる、カーボンコンポジット製法には、抜群の評判の高さがあります。
また、プロユースとアマチュアユースで味付けを変える、2種類のコンポジットフレームを展開しています。
一つは「アドバンスドSL」という上級グレードで、プロが過酷な条件でも力を発揮できる高弾性なフレームになっています。
そして、もう一つは「アドバンスド」で、軽量でありながらしなやかで衝撃吸収性も高く、アマチュアユースの様々な用途に対応するフレームです。
のちほどおすすめのロードバイクをご紹介しますが、価格帯別でも上手くこの2種類のフレームを使い分けており、ジャイアントの戦略の確かさが垣間見えます。
ジャイアントのロードバイクでコスパの高さが評判のモデル
それではここから、筆者おすすめのジャイアントのロードバイクをご紹介します。
【TCR ADVANCED 1 KOM】
・参考価格:¥255,000(税抜)
TCRはジャイアントがスポンサーを務めるチーム・サンウェブのメインバイクであり、2018年のツール・ド・フランスでは個人総合2位の選手がほとんどのステージを戦ったバイクでもあります。
総合レーシングバイクという位置づけで、軽量さと剛性のバランスを重視するモデルなので、レースのみならず幅広い用途に対応可能です。
こちらはミドルグレードですが、先ほどお話ししたワングレード上のコンポが搭載されているという評判を代表するような機種であり、この価格でシマノ・アルテグラのフルコンポは他のメーカーには中々見られません。
【PROPEL ADVANCED PRO 1】
・参考価格:¥400,000(税抜)
エアロロード「PROPEL」のミドルグレードで、カーボンコンポジットはアマチュアユースのアドバンスドになります。
エアロロードの本分であるスピードと剛性の高さを維持しながら、いかに扱いやすさを加味できるかがテーマとなっており、快適性も評判になっているモデルです。
こちらはフロント42mm、リア65mmのディープリムホイールが装備されており、このままレースの実戦に臨めるレベルです。
ジャイアントで最初の一台におすすめのロードバイク
前項に引き続きジャイアントのおすすめロードバイクをご紹介します。
【DEFY ADVANCED 2】
・参考価格:¥240,000(税抜)
DEFYシリーズは、乗り心地が良く、やや上体が起き気味のリラックスポジションで乗車できるエンデュランスモデルです。
ツーリングや通勤などに最適ですが、チーム・サンウェブが石畳コースなどのオフロードで実戦に投入するレースモデルでもあり、用途の幅広さが評判になっています。
ジャイアントの売りでもあるD型断面を持つシートポストやハンドルバーは、縦方向からの加重にはしなるため衝撃吸収性に優れ、横方向にはねじれずに高い剛性感を発揮します。
そのため、バランスの取れた優秀なロードバイクに仕上がっています。
こちらはシリーズの末弟モデルですが、上位グレードからの技術の踏襲が多く、コスパの高さは折り紙付きです。
【CONTEND 2】
・参考価格:¥84,000(税抜)
CONTENDはアルミフレーム専用モデルで、TCRとDEFYを融合させたオールラウンダーモデルです。
シャッキとしたアルミらしい乗り心地と、適度な剛性感のため扱いやすさもあり、最初のロードバイクに最適なモデルでもあります。
こちらはシリーズの末弟であり、ジャイアントのロードバイクの最廉価モデルですが、28cのタイヤに対応するクリアランスや、オーバードライブ規格のカーボンフォークなど上位グレード譲りの部分もあり、サブブレーキまで付属しているコスパの高いモデルです。
ジャイアントはコスパだけで世界最大まで昇りつめたわけではない!
何かにつけてコスパが評判になるジャイアントですが、改めて確認してみますと高い技術と確かな実績で名声を積み上げてきたことが分かります。
自社での一貫したカーボンの製造技術などは、ロードバイクの本場ヨーロッパでも中々難しいことであり、多くのメーカーのOEMを手掛けてきたからこそ成せる業です。
近年はロードレースでの活躍も目覚ましく、特にエアロロードのPROPELは世界最高の空力マシンという評価もある名機は、ぜひ一度体感していただきたいモデルです。