ビアンキ・オルトレがオールラウンダーに!インプレ評価は?

創業100年を超えるイタリアのビアンキは、日本ではクロスバイクやミニベロなどの街乗り車のイメージが強いかもしれません。

象徴でもあるチェレステカラーからもそういった印象が強いかと思いますが、世界最高峰のロードレースチームに機材を提供するサプライヤーですし、輝かしいレースの戦歴を持つメーカーです。

今回はその中でも、プロチームが代々メインバイクとしてきた「OLTRE(オルトレ)」について、ユーザーさんやテストドライバーのインプレ情報も参考にしながらご紹介します。

オルトレはビアンキのメインロードバイク

ビアンキは1885年にイタリアで創業した、現存する中では世界最古の自転車ブランドです。

老舗のヨーロッパブランドだけありロードレースとの関りは深く、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアの個人総合優勝者を複数排出しています。

また、上記2つのレースを同年に制す「ダブルツール」を初めて成し遂げたのも、ビアンキのロードバイクに乗る選手でした。

現在も世界最高峰のUCIワールドツアーに参戦するワールドチームの1つである「チーム・ユンボ・ヴィスマ」に機材を提供しており、2018年シーズンにはツール・ド・フランスで区間3勝を挙げるなど、活躍は続いています。

ちなみに、そのツール・ド・フランスでメインバイクであったのが「OLTRE(オルトレ) XR4」です。

近年はメインスポンサーになっていないこともあり、市場モデルの街乗り化などがインプレ情報に目立つようになっていましたが、この2018シーズンの活躍がレーシングブランド復活の予感をさせます。

とは言え、市場モデルの充実も素晴らしく、ロードバイクだけでなく、MTBやクロスバイク、ミニベロに至るまで、象徴であるチェレステカラーをまとった多彩なラインナップが目を引きます。

ビアンキのロードバイクのハイグレードモデル

今回はビアンキのオルトレをご紹介しますが、まずは全体像を把握していただくために、ロードバイクのラインナップを完成車の価格帯別にご紹介していきます。

なお、代表的なモデルとなりますので、全機種ではないことをご了承ください。

●100万円~

【Specialissima(スペシャリッシマ)】

オールラウンダーモデルの最高峰で、軽量さと剛性のバランスが抜群とのインプレ評価が多いです。

【Oltre XR4(オルトレ・XR4)】

エアロロードカテゴリーですが、チームの使用からもそうですが、2017年シーズンのモデルチェンジで、オールラウンダーにかじを切ったとも言われています。

●60~80万円

【Infinito CV Disc(インフィニート・カウンターヴェイル・ディスク)】

石畳レースを戦うためのエンデュランスモデルの最高峰で、独自の振動除去素材「カウンターヴェイル」が異次元の衝撃吸収性と路面追従性を生み出しています。

なお、カウンターヴェイルは新・オルトレにも使用されていますので、のちほど詳しくお伝えします。

インプレ情報での高評価が目立つビアンキのロードバイク

前項に引き続き、ビアンキのロードバイクを価格帯別にご紹介します。

●30~40万円

【Oltre XR3(オルトレ・XR3)】

オルトレのセカンドグレードで、素材と加工の過程を工夫して価格を抑えたモデルであり、インプレ情報からもコスパの高さが評価されているのが分かります。

セカンドグレードですが、XR4からの形状、技術の継承もされており、カウンターヴェイルももちろん採用されています。

【Aria(アリア)】

オルトレに次ぐエアロロードで、日本からのリクエストで開発されたモデルです。

オルトレがオールラウンド寄りになったことで、純粋なエアロロードとして注目されています。

●20~30万円

【Fenice(フェニーチェ)】

イタリアメーカーと言えばスチール製フレームが代名詞ですが、こちらはスカンジウム合金が使用されている軽量ロードバイクです。

●10~20万円

【Intenso(インテンソ)】

カーボンフレームの入門機的存在で、エンデュランスモデルに近い、力強さと衝撃吸収性があります。

【Impulso(インプルソ)】

アルミフレームのレーシングモデルで、溶接痕が全く目立たない、アルミとは思えないような美しいフォルムが特徴です。

【Via Nirone 7(ヴィアニローネ7)】

創業者が初めて開いたお店があった通りの名がつけられており、初心者向けモデルではありますが、ビアンキにとって欠かせない機種です。

試乗インプレでのオルトレの高評価はカウンターヴェイルによるところが大きい

それではここから、ビアンキのロードバイクのフラッグシップモデルでもある「オルトレ」をご紹介していきます。

価格帯別でもお伝えしましたが、オルトレはプロチームにも供給されているハイエンドモデルの「XR4」と、セカンドグレードの「XR3」があります。

オルトレは2010年にデビューをしており、その後はあまりコンセプトを変えることなく、ピュアなエアロロードとして突き進んできました。

しかし、2017年シーズンのモデルチェンジで大幅な改革が行われ、先ほども触れました「Countervail(カウンターヴェイル)」を使用したことで、石畳コースにも適応するようなモデルに生まれ変わりました。

あのNASAでも使用された実績のある素材メーカーとの共同開発で生まれた振動除去素材で、実に従来品の80%以上の振動を除去すると言われています。

また、カウンターヴェイルは粘弾性が強く、一般的なカーボンに比べますとしなやかですので、剛性が適度になり、強度も増しています。

テストライダーの試乗インプレ情報に衝撃吸収性と共に、推進力や路面を常にがっちり捉えて車体を安定させてくれるという、追従性の高さが評価されているのも、カウンターヴェイルの恩恵と言えるでしょう。

新・オルトレの空力性能の停滞を気にする事前インプレ評価は杞憂に終わった!

ビアンキのオルトレですが、モデルチェンジの発表直後は、エアロロードにはあまり重要視されてこなかった、衝撃吸収性や乗り心地が加味されたことで、肝心の空力性能や剛性が停滞するのではないかというインプレ情報もありました。

しかし、新・オルトレは、独自の風洞実験や、フレーム本体の空気の流れを目視できるシステム「フロービジュアライゼーション」を用いて、空力性能も向上させています。

また、エアロロードの特徴ともいえる横に平べったい形状のチューブもありつつ、シートステイやチェーンステイを太く縦に扁平させて、カウンターヴェイルでしなやかになった分の剛性を補っています。

さらに、ヘッド周りが大口径なため、剛性が高くなりすぎるのを抑えるために細身でストレートな形状だったフロントフォークは、空力性能を意識して横方向に厚みを出し、外側に膨らむようにカーブする形状になりました。

その他にも、フォーククラウンとダウンチューブが一体化していたり、ヘッドカバーがトップチューブに沿った専用の形状になっていたりと、細かい部分にも空力性能向上を目指す配慮が表れています。

ビアンキ・オルトレの完成車ラインナップ

ビアンキは1つの機種に様々なパーツを組み合わせいくつもの完成車を提供しており、オルトレもその例外ではありませんので、最後にいくつかご紹介します。

【Oltre XR4 Sram Red E-tap】

・参考価格:¥1,380,000(税抜)

世界初の無線式電動変速コンポである、SRAMの「eTAP」が採用された完成車です。

最近のロードバイクはチューブの中にシフトやブレーキのケーブルを通しますので、取り回しや整備に少々苦労する面があります。

しかし、ケーブルすらないeTAPはロードバイクの理想ともされますし、小さな部分でも空力性能にこだわるオルトレには、ベストパートナーの可能性も十分です。

【Oltre XR3 Disc Shimano 105 Disc Brake】

・参考価格:¥358,000(税抜)

従来のエアロディスクブレーキロードは、剛性が高すぎて硬い印象があったのですが、カウンターヴェイルの恩恵でしなやかになったオルトレなら、むしろ操作性に勝るディスクブレーキの方が相性としては上かとも思います。

しかも、こちらは2019シーズンのモデルチェンジで、空力性能が意識されたシマノ新・105「R7000」との組み合わせですので、インプレ情報でも期待の声が上がっています。

オルトレはオールラウンダーなエアロロード

オルトレはビアンキを代表するロードバイクであり、機材を供給しているプロチームではメインバイクとして扱われています。

エアロロードでありながら振動除去や衝撃吸収性に優れ、扱いやすさや乗り心地も加味され、オールラウンドに活躍してくれるモデルになっています。

完成車のラインナップも多いですが、XR4にはフレームセットもありますので、パーツを組み合わせて自分だけの一台を作り出すことも可能です。