ロードバイクは多かれ少なかれ毎年のようにリニューアルがされますし、ニューモデルも出るので、非常にサイクルが早くなっています。
しかし、ユーザーからすればそのサイクルに付き合って毎回買い替えるようなものではありませんので、現在はないモデルに乗っている方も多いはずです。
giantの「ocr3」などもその一つで、手に入れやすい価格でしたので人気があったと記憶しています。
今回は、giantの「ocr3」を振り返ってみましょう。
giantのロードバイク「ocr3」とは
giantのロードバイク「ocr3」はホームページのアーカイブで確認する限りでは、2008年がラインナップ最終年だったようです。
7.5万円(税抜き)という価格からして、エントリーグレードであったことは間違いなく、スペックからもそれが伺えます。
コンポの「SHIMANO 2200」は現在のクラリスの前身で、スプロケットやブレーキがセットに含まれていません。
そのため、ocr3もスプロケットはスラム製、ブレーキはテクトロ製が採用されています。
今でも、giantの完成車にはこの組み合わせが見られますが、改めて振り返ってみるとこういった経緯があるのかと納得します。
現在はエントリーモデルでもあまり見られないフロントギア3速、リア8速のモデルで、24段変速というレアな仕様になっていました。
ジオメトリは上体を起こして楽な姿勢で乗れるような、今で言う「エンデュランスモデル」で、タイヤも26cという太めのタイヤが装備されています。
ハンドルの水平部分には「サブブレーキレバー」も装備されており、扱いやすさと乗り心地のよさが重視されているモデルであったと思われます。
「ocr」シリーズはgiantのエンデュランスロードバイクの礎
giantのロードバイク「ocr3」は、ocrシリーズの中の一台です。
現在(2018年)も定番のレースモデルとして残っている「tcr」に対して、ツーリングなどの長距離や、通勤・通学にも使えるモデルが「ocr」でした。
2008年が最終年度とお伝えしましたが、2009年にocrの設計・素材を受け継ぐ形で登場したのが「defy(デファイ)」シリーズです。
現在でも、カーボンフレームの「エンデュランスモデル」として人気のシリーズです。
中でも「defy3」がスペック面ではocr3の後継機になります。
また、ocr3と比べるとフレーム素材が少しグレードアップしており、価格が上がっています。
このことからも分かると思いますが、ocrシリーズは現在のエンデュランスモデルの基礎となったものです。
現在giantは、エンデュランスモデルをさらに細分化しており、カーボンフレームがdefy、アルミフレームが「contend(コンテンド)」シリーズとなっています。
giantのocr3のコンセプトは今もなお受け継がれている
現在のgiantでocr3の流れを汲んでいるのは、「contend 2」です。
前項でもお伝えしましたが、アルミフレームのエンデュランスモデルとしての位置付けである、コンテンドシリーズの最廉価ロードバイクです。
フロントギアは2速になりましたが、その分リアにクロスバイク並みの軽いギアを配備しています。
コンポはシマノ・クラリス、もちろんサブブレーキレバーも健在です。
ジオメトリを見るとocr3に比べるとやや前傾姿勢が深めにはなっていますが、ocr3がロードバイクとしてはかなり楽な設定だったので、このくらいが適度でしょう。
また、近年giantは完成車に「チューブレスタイヤ」を装着しているのが増えています。
チューブレス自体、メリットはありますが少し扱いづらいところもあります。
その点で、contend 2は従来の「クリンチャー」タイヤですので、初心者の方にも扱いやすいです。
価格も8万円でキープされており、最終年から約10年経過した現在もコンセプトがしっかり守られています。
今でこそ10万円以下のロードバイクも珍しくはないですが、当時から変わらず提供されているのがさすがに「コスパのgiant」といったところです。
giantの技術力であればフレームはそう簡単にヘタらない!
giantのocr3のお話をしていますが、さすがに10年以上が経過しているだけあり、中古品市場でも中々存在を確認することが難しくなってきました。
しかし、もし幸運にも見つけることができた場合には、一考する価値があるかもしれません。
giantほどの技術力であれば10年くらいでは、フレームが根本からダメになっているとは思えません。
外見は塗装が剥げていたり、キズや汚れが多少目立っていたとしても、チューブ(パイプ)自体はまだまだ健在である可能性があります。
また、付属しているパーツですが、これはいくらでも交換が可能です。
ロードバイクは徐々にパーツをカスタマイズして、自分なりの一台に仕上げていくのが楽しみの一つです。
その観点からすれば、中古品はパーツのレベルはさほど気にしなくてもよく、交換を前提に考えることができます。
2018年4月の情報ですが、ネット通販大手「楽天市場」でocrの2008年モデルの中古品が4万円弱で販売されていました。
また、オークションサイトでは、2万円で落札されていた形跡がありました。
ocr3のような中古ロードバイクの活用法
前項でお話した中古品は記事を書いている時点での情報なので、現在はあるかどうかは不明です。
しかし、10年以上前のモデルでも、かろうじてまだ中古市場に出てくるということですから、giantの自転車自体長持ちするという証拠です。
ロードバイクの熟練者にもなってくると、捨てずに所持しているパーツが完成車を一台組めるほど余っているなんてこともあるでしょう。
そういった際にocr3のような中古品を使用すれば、その余ったパーツを活かせる可能性があります。
特にgiantのocr3は街乗りとして活用できますから、セカンドカーとして最適と思われます。
これは、ある程度ロードバイクに慣れていて、パーツの交換やメンテナンスが自力でできるというのが前提ですので、初心者の方におすすめできる話ではありません。
しかし、こういった古い機体でも活かしどころがあるということは、覚えておきたいですね。
giantのocr3が2011年シーズンに復活した
先述しましたが、giantのocr3を始めとするocrシリーズはdefyの登場により、消滅しました。
しかし、2011年にワンシーズン限定で、1モデルのみですが復活をしています。
すっかり定着してきたdefyとの差を明確にするべくさらに価格を下げ、6.6万円というロードバイクとしては破格の安値で登場しました。
コンポが一世代リニューアルしたのでスプロケットがシマノ製に変更され、フロントギアが2速になりましたが、それ以外はocr3とほぼ変わりません。
しかし、特筆すべきはジオメトリで、今時ではクロスバイクにもない、完全アップライド(上体が起きた)な乗車姿勢になる形状です。
アップライドになり過ぎるとサドルに重心がかかってお尻の痛みに繋がりますが、しっかりサドルにクッション性を出しているのがさすがgiantというところです。
筆者がクロスバイクを購入しようとしていた時期に、ショップの方にocr2011モデルをおすすめされたのを覚えています。
こちらに関しても中古市場で見かけることは少ないですが、その特異なジオメトリからして貴重な存在であることは間違いありませんので、街乗り志向の強い方は一考の価値ありです。
ocr3はgiantのエンデュランスモデルの走り!
今回は、giantのロードバイクocr3のお話をしました。
2011年にワンシーズンのみの復活はしていますが、ocr3としては2008年にその使命を終えています。
「defy」や「contend」など、現在のエンデュランスモデルの礎になった貴重な存在でありました。
そういった意味でも活かしどころのあるフレームではないかと思いますので、パーツが余っている方などは、セカンドカーとしてご一考ください。