イタリアの「bianchi」は、現存する世界最古の自転車メーカーです。
伝統を感じさせる一方、常に革新を求める姿勢で、次々に斬新なバイクを誕生させています。
その中で、クロスバイクは少し物足りないという評判もありますが、実際にはどうなのか検証してみましょう。
bianchiのスポーツ自転車の評判
bianchiのスポーツ自転車は、ロードバイク、MTB、クロスバイク、ミニベロの4つのカテゴリーが中心となります。
中でもロードバイクは、プロチームに提供されている、100万円を軽く超えるようなフラッグシップモデル。
そして、10万円台前半のエントリーモデルまで、実に幅広いユーザーから評判になる機種が多いです。
MTBもプロ使用のクロスカントリーモデルから、クロスバイク並みの価格で街乗りにも最適と思えるモデルまで揃っています。
ミニベロはbianchiが昔から力を注いでいるだけあり、ママチャリ風から、ドロップハンドルのロードバイクタイプまで、渾身の全8種類が揃います。
種類が多ければ良いというものではありませんが、決して同じようなものばかりが並んでいるわけではありません。
しかし、クロスバイクは2018年より、残念ながら僅か2シリーズ6機種のみのラインナップになりました。
そして、今ひとつ評判もパッとしませんが、それはなぜなのかを考えていきます。
昔ながらのクロスバイクは受けないのか?
bianchiのクロスバイクは、MTB寄りの性格の「CAMALEONTE(カメレオンテ)」シリーズと、ロードバイクに近い「ROMA(ローマ)」シリーズになります。
カメレオンテには、電動アシスト付きである【CAMALEONTE E】が含まれます。
前輪にモーターが付いているので、自転車としては珍しい両輪駆動になります。
ヨーロッパでは何種類か販売されている電動アシスト付きですが、日本では現在これが唯一のラインナップです。
これに関しては例外とも言えるので良いとして、問題はカメレオンテシリーズが2018年より大幅に減り、ノーマルタイプはわずか1種類になってしまったことです。
カメレオンテは、肉厚なチューブでがっちりとした安定感があり、昔ながらのクロスバイクという出で立ちで評判も良かった機種です。
しかし、近年はどちらかと言うとクロスバイクにもスピード化の波が押し寄せており、時代の流れに淘汰されてしまったということでしょう。
しかも、bianchiはMTBにクロスバイク的な用途で使えそうな機種がありますので、そちらとの兼ね合いもあります。
bianchi「カメレオンテ」の評判は上々
bianchiのクロスバイクを確認していますが、1種類になってしまったとはいえ、カメレオンテの評判は現在も悪くありません。
【CAMALEONTE 1】(6.9万円)はどこを飾るわけでもなく、武骨なまでの太くて肉厚のチューブに、フロント3速りア8速の典型的なクロスバイクです。
32cのタイヤやワイドレシオなギア構成は、多少の悪路や坂道が想定される街乗りにも最適で、安定感は抜群です。
確かにスピードの要素は薄いですが、それでもママチャリ然としたところは一切ありませんし、スポーツライクな走りも楽しめます。
まとめて表現するなら、カメレオンテはクロスバイクとしての必要十分な要素が備わっているということです。
組みわされているパーツやコンポは、お世辞にもグレードが高いとは言えません。
しかし、個人的な意見ですが、レース仕様でもない限りクロスバイクは相応のパーツで十分だと考えています。
走りの質を求めるのならロードバイクですし、本格的に悪路を極めるならMTBです。
街乗りのクロスバイクには、安定感と操作性の高さ、そして適度なスピードがあれば十分ではないでしょうか。
それを必要十分なレベルで兼ね備えているのが、カメレオンテということになります。
bianchiのクロスバイクの雄「ローマ」シリーズ
bianchiのクロスバイクもう一シリーズは、「ROMA(ローマ)」です。
カメレオンテとの大きな違いは、見ただけですぐに分かる細身のスタイルです。
いかにもスピード系のクロスバイクという感じで、反応が良くシャキッとした乗り心地との評判です。
ローマシリーズには、ディスクブレーキ搭載モデルが3種、Vブレーキモデルが1種類となっています。
ディスクブレーキモデルは全てフロント2速で、シマノのロードバイク用コンポを搭載しています。
リア10速ティアグラ搭載の【ROMA】(11.8万円)、9速ソラが【ROMA 2】(10.8万円)。
8速クラリスが【ROMA 3】(9.8万円)、そしてVブレーキモデルが【ROMA 4】(7万円)となります。
ディスクブレーキモデルもVブレーキモデルも、フレームのジオメトリは全く同じですので、グレード差はコンポとパーツの差と考えて良いでしょう。
また、ローマシリーズの大きな特徴として、ホイールのサイドがbianchiのイメージカラーである「チェレステ」カラーに塗られています。
実は、これが賛否両論大きく分かれる原因ともなっています。
bianchiのローマシリーズ~ディスクブレーキモデルの評判は?
先ほど「街乗りのクロスバイクには、安定感と操作性の高さ、そして適度なスピードがあれば十分」で、カメレオンテはそれを「必要十分」なレベルで兼ね備えているという話をしました。
その意味では、Vブレーキモデルの「ローマ4」は、必要十分なクロスバイクと言えます。
こちらも特筆するべきパーツやコンポは搭載していませんが、価格とのバランスは上手く取れています。
むしろ、この価格帯のクロスバイクで、ドライブトレインをほぼシマノ製で統一しているのは、コスパが高いとすら感じます。
しかし、問題はその他のbianchiローマシリーズです。
これは当初から評判にもなっていましたが、ディスクブレーキの必要性が議題に上がっています。
強い制動力と天候に左右されない安定感がメリットですが、クロスバイクに「それほどシビアな環境で乗ることがあるのかと?」いう疑問が残ります。
また、ロードバイク用コンポのフルセットが、クロスバイクに必要かという疑問もあります。
そのため、あくまでも個人的見解ですが、このクラスのクロスバイクにしては「必要十分」ではなく、「必要余分」に思えるのです。
同じリア8速のローマ3とローマ4は、価格差にして2.8万円ですが、これがディスクブレーキとコンポの差だとすれば私は迷うことなく4を選びます。
しかも4には、ホイールがチェレステに塗られていない、「Matt Military Green」というボディカラーもあります。
ホイールまでチェレステじゃなくても良いという人が、このボディカラーを選んでいると聞きます。
クロスバイクの用途に適応するロードやMTBもある
ここまでの話をまとめますと、「カメレオンテ1」や「ローマ4」など、エントリーグレードのクロスバイクの評判は上々です。
しかし、ディスクブレーキ搭載モデルに対する評判は芳しくなく、むしろ厳しい評価が多いと感じます。
bianchiにはMTBやロードバイクに、ローマシリーズに匹敵するくらいの街乗り仕様車があります。
例えば、MTBの【KUMA(クマ)】シリーズのディスクブレーキモデルは3種類ありますが、全てローマシリーズ(4を除く)よりも安価です。
本来の目的であるオフロードはもちろん、街乗りとしても十分に機能する構成になっています。
また、ロードバイクのエントリーグレードである【VIA NIRONE7(ヴィアニローネ7)】にも、ローマと同じティアグラ搭載車があります。
ディスクブレーキは装備されていませんが、ロードバイクの中では楽な姿勢で乗れるジオメトリです。
しかも、振動吸収性に長けた「ケルバー繊維」がフロントフォークに挿入されているので、多少の悪路ならどんと来いです。
価格はローマよりも2万円ほど高価ですが、用途の広がりを考えればむしろ安いくらいです。
このように、他のカテゴリーにもライバルがいるのがローマシリーズの現状であり、良い評判が上がってこない原因の1つになっているのでしょう。
bianchiのクロスバイクはエントリーグレードがおすすめ
今回はbianchiのクロスバイクについて考えてみました。
カメレオンテとローマのエントリーグレードについては、バランス良くまとまった良い機種だと思います。
しかし、ローマシリーズのディスクブレーキモデルは少し疑問が残ります。
それを選ぶなら、別のカテゴリーに多くの選択肢があるということですね。