イタリアの老舗「ビアンキ」は、「チェレステカラー」に代表されるオシャレなイメージが定着しており、女性にも人気のあるブランドです。
現在は明確に「女性用」としているモデルはありませんが、女性人気が高いのは相変わらずです。
特に街乗りのクロスバイクは人気が高いと聞いていますが、欧州メーカーは小さめのサイズが少ないので、女性には少し気掛かりです。
そこで今回は、女性のためのクロスバイク選びを考えてみます。
ビアンキのクロスバイクに「女性用」はない!
ビアンキは2017年シーズンまで、「ダーマ・ビアンカ」という女性用のモデルを展開していました。
主にロードバイクの扱いだったので、当初よりクロスバイクは見当たりませんでしたが、2018年からはロードバイクも消滅しました。
販売が低調であったと考えるのが妥当でしょうが、ビアンキの女性人気を考えると腑に落ちない所もあります。
しかし、ユニセックス(男女兼用)モデルと大きな差がないとの声が多かったと聞いています。
エントリーモデルのロングセラーである「ヴィアニローネ7」には、ユニセックスも女性用モデルもありました。
それならば調べてみたいと思い、ホームページで2017年モデルを確認したところ、確かに大きな差は感じられませんでした。(価格は同じ)
サイズは小さい方は同じで、女性用には大きいサイズがありませんでした。
また、フレームサイズごとのジオメトリの数値は、寸分たがわず全く同じです。
そのため、細かい形状の違いはあるかもしれませんが、サイズ感は全く変わらないと判断出来ます。
唯一目に見える違いはサドルで、同じメーカーのものですが、女性用には幅の広い専用モデルが装備されています。
女性は男性に比べ骨盤が大きいので、これはどの女性用モデルでも当たり前に行われている配慮です。
女性用のクロスバイクとは?①
前項でビアンキの女性用モデルとユニセックスモデルを比較して思ったのは、正直これなら「女性用」と銘打つ意味がないなということです。
そもそも、「女性用」とされているクロスバイクやロードバイクは、どういったものなのでしょうか?
★サイズが小さめ
これは日本人でも平均身長で10cm以上女性の方が小柄ですから、至極当然の話です。
しかし、前項で取り上げたビアンキのロードバイクのように、ユニセックスモデルよりも小さいサイズがないのであれば、何のための「女性用?」という疑問が生じます。
★色使いが女性向き
これも女性用のスポーツ自転車の場合、良く言われることです。
しかし、パステルカラーを好む男性はいませんか?
ピンクのロードバイクで、レースに参戦している男性がたくさんいますよ。
黒一色のクロスバイクに乗っている女性を見たことありませんか?(私はあります)
色は個人の好みによるところが大きく、男女ですみ分けるのはいささか時代遅れではないでしょうか?
女性用のクロスバイクとは?②
引き続き、女性用と言われるクロスバイクやロードバイクの特徴について考えていきます。
★パーツ類
サドルはビアンキの例でも触れた通りですが、他にもハンドルの幅やステムの長さなどを変えているメーカーが見られます。
また、非力な女性に考慮して、軽いギア構成になっています。
ここはハッキリとした違いが見えるところなので、女性用と明確に判断できる材料ですね。
★フレーム形状
女性専用モデルの謳い文句を見ると、「女性に配慮したフレーム設計」のように、抽象的な表現をされている場合が多いです。
そのため、何が女性用なのかはわかりかねます。
ただ、女性は身長との対比で男性より手足が長い傾向にあるので、同じくらいの身長なら女性の方が大きめでも乗れてしまうこともあります。
また、特にクロスバイクはロードバイクほどポジションがシビアではないので、極端に大きくなければそれほど気にならないはずです。
ビアンキのクロスバイクの適応身長は?
女性用モデルの特徴を確認してみましたが、個人的には特に女性用にこだわる必要はないと考えています。
ただし、サイズだけは、合わないものに乗り続ける苦しさを味わっていただきたくないので、しっかりと確認しておきましょう。
スポーツ自転車のサイズはフレームの大きさですが、それに合わせて「適応身長」が示されています。
しかし、ビアンキは適応身長を出していませんので、ここは他のメーカーのものを参考にします。
スポーツ自転車では世界一の販売台数を誇る台湾の「giant(ジャイアント)」のサイズ表の適応身長を、ビアンキのクロスバイクにあてはめてみます。
ジャイアントの女性用モデル「Liv」の【ESCAPE R3 W】にはシートチューブ長350mmという、極小サイズが用意されています。
ビアンキのクロスバイクで最も小さなサイズは430mmですので、アジアとヨーロッパのサイズ差を感じます。
そして、このビアンキの最少サイズをジャイアントの適応身長に当てはめると、158cm~175cmとなります。
あくまでも目安なので幅があるのは了承いただくとしても、日本人の成人女性の平均身長でギリギリといったところです。
クロスバイクで重要なのはトップチューブ
「シートチューブ」はサドルを支持しているシートポストの下から、クランクの付け根までのチューブです。
そのため、ここの長さをサイズにしているということは、クロスバイクの高さを表していることになります。
しかし、高さであればサドルのシートポストで調整ができるので、ある程度までは融通が利きます。
それ以上にサイズ選びで注意していただきたいのは、サドルとハンドルの距離です。
スポーツ自転車はハンドルよりもサドルの方が高い位置にありますので、乗車時の基本姿勢は前傾になります。
そこから、さらに前傾姿勢が深くなるかどうかが決まるのがサドルとハンドルの距離で、それを示すのが「トップチューブ」の長さです。
トップチューブは、フレーム上端のハンドルからサドルに向かって、横に掛かっているチューブのことです。
ビアンキのクロスバイクで、最少サイズ430のトップチューブ長は520mmとなっています。
これは、ジャイアントの女性用モデルのサイズ表の、400サイズのトップチューブと同じ長さです。
そして、400サイズの適応身長は155~170cmとなっていますので、トップチューブ長だけの観点から見ると何とか適応可能と考えられます。
ビアンキのクロスバイクは大きめ!でも諦めてはいけない
前項までビアンキとジャイアントのクロスバイクのサイズ比較をしましたが、ビアンキは少しサイズが大きめと言えます。
今回は女性用のクロスバイクという焦点で進めていますが、サイズの話はあくまでも女性の平均身長から見てのことです。
仮に身長170cmの方であれば、性別に関係なくサイズ選びにさほど苦労することはないでしょう。
しかし、前項でお話したように身長が150cm台の方でも、ビアンキのクロスバイクが適応する可能性はあります。
トップチューブ長の520mmは、机上の数字だけを見れば少し長めに映ります。
ただ、体型には個人差がありますので、実際にまたがってみなければ判断できないのが正直なところです。
クロスバイクの選び方は、ショップで実際に乗ってみて、乗車姿勢を見てもらいながらフィッテイングしていくものです。
以前に私の知り合いの女性(身長152cmくらい)が、クロスバイクを購入しようとしたときに店員さんに「合うサイズがない」と言われたそうです。
そのときは諦めて帰ってしまったらしいのですが、後日また違うお店に出向き、今度はあきらめずに試乗までさせてもらったところ、見事にフィットして購入に至りました。
その女性は、今でもそのクロスバイクに乗っています。
このような例もありますので、あきらめずに探してみることも重要ですね。
ユニセックスモデルは男性専用ではない!
今回は女性用のクロスバイクをテーマに考えました。
ビアンキに女性用モデルはないですが、そもそもユニセックスモデルは男女兼用という意味ですから、決して男性専用ではありません。
問題になるのはサイズだけなので、これは女性に限らず平均よりも小柄な男性にもあてはまる話です。
ですから、ビアンキが良いと思ったら諦める必要はないので、どんどん試乗してみるべきなのです。