シマノのアルミクリンチャー用のホイールですが、rs20と聞くと少し懐かしい感じがしますね。
というのも、rs20は8・9・10速用のホイールであり、後継の11速モデルrs21が発売されて久しいために、現在新品を目にする機会は皆無に近いからです。
そこで今回はrs21も含めて、このモデルを紹介していきます。
ホイールにおける○速対応とは?
現在、市販されているロードバイクのホイールは、ほぼすべてが11速対応です。
エントリーグレードの8速・9速の完成車で、購入前にスペックを見てもホイールの素性が分からず、後で気付いたら11速対応ではなかったということはあります。
rs20は、シマノのコンポ最上位グレードの「デュラエース」が、まだ11速化されていない時代のホイールです。
11速のコンポがなかったわけですから、もちろん11速対応ではありません。
ところで、11速とか8・9速というのは何のことだろうと、疑問を持っている方もいらっしゃると思いますので、説明しておきます。
これはリアのギア数のことで、ホイールに取り付けられているカセットスプロケットの枚数とも言い換えられます。
スプロケットは、ホイール中央のハブという部分に取り付けられます。
厳密に言うと、正面から見て右側に付属しているフリーボディに装着しますが、この幅によって取り付けられるスプロケットの枚数が違ってきます。
そのため、リア11速のホイールというのは、11速用のスプロケットが装着できるだけの幅がフリーボディに確保されているということです。
ホイールは軽さと価格が比例する
シマノのrs20はエントリーグレードなので、完成車では10万円以下の初心者向けロードバイクに付属していたと思われます。
正式にはもう分かりませんが、重量は前後計で1800g前後ですから、エントリーグレードとしても少し重めかもしれません。
しかし、どこのメーカーだか分からない2000gを超えるような、通称「鉄下駄」と一緒にしてはかわいそうです。
ホイールはグレードが高くなるにつれて、軽量になっていきます。
現在のシマノのアルミクリンチャーの最高峰はデュラエースグレードですが、重量は1400gを切っています。
rs20(rs21)よりも400g以上軽量かつ、価格は10万円以上高くなります。
この2つのホイールが、同じ土俵の上で語られることはまずあり得ませんが、ロードバイクのホイールの世界が少し垣間見えるような縮図ですね。
また、シマノが特に顕著というわけではなく、全てのメーカーがこのような傾向です。
シマノ・rs20のインプレ
シマノ・rs20の発売当初のインプレを見てみると、賛否両論入り乱れるという感じです。
あくまでも完成車に付属している「おまけ」であって、グレードアップ用に検討するようなものじゃない…。
rs20で満足なら、もう1グレード下のr500で十分などの辛辣な意見。
一方で、鉄下駄と比べれば走りがだいぶ軽くなったや、乗り心地の良さはr500とは、比べものにならないなどの肯定的意見。
低価格なので、遠慮なく言いたい放題という側面はあると思いますが、どちらの意見も端的にrs20の特徴を言い表しています。
ホイールの交換で期待したい効果は、何といってもスピードアップです。
ロードバイクは、空気抵抗との戦いです。
運転時に全面に風を受ける運転者=人間は仕方ないとして、自転車で最も空気抵抗の影響を受けるのは、ホイールです。
ですから、ホイールをより軽量にするのは理にかなっています。
rs20は重量があり過ぎるので、交換してもスピードアップの効果が実感できないでしょう。
それなら、当時の価格で約1万円くらい安価なr500で十分、という考え方は納得です。
シマノ・rs20は乗り心地重視?
rs20の肯定的な意見にあった乗り心地の良さは、シマノのホイール全体に通じるメリットです。
シマノのホイールは、全体的に剛性が抑えられた、柔らかめの乗り心地が特徴と言われています。
また、スポーク本数が他メーカーに比べて少ないのも、柔らかい乗り心地の一因です。
乗り心地は、ホイールだけで決まるものではありませんが、特にシマノのホイールの評価には目立ちます。
ロードバイクの楽しみのひとつに、長距離を走ることが挙げられます。
ドロップハンドルは前傾姿勢を取るためのものですが、同時にロングライド対応として持ち手を増やし、手の疲労を分散させる意図もあります。
長距離を走ると、色々な所に疲れがきます。
ダイレクトに踏んだ力が伝わり、しかも寸分も逃さず応力に変えるようなガチガチのホイールは、加速力は凄いものがあります。
しかし、長時間乗っていると確実に脚にきますので、ホビーライダークラスのロングライドには、あまり向いていません。
その点でrs20もそうですが、シマノのホイールは、脚にやさしい仕様になっていると言えます。
シマノ・rs20の後継はrs21
rs20の後継となるrs21は、11速対応のホイールです。
そのため、完成車も11速のコンポとの組みわせになります。
シマノのコンポですと、リア11速の105との組み合わせが目立ちますが、アルテグラとの組み合わせも、たまに見かけます。
rs20との性能の違いは、ほとんどないようですので、11速に対応しているか否かの差とみて良いでしょう。
rs21は、現在も市場に出回っていますが、定価は2.5万円前後、実売価格で平均2万円といったところです。
他メーカーのライバルが少ないゾーンですが、乗り心地重視ならシマノ、もう少し硬めのホイールなら、カンパニョーロやフルクラムが視野に入ってきます。
特にカンパは、最下位モデルの「カムシン」にまで、上位グレードと同じスポークの組み方の技術が踏襲されているので、お得感はあります。
それでも、rs21よりは4~5千円高価ですので、同じグレードとは言えないかもしれませんが。
ホイールは上を見たらキリがない!
ロードバイクにとってホイールは、「命」と言っても過言ではない部分です。
それだけに、各メーカーの販売競争は凄まじいものがあります。
ユーザー側としては選択肢がたくさんあるのは喜ばしいことですが、一方で、際限のなさは如何ともしがたいところです。
シマノ・rs20のようなアルミリムでも、最上位グレードになれば15万円前後になりますし、カーボンリムになれば30万円、40万円はざらです。
どこに比重を置くかは、個人の価値観の違いでもありますが、ロードバイクのホイールはこういう世界です。
最初に買ったロードバイクに付属しているホイールからのグレードアップにおいて、推奨されることが多いのは以下のものです。
カンパ「ゾンダ」、フルクラム「レーシング3」、シマノ「アルテグラ」。
この3つは、本当におすすめされていることが多いです。
いずれも、中級グレードで、価格は前後計5~7万円といったところです。
先述している通り、乗り心地重視ならシマノ、剛性の高さや反応重視ならカンパ・フルクラムです。
個人的には、これからロードレースを目指すという人はレーシング3、ヒルクライムならゾンダ。
レースは目指さず、あくまで趣味というならアルテグラという認識です。
ここから、さらに高みを目指していけば、ひと声10万円オーバーになってきますし、カーボンリムまでたどり着く人もいるわけですね。
rs20は一般的なホイール
今回は、シマノのホイールrs20を中心にホイールの話をしました。
rs20は「鉄下駄」レベルではありませんが、グレードアップ用でもない、ごく一般的なホイールです。
後継のrs21が11速化していますので、これからも目にする機会があると思います。
特におすすめするような点はありませんが、性能的に拒否することもないホイールですので、安心して使用できることは間違いありません。