デュラエースのハブを使用して手組みホイールを組む!

手組みホイールを愛用している方には、シマノ・デュラエースのハブを使用してきた方もいらっしゃると思います。

しかし、コンポがR9100にモデルチェンジした段階で手組み用のハブはラインナップから外れてしまい、現在は一世代前の9000系のハブが販売されている状況です。

詳しい理由などは公表されていませんが、推測するには興味深い話題ですので、今回は手組みホイール全体のことなども合わせてお話ししていきます。

手組みホイールと完組みホイールの違い

ロードバイク用のホイールには、「完組みホイール」と「手組みホイール」があります。

完組みホイールは、形成するリム、ハブ、スポークが全てそのホイールの専用設計になっているパーツをメーカーが組み上げるものです。

シマノは完組みホイールにおいても世界のトップシェアにあるメーカーで、デュラエースグレードの完組みはプロからアマチュアまで幅広いユーザーに愛用されています。

一方手組みホイールは、市販のパーツを集めて自分で完成形に組んでいくホイールです。

今回のテーマでもあるデュラエースグレードのハブは手組み用であり、これにリムやスポークを自分で選んでいくことになります。

ロードバイクは趣味の乗りものですし、ホイールは走行性能に大きく関わる部分ですから、その人のこだわりが強く出ます。

手組みホイールはその究極とも言える部分であり、自分で個々のパーツを調達するところから、試行錯誤しながらスポークを組んで、振れ取りをして実走するという段階を踏む必要があります。

デュラエースと105の手組み用ハブの違い

冒頭でもお話ししましたが、シマノはデュラエースの手組み用ハブをモデルチェンジせずに、一世代前の型番のものを継続しています。

これは推測の域を出ませんが、個人のこだわりはありますが、完組みホイール全盛時代に手組み用ハブの進化は極まったと考えたのでしょうか。

シマノコンポのサードグレードである105は、R7000系にモデルチェンジをされた段階でディスクブレーキが導入されましたので、ハブもモデルチェンジを行っています。

両者は価格差が3倍以上、重量も150g前後デュラエースの方が軽量です。

そのため、同じ土俵で語るのは難しく、105のハブだけがモデルチェンジをしたからと言って、デュラエースのハブが淘汰されていくとは考えにくいです。

デュラエースのハブはチタン製のフリーボディに、ステンレス製のベアリングが使用されています。

一方105のフリーボディはアルミ製、ベアリングはスチール製であり、明確に使用している素材が違います。

この辺はコンポの別のパーツと同じであり、デュラエースは手組み用のハブであってもやはり別格の存在ですので、105がそれに取って替わるのは難しいと考えられます。

デュラエースハブのスペック

ここでシマノ・デュラエースのハブのスペックをお伝えしておきます。

まずスポーク穴ですが、24、28、32、36Hまで用意されており、フランジは一般的な手組みハブと同じ首折れスポーク用です。

ちなみに、ライバルである「カンパニョーロ」のハブが32H以下なので、36Hファンにはありがたい構成です。

重量はフロントハブ(HB-9000)が120g、リアのフリーハブ(FH-9000)が247g、前項でお伝えしたように新・105よりも150g前後軽量になっています。

完組みホイールのハブと同じく、ベアリリングの保持方法は「カップ&コーン」で、シマノ独自「デジタルアジャストシステム」により、工具なしで玉あたり調整が可能です。

シマノはハブに限らずパーツの耐久性を重視しており、特にハブは圧入されているカップの強度を最高レベルに高めて、ハブ全体の耐久性を維持しています。

そのため、デュラエースのハブはベアリングがステンレスのため、それに対応してカップとコーンもステンレス製になっています。

完組みホイールに見るデュラエースハブの性能

手組みホイールは組む技術によるところが大きいので、ハブ単体の性能がどこまで明確に出るかは微妙なところもあります。

また、手組みホイールは完全に同じパーツで組んだとしても、組み方によっては別ものになる、言ってみれば唯一無二の存在なので、同じフレームやタイヤで比較することが難しいです。

しかし、デュラエースの場合は完組みホイールもある分、まだ性能が評価されやすい環境にあります。

デュラエースが9000系だった時期にホイールに「RS81」というセカンドグレードがありましたが、これはデュラエースのカーボン・アルミコンポジットリムをそのまま使用し、ハブだけを別にしたと言われています。

そのため、両者はよく比較され、同じフレームやタイヤでの検証も多くされていました。

筆者もその試乗を一度経験しましたが、掛かりの良さや坂の上りでの軽さはデュラエースが優れているようには感じました。

しかし、デュラエースの方が良いだろうという先入観からくる「プラシーボ効果」であった点も否定できず、それがハブの性能によるものかも難しい判断になるのかと考えました。

手組みホイールならリーズナブルにデュラエースハブを体感できる!

前項でもお伝えしましたが、デュラエースの手組み用ハブは、軽量で回転力のある仕様にはなっていますので、個人的な評価の違いはあるにせよ、ハブのグレードとしてはやはり高いと判断して良いかと思います。

そして、このデュラエースのハブを完組みで求めるとすれば、現在のラインナップではカーボン・アルミコンポジットの「WH-R9100-C24」で約15万円、フルカーボンリムであれば30万円を超えます。

プロや社会人チームのレーサーにも使用されるモデルですし、スポークの組み方も特殊ですから、手組みでの再現は難しいものです。

しかし、手組みであればデュラエースのハブで組んでもここまでの高額にはなりませんし、自分好みに作っていけるメリットがあります。

仮にデュラエースハブも含めて予算が10万円とすれば、パーツだけなら上記のWH-R9100-C24に匹敵するレベルのものが揃えられる可能性はあります。

そこからどう組んでいくかは技術次第ですし、プロに任せるとしても技術の差はあります。

そのため、あくまでもパーツのグレードということですが、リーズナブルな価格で完組みに近づける可能性があるというのは事実です。

デュラエースハブの手組みホイールは専門家に任せるのが賢明!

デュラエースのハブを使用しての手組みホイール組みですが、筆者はショップを探して専門のホイールビルダーに組んでもらうことをおすすめします。

手組みはスポークの本数、長さ、リムのオフセット具合、スポークの組み方など全てを自分で行う必要がありますが、やはりそこに専門家の意見を入れることで可能性が広がります。

例えば、「デュラエースのハブと相性の良いリムは何か?」と聞かれて答えられる人は中々いないと思いますが、熟練の手組み職人さんならそういった情報を持っていてもおかしくないです。

また、それが醍醐味ということもありますが、スポークの長さなどは綿密に計算しなければなりませんし、タンジェント組が基本と思われる手組みでも、ラジアル組みやその他の方法が良い場合もあります。

工賃は正直ピンキリなので断定はできませんが、情報を確認しますと割と良心的な価格のところも多いので、相談も含めてまずはショップにお願いしてみるのが賢明でしょう。

デュラエースのハブが淘汰される可能性は低いはず!

デュラエースのハブはコンポのモデルチェンジ時に更新はされず、旧型番のものが継続販売となっています。

しかし、シマノの手組みホイール用ハブの最高峰という位置付けは変わらず、評価は高いままです。

また、当面淘汰されることもないと推測されますので、今後手組みホイールの作成を考えている方でも選択肢に入れておいても良いでしょう。