メリダのリアクトは、ワールドチーム「バーレーン・メリダ」も実戦で使用するエアロロードです。
その中で今回はリアクトのカーボンフレームでは最廉価モデルとなる、リアクト4000をご紹介します。
プロが使用するモデルとはいっても最廉価モデルともなると評価も分かれるところですが、実際はどうなのか確認してみましょう。
ロードバイク界は今エアロが熱い!
今やどのメーカーもロードバイクのラインナップに、エアロロードを加えています。
これまで、頑なに製造をしてこなかったアメリカの「キャノンデール」が、ついに2019年初のエアロロード「SystemSix(システムシックス)」をリリース、早くも大きな話題となっています。
ロードバイクはロードレースの結果によって市場のトレンドが左右されますので、エアロロードも当然ながらレースでの目覚ましい活躍により、市場でのシェアを大きく伸ばしてきました。
メリダのリアクトは平坦ステージやタイムトライアルのみならず、山岳ステージや「パリ~ルーベ」などの石畳レースにも投入され、オールラウンダーとしての顔も見せています。
こういった傾向はメリダに限ったことではないので、今後ますますエアロロードのシェアが上がっていくと評価をされています。
そうなるとホビーライダーでも、エアロロードが視野に入ってくるでしょう。
とりわけ、メリダのカーボン最廉価モデル「リアクト4000」などは、約27万円(税込)で手に入りますので、高額なイメージがあるエアロロードに一石を投じる存在かもしれません。
メリダ・リアクトの顔ぶれ
それではここから、メリダの「リアクト4000」をご紹介していきますが、まずはリアクト全体について触れておきます。
リアクトは2018年に新しい設計となり、カーボン素材や成形技術も見直されモデルチェンジされました。
2018年にはチームへ採用され、それに伴ってカーボンフレーム8種、アルミ1種の合計9機種がラインナップされる大所帯になりました。
ハイエンドモデルのチーム仕様「TEAM-E」は、メリダ最高級のカーボンフレーム「CF4」にシマノ・デュラエースのDi2、高級ホイールメーカー「ビジョン」のディープリムホイールを組み合わせた、最強の一台です。
ただし、これは価格も120万円前後と最強クラスなので、ホビーライダーには縁遠い世界とも言えます。
CF4を採用した機種は他に「8000-E」「DISC 7000-E」「6000」と続きますが、6000でもまだ約50万円しますので、野に下りてきた感はまだありませんかね。
そして、6000を分岐点として、「5000」「4000」が「CF2」フレームを採用したモデルになります。
のちほど詳しくお話ししますが、CF4とは少し違うマイルドというか、剛性を抑えた仕様になっており、インプレでは乗りやすさが好評価されています。
さらには、今では珍しいと言ってよいエアロのアルミフレーム車「400」もあります。
メリダ・リアクト4000のフレーム評価
それでは、メリダの「リアクト4000」をご紹介します。
前項でも触れましたがフレームは「CF2」カーボンで、空力性能に特化した特別な形状のチューブが使用されています。
ブレーキはダイレクトマウント方式で、リアのキャリパー(本体)がBB後方に取り付けられ、空力性能がアップしています。
こういった空力性能は上位モデル譲りで、基本をしっかり押さえていると評価されています。
リアクトのCF2フレームの真骨頂は、マイルドな味付けにより剛性を抑えめにして、扱いやすさや乗り心地の要素を加味している点にあります。
また、ブレーキがダイレクトマウントになったことで、シートステイにブレーキのパワーに耐え得る強度がいらなくなったことで、ブリッジが不必要になりました。
これによってシートステイに適度なしなりが生まれ、衝撃吸収性がアップしています。
また、シートポストにカーボンの数倍もの衝撃吸収性を持つ「エラストマー樹脂」が内蔵されており、シート周りの振動除去レベルはとても高いです。
メリダ・リアクト4000の完成車としての評価
前項ではメリダ・リアクト4000のフレームについてお話ししましたので、ここでは付属パーツも含めて全体の評価を確認しておきます。
メインコンポはシマノ・105ですが、クランクがFSAの「ゴッサマー」になります。
評価が賛否両論に分かれるクランクですが、筆者はレース志向の薄いツーリングライダーなので、あまり気にならず長年使用した経験があります。
しかし、「全体的に剛性が低くたわみが気になる」、「変速がカチッと決まらない」などの厳しめの評価があるのも事実です。
そのためここは、試乗などでご自分で判断していただきたい部分です。
次にホイールですが、せっかくのエアロロードには残念なレベルで、ハッキリ言えばここは弱点ですね。
ただしこれは、リアクト4000に限った弱点ではなく、30万円前後のカーボンフレーム車であれば大抵は同じようなレベルです。
実際に一つ上のグレードである「リアクト5000」も、同じホイールを採用しています。
そのため、ホイールはのちのカスタムに楽しみを残しておくと、解釈するくらいの広い心で見てあげてください。
記載が遅れましたが、リアクト4000の価格は268,920円(税込)、ミドルレンジの50サイズで8.3㎏になります。
「コスパ最強」などと過剰に持ち上げることはありませんが、筆者個人的には価格以上の付加価値もある、よいバイクと評価しています。
メリダ・リアクト4000の試乗インプレ評価
それではここから、メリダ・リアクト4000を実際に所有している方や、筆者の試乗経験などからのインプレをまとめてみます。
まず多くの方が高評価されているのが、乗りやすさ、扱いやすさです。
2018年モデルよりフレームが「CF2」になりマイルドな味付けが加わったとお話ししましたが、ヘッドチューブが長くなり、アップライドな姿勢で乗れるようになったことも大きいと思います。
また、リアの衝撃吸収性にも繋がる部分ですが、非常に安定感があるので、スピードに乗った時の勝手にぶっ飛んでいってしまうような怖さがありません。
そして、筆者も強く感じましたが、漕ぎ出しの軽さや、ハンドリングのスムーズさは一般的な形状のロードバイクと変わらない感じです。
確かにエアロロードらしく、自分から前にグイグイと出ていこうとする主張の強さは残っています。
しかし、CF2独自の剛性バランスにより、フレームに「タメ」があるので、前に行きすぎないように、上手く引き戻してバランスを取ってくれています。
これが安定感につながり、エアロロードでも怖さを感じない要因なんだろうと思われます。
メリダ・リアクト4000の試乗インプレ評価~続き
前項に引き続き、メリダ・リアクト4000のインプレ評価をご紹介します。
リアクト4000に限ったことではないですが、この価格帯のロードバイクは最初から付属しているホイールが弱点とされます。
高価なホイールを履けば他のパーツにしわ寄せが行き、完成車として著しくバランスを欠きますので、致し方のないところです。
リアクト4000のインプレでも「ホイールが重たい」、「交換したい」という意見が後を絶たないのも事実です。
メリダの手組みホイールで、市販品ではないので正式な重量は発表されていないのですが、実測では2000gを軽く超えています。
筆者は短距離の試乗でしたので、そこまで嫌な印象は持ちませんでしたが、少したわむ感じがあったので、もう少しリムが硬めのホイールでもよいかもしれません。
個人的なおすすめにはなりますが、フルクラムの「レーシング3」や、マビックの「キシリウム・エリート」などの剛性高めのホイールですと、このフレームとのバランスが合うかと思います。
「エアロは苦手」そう思っているあなたがターゲット!
今回はメリダのエアロロード、リアクト4000を特集しました。
表題にもさせて頂いた乗りやすさは、本当に多くの方から好評価を受けており、レース以外の用途を与えてくれる、新時代のエアロロードなのかもしれません。
そのため、エアロロードにハードルの高さを感じて、「乗れない」と思っている方にこそ乗ってもらいたい一台です。