メリダのクロスバイクには、ロードバイクに近い特徴を持つ「GRAN SPEED(グランスピード)」と、従来型の街乗り車「CROSSWAY(クロスウェイ)」の2シリーズがあります。
今回はクロスウェイを中心に取り上げますが、中でもディスクブレーキを搭載する「200MD」に注目してみます。
クロスバイクにディスクブレーキは必要なのか、ということなども検証してみます。
メリダのクロスバイクの特徴
クロスバイクは、MTBとロードバイクの中間的なバイクとされており、山林道やオフロードだけではなく、街中の舗装路にも対応できる自転車を目指した形です。
そして、最初はMTB色が強いこともあり、メリダのクロスウェイ200MDのように、どちらかと言えば頑丈なボディに、太いタイヤ、フラットバーハンドルなど、MTBに近い仕様の機種が多くありました。
しかし、用途の多様化やスポーツバイクの中でもレースの機材ではないという自由さも手伝い、様々な形に変化してきています。
さすがにフラットバーハンドルという定義だけは守られていると言えますが、その他の定義はズレてきている印象を受けます。
そのような状況の中で、メリダは冒頭でも触れましたが、ロードバイクに近い「グランスピード」と、MTBから派生した初期のクロスバイクに近い「クロスウェイ」を展開しています。
簡単に特徴をご説明しますと、スポーツバイクとして走りそのものを楽しむ仕様がグランスピード、ママチャリの延長線上にある、生活に密着した普段使い用がクロスウェイというイメージです。
メリダのクロスバイクもディスクブレーキ車が主流になった
クロスバイクのここ最近のトレンドは、「ディスクブレーキ」です。
MTBは価格なども関係なく、ほぼディスクブレーキ化しており、その波がクロスバイクにも確実に押し寄せています。
メリダのクロスバイクでもグランドスピードは全車、クロスウェイは200MDのみですが、全体で見れば7機種中5機種がディスクブレーキ搭載です。
このことからも、もう主力になっていると言ってよいでしょう。
ディスクブレーキは車輪中央のハブに取り付けられたローターをパッドで両側から挟み付けて、その摩擦によって回転を止めます。
従来のブレーキは車輪の外周(リム)で制動を行うので泥や水をかぶりやすく、またブレーキパッドとタイヤの間が狭いので泥詰まりを起こしやすくもありました。
そのため、制動力が安定せず、特に雨の日やぬかるんだ路面では不安があるのですが、ディスクブレーキは地面と遠い場所での制動になるので、泥や水の影響を受けにくいです。
したがって、安定した制動力が得られますし、構造上の関係で強くブレーキが掛かるので、急坂や不整地などでの安心感もあります。
クロスバイクの用途は多様化しており、様々な路面状況に対応しなくてはならないことを考えれば、ディスクブレーキが適しているのは明らかです。
メリダ・クロスウェイ200MDに感じる物足りなさとは?
今回の主役であるメリダ・クロスウェイ200MDもディスクブレーキ搭載車です。
このMDは、メカニカルディスクの略で、機械式という意味です。
機械式は、レバーと本体をワイヤーで繫ぎ、レバーを引くことでパッドを動かすという仕組みで、多くの自転車ブレーキに採用されてきた従来型の技術です。
一方、技術の進化で製造コストも削減されたため、高額な機種にしか搭載できなかった「油圧式」が低価格な機種にも採用されています。
メリダでもグランスピードの10万円以下の機種に油圧式が採用されています。
自動車のジャッキアップにも使われる油圧の力を制動力に活かすので、機械式に比べ圧倒的に制動力が強くなります。
また、ワイヤーがありませんのでハンドルの取り回しが軽くなりますし、パッドとタイヤの間をブレーキ自身が常に調整するので、メンテナンスの頻度が少なく済みます。
それだけ優位なものが、安価なコストで装備可能になっている時代ですので、機械式のディスクブレーキですと、少し物足りない印象も受けてしまいます。
機械式でも制動力に不安があるわけではないのですが、ディスクブレーキの本領を考えると筆者は油圧式をおすすめしたくなります。
メリダ・クロスウェイ200MDのスペック
それではここで、メリダ・クロスウェイ200MDのスペックをご紹介します。
クロスウェイは冒頭でもお伝えしましたが、街乗りが意識されており、トップチューブがダウンチューブと平行に近いくらい斜めに下がっており、跨りやすさや足付き性能が重視された形状です。
また、強度に優れたアルミ素材に、スチール製のフロントフォークなので、衝撃吸収性には少し不安があります。
しかし、メリダ独自のフレーム形状「FLEX STAY」で、シートステイとチェーンステイを偏平させ、バネのようなしなりを生みだし快適性を向上させています。
そして、フロント3速リア8速の24段変速で、平坦路でスピードを上げるための重めのギアも、上り坂対応の軽いギアも備えています。
その他の付属パーツについて特筆することはないですが、シマノ製のものが多く、価格相応で必要十分といったところです。
また、街乗り想定のため、オプションでスタンドや泥除け、前かごも取りつけられる仕様ですので、カスタムの幅がとても広いです。
重量は12.0㎏(46サイズ)、価格は66,852円(税込)になります。
メリダ・クロスウェイ200MDに適した用途
前項では、メリダ・クロスウェイ200MDのスペックをご紹介しました。
スペックから考える用途ですが、やはりメリダの想定通り、普段使いの街乗りということになるかと思います。
工夫している姿は十分に見られるのですが、根本的な衝撃吸収性に欠けるので、長距離には不安が残ります。
10㎞、20㎞程度ならこなせますが、それ以上となると地面からの振動や衝撃で身体にダメージが残りますので、ツーリングなどは厳しいかと思います。
しかし、ディスクブレーキですしタイヤも太いので、雨や多少の悪路は全く問題ない安定感があります。
そのため、天候に関係なく乗りたい通勤や通学には、距離にもよりますが適していると言ってよいでしょう。
そして、スーツや制服を汚さないための泥除けや、かばんやバッグを積むキャリアやカゴ、そしてスタンドなどが後付けできる仕様は、正に通勤・通学仕様と言えます。
その他のメリダ・クロスウェイシリーズ
メリダのクロスウェイシリーズには200MDの他にも、リムブレーキ仕様の「100R」と、100Rをベースに小柄な方向け専用に開発された「110R」がラインナップされています。
付属パーツや価格を見る限り200MDとの違いはほぼブレーキのみで、迷った場合はそこで判断すればよいかと思います。
100Rと110Rの付属ブレーキは「Vブレーキ」で、ディスクブレーキが普及する以前はMTBやクロスバイクの主流でした。
リムブレーキの中では最強の制動力を持ち、タイヤとの間隔が大きく取れるので、トラブルの少ないブレーキとして重宝されてきました。
舗装路がメインの街乗りなら何の問題もないブレーキで、筆者の体験では雨の日でも制動力に不安を感じたことはありません。
そのため、ママチャリのような乗り方であるなら、こちらを選んでも差し支えはないと思います。
しかし、ディスクブレーキとの互換性が無いため、後付けすることはできませんので、そこだけは考慮してください。
また、ディスクブレーキモデルは制動力の強さに耐え得る剛性が必要なため、フレームやホイールが硬くなりがちです。
その分リムブレーキ仕様の100Rや110Rは、少ししなやかで柔らかめなので、乗り心地がマイルドになっている点もお伝えしておきます。
街乗りに特化したクロスバイク!
今回はメリダのクロスバイク、クロスウェイ200MDをご紹介しました。
機械式ディスクブレーキということで、用途によっては物足りなさを感じますが、街乗りに特化した使い方なら十分かと思います。
乗りやすさや扱いやすさは抜群なので、生活の足代わりと考えてください。