後輪にホイールカバーをつけて走っているロードバイクを、街中でもみかけることがあります。
中には、イラストなどを描いたりしたものもあるなど、なかなかスタイリッシュなルックスですが、ホイールカバーをつけることでどんな効果があるのでしょうか。
今回は、ロードバイクにホイールカバーをつけた場合の効果について解説していきます!
ロードバイクのホイールカバーの効果!メーカーの説明では?
ロードバイクにつけるホイールカバー、ネットをみるとさまざまなメーカーが製作、販売を行っているので、なかなか人気のある商品のようですね。
メーカーの説明によれば、ホイールカバーを装着することにより、走行中の空気抵抗の軽減効果があるとのことです。
確かに、ホイールのスポーク部分は、空気がきれいに流れないことから、空力面では不利になります。
そのため、屋内のトラックで行うタイムトライアル競技で使用される自転車には、空気抵抗を軽減するために、円盤状のディスクホイールが多く用いられています。
このメーカー側の説明からすれば、ホイールカバーもそれと同様の効果を狙ったものといえるでしょう。
ちなみに、ディスクホイールは通常のスポークを用いたホイールよりも一般的には高価です。
通常の完組ホイールだと、数十万円もする高級品もありますが、1万円前後から入手できる商品も少なくありません。
それに比べると、ディスクホイールは、安いものでも10万円程度はします。
軽さと剛性を両立するため、素材はカーボンファイバーが主流となっているので、価格が高めになってしまうのも仕方がないところです。
それに比べれば、ホイールカバーは4,000円程度と、手ごろな価格で購入可能です。
もし、これでディスクホイールと同様の効果が得られるのであれば安いものですが、実際のところはどうなのでしょうか。
ロードバイクにホイールカバーをつけると逆効果になることも
ロードバイクにホイールカバーをつけると、実は逆効果となることもあります。
スポークをカバーすることから、正面からの風についてはよいのですが、横風には弱くなります。
実際にホイールカバーをつけた方からは、少し風が強くなっただけで、簡単にあおられてしまって真っすぐ走らない、という意見もあったほどです。
さらに、重量が増えるという欠点もあります。
通販サイトで販売している商品をチェックしたところ、ABS樹脂製のもので重量は約600gが一般的でした。
600gと聞くと、さほど重く感じないかもしれません。
しかし、グラム単位で軽量化を図ることが多いロードバイクのユーザーであれば、600gもの重さのパーツを装着するのは、よほどメリットがない限り避けたいところでしょう。
また、重量が増える場所がホイールである、という点がさらに問題です。
自転車はペダルを回すと、その力がチェーンを通じて後輪のハブに伝達されます。
ハブを中心に後輪は回転しますが、この時、ホイールには遠心力がかかります。
遠心力は重く、遠くにあるものの方が強くなるため、実際の重量以上にペダルを回す脚には重さを感じることになるのです。
いくら空力がよくなるといっても、ペダルが重くなってしまうのであれば、効果は相殺されてしまうでしょう。
ホイールカバーはロードバイクの空気抵抗軽減効果はない?
さらに、ロードバイクにホイールカバーをつけることで得られるはずの空気抵抗の軽減効果も実際にはない、という意見もありました。
ホイールカバーは2枚一組になっていて、車輪の両側からはさむようにして装着します。
ディスクホイールのようにもともと一枚板ではないので、ぴったり張り合わせないとすき間から空気が入ってきてしまいます。
また、後輪をとめているクイックリリースの部分は完全にシールドできるわけではないので、そこからも空気が入ってきます。
さらに、ホイールカバーはプラスティックのねじで固定しますが、しめつけが不完全な場合や、あるいは経年変化でねじが劣化すると走行中に外れてしまう可能性があります。
高速で走行中だと、ホイールも高速で回転していることから、外れるリスクも高くなります。
そして、最悪の場合、大事故の原因にもなりかねないでしょう。
このように、機能面だけをみていると、ホイールカバーの効果はあまり期待できないものとも言えるでしょう。
ホイールカバー最大の効果はロードバイクのドレスアップ
最近では、本格的レースや長距離のツーリングを楽しむ方以外に、ファッションアイテムとしてロードバイクに乗る方も増えています。
そういった方が、ホイールカバーの平面部分に、オリジナルのペイントやイラストを描いているのをよくみかけます。
確かに、無地のキャンバスのようなホイールカバーの広い平面は、機能面での効果はなくても、そういう目的にはぴったりかもしれません。
もっともお手軽なのは、やはり気に入ったステッカーを貼ることのようです。
そこからどんどん発展していき、最近ではお気に入りのキャラクターのイラストを描く、いわゆる「痛車」としてドレスアップする人も増えてきているようです。
もちろん、ホイールは回転するので、走行中にイラストは一切見えなくなってしまいますが、そこはご愛敬というところでしょうか。
ホイールカバーのイラストはどうやって描いている?
痛車のホイールカバーに描かれた美少女の見事なイラストですが、どうやって描いているのでしょうか。
すぐに思いつくのは、ホイールカバーに直接ペイントする方法ですが、これはよほどイラストの腕前に自信がないとなかなかできないでしょう。
また、直接イラストを描いてしまうと、それをずっときれいに保っていくのもなかなか大変です。
そこで現在は、PCでイラストを作成し、それをシール形式で出力してはりつける方法が主流となっています。
ただし、ロードバイクにとりつけるホイールカバーは、完全な平面ではなく、円錐形なのでシールをきれいにはりつけるのは、なかなか大変なようです。
どうしても自分でトライしたい、という方以外は印刷も含めて業者に依頼した方がイラスト自体のプリントの美しさも含めて、最終的には満足度が高いのではないでしょうか。
ネットで検索すると、専門の業者の方がアップした画像がたくさんヒットします。
いずれもなかなか美しい仕上がりで、本来の空力面での効果がないとしても、これはこれであり、と思わせる説得力はありますね。
ホイールカバーをつけたロードバイクの注意点
ホイールカバーをつけたロードバイクで走る際には、いくつかの注意点があります。
まず、もっとも内側のギアにシフトすると、どうしてもチェーンのオイルで汚れる、場合によってはカバーに接触してしまうこともあるので、シフトチェンジする際には気をつけましょう。
また、前輪にホイールカバーをつけるのはおすすめできません。
横風にあおられた時、ダイレクトにハンドルをとられてしまうので、転倒の原因となります。
風が強い時だけでなく、トラックなどの大型車が横を通り過ぎた時でも、あおられてしまうことがあるので、非常に危険です。
ネットで画像を検索しても、フロントにホイールカバーをつけず、リアだけにしている画像ばかりなのにも、理由があるのです。
ホイールカバーをつけることで、機能面では逆効果となる部分も理解した上で、走行するようにしましょう。
ホイールカバーは気分を楽しむドレスアップアイテム
いかがでしたでしょうか。
もともと、数千円程度で購入できるホイールカバーに、数十万円もするディスクホイールのような効果を期待すること自体が間違いなのかもしれません。
ロードバイクにつけるホイールカバー、機能面での効果はなく、あくまで気分を楽しむためのドレスアップアイテムとしてとらえた方がよさそうですね。