「ロードバイク・ホイール・アルミ」というキーワードで検索をすると、主に2つの項目がヒットします。
ひとつが「リム」、もうひとつが「スポーク」です。
フレームも含めて、ロードバイクにとって「アルミ」という素材は、切っても切り離せない存在です。
特にホイールの場合は、リムがアルミかどうかで、様々なことが変わってきます。
そこで今回は、アルミリムホイールについてお話していきます。
ロードバイクにおけるアルミホイールの優位性
ロードバイクのホイールは、パーツの中では、かなり重量がある部類なので、軽量化の合戦になっています。
軽量化の最たる近道は、ホイールの重量の大半にあたるリムを軽くすることです。
そうなるとフレーム同様、カーボンが最も有利になりますが、大変高価になってしまいます。
しかも、カーボンは破断などに気を使わなければならない繊細なところがあるので、扱いが難しくなります。
フレームよりも地面に近いところで活躍しているホイールには、余計にトラブルの心配性が付きまといます。
その点では、アルミリムに優位性があります。
多少手荒に扱ったとしても耐久力がありますし、安価ですから、ガンガン使い倒せる安心感があります。
重量ではカーボンに敵わないのですが、今のアルミは技術の革新もあり、相当軽くなってきています。
また、アルミホイールは様々な価格帯に渡っているので、自分のお財布事情で選択することができます。
カーボンリムホイールは最低線が10万円半ば~なので、その時点で選択肢から消えてしまう可能性があります。
このようなことから、少なくともホビーライダーには、アルミリムホイールが最適かと思います。
ロードバイクのアルミホイールの特徴
ロードバイクのアルミリムホイールには、「ピンきり」という言葉がピタりと当てはまります。
下は1万円台から、上は10万円台まで、価格帯の幅が大変広いです。
一般的には価格が高くなるにつれて、重量が軽くなっていき、その差が500~600gといったところです。
その他の特徴としては、重量があるので、リムハイトはノーマルな高さのものが多くなります。
各メーカー共に35mm前後のセミディープのラインナップもありますが、軒並み1900g台になるので、使用用途が限られてきます。
あとは、一部を除きますが、見た目が無機質な感じになります。
いかにも「アルミです」のような、金属感を嫌う人も少なくありません。
そして、ホイールに求められる要素で、重量と並ぶくらい大きいのが「剛性」です。
剛性は物体の変形しにくさを表すので、剛性が高いという状態は、変形しにくいということです。
剛性が高いホイールは、ペダルを漕いだ力がダイレクトに動力になるので、漕いだら漕いだ分だけ、前に進んでくれるような感覚です。
ただ、変形しづらいものは「硬い」ので、クッション性がなく、乗り心地は悪くなります。
反対に、剛性の低いホイールは変形する分、パワーロスをしますがクッション性はあるので、マイルドな乗り心地になります。
ロードバイクのアルミホイールのクラス分け
ここでは、前項までのことを踏まえて、どんなアルミリムホイールを選択したら良いのかを考えてみましょう。
今回は、完成車に付属しているホイールを、初めて交換するという前提で話を進めます。
まず、性能や特徴などを見極めるのはもちろんですが、お金の問題が一番でしょう。
ロードバイクが1台買えてしまうくらいの価格のものもあるわけですから、一般人の金銭感覚では理解できない世界です。
そこに持ってきて、先述通り価格はピンきりですから、どの価格帯に当たりを付けるかは、とても重要です。
大まかに価格帯を分けてみますと…
・エントリークラス…1.5万~3万円
・ミドルクラス…4万~7万円
・ハイクラス…9万~15万円
この中から、まず、エントリークラスはおすすめしません。
個人的にホイールは、劇的に走りを変化させたいときに、交換するものと考えています。
エントリークラスでは、重量もそこまで軽くなりませんし、メーカー独自の技術も駆使されていないことが多いです。
そうなると劇的な変化が望めず、何のための交換か分からなくなるので、おすすめはしないということです。
ただ、予算の関係で、どうしてもこの価格帯で選ぶということなら、上位モデルの技術を少しでも踏襲しているものが良いでしょう。
具体的には、カンパニョーロの「カムシン」、シマノの「RS-330」辺りです。
カンパニョーロは独自のスポークの組み方がありますが、最下位モデルのカムシンまで、その技術を導入しています。
また、シマノのRS-330は、この価格帯にしては珍しいリムハイト30mmのセミディープ仕様なので、特別感があります。
アルミホイールの定番ゾーン
価格帯別に、ロードバイクのアルミリムホイールを確認していますが、次はミドルクラスです。
ここが、各メーカーが主力を投入して、しのぎを削っている価格帯です。
ミドルクラスは最初の交換には、手頃な価格にして高性能が望めるという、コスパの高いゾーンです。
重量は1500g台のものが多く、少なくとも300g以上の軽量化になります。
また、ミドルクラスになってくると、各メーカーがハブに力を注いできますので、回転力の変化を実感できる可能性が高くなります。
ただし、今乗っているロードバイクに、そこそこのレベルのものが付属していると変化が小さく感じられて、物足りなさを感じるかもしれません。
そして、このクラスのホイールにすると走りが楽しくなってくるので、割と早い段階で、もう1クラス上を味わいたくなるものです。
それならば、最初から一気にハイエンドクラスまで行ったほうが、長期的にお得かもしれません。
とは言え、やはり個人的には、このクラスにいる数々のホイールを知っている分、おすすめしたい気持ちが強いですね。
アルミリムのミドルクラスならこのホイール
アルミリムホイールのミドルクラスの定番をご紹介しますと、
・カンパニョーロ「ゾンダ」
・フルクラム「レーシング3」
・マビック「キシリウムエリート」
・シマノ「RS-500」
といったところです。
この中では、硬めの乗り心地が好きであれば「レーシング3」、柔らかめが好きであれば「RS-500」がおすすめです。
ここで勘違いしていただきたくないのが、硬め・柔らかめは、あくまでも、このクラスの中での比較です。
このクラス内では、剛性が高いのがレーシング3であり、低いのがRS-500ということです。
また、これからロードバイクでレースへの参戦を目指すなら、クラス最軽量でありながら適度な剛性を持つ「キシリウムエリート」が良いでしょう。
そして、「ゾンダ」ですが、最初の交換はこれを選んでおけばまず安泰と言われるほど、支持が高いホイールです。
特化したものは感じませんが、とにかく高いレベルでバランスが取れています。
普段使いからレースの練習用まで、用途を選ばないオールラウンダーです。
ハイエンドクラスならこの2本!
ロードバイク用のアルミリムのミドルクラスには、コスパの高いホイールが並びます。
しかし、上には上がいますので、ハイエンドクラスにも触れておきましょう。
各メーカーのフラッグシップモデルなので、どれも甲乙つけがたいですが、今回は好対照な2つのホイールをご紹介します。
シマノの「デュラエース WH-R9100 C24」と、フルクラムの「レーシングゼロ」です。
この2つは剛性面で比較されていることが多く、よく議論の対象になっています。
シマノのホイールは全体的に剛性が低めで、「乗り心地のシマノ」などとも言われます。
アルミリムですが、カーボンでラミネートされているので、クラス最軽量レベルの重量です。
剛性が低いとは言っても、わずかにたわむかなという程度で、ホビーライダーの脚力ならば、パワーロスが気になることはないでしょう。
一方のレーシングゼロは、剛性がとても高いことで有名です。
リムが強いということもありますが、スポークもアルミなので、より硬くなります。
私の知人に、あまりの硬さに限界を感じ、購入してわずか3ヶ月で、他のホイールに履き替えた人がいます。
私が見る限り、彼は決して貧脚というわけではないのですが…
いずれにせよ、人を選ぶホイールであることは間違いありませんが、速く走りたいなら、選択肢に入れておきましょう。
走りを変化させたいならホイールで勝負に出る!
今回は、アルミリムホイールについて話をしました。
価格帯別におすすめをご紹介しましたが、これ以外にも、とにかく種類が多いので、インプレなどを見て自分にあった1本を探していただきたいと思います。
ホイールは交換による変化が大きい部分ですから、ある程度、大胆にレベルを上げるのがおすすめです。