ボントレガーはトレック傘下のパーツブランドで、トレックの完成車は、ボントレガーブランドのパーツを多く使用しています。
ホイールもその内のひとつですが、他メーカーではあまり聞かない「tlr(チューブレスレディ)」対応になっています。
その辺りも含めて、今回はボントレガーのホイールを確認していきます。
ボントレガーとは
ボントレガーは過去にはフレームなども販売していましたが、現在はトレックの傘下に入り、純正品を製造しています。
ドライブトレイン以外のパーツは、ほぼ網羅しているので、トレックの完成車のパーツの多くは、ボンドレガー製です。
パーツ単体も、トレックの専門店やホームページでしか販売がないので、市場に出回っていない印象です。
私が知る限りでは、トレック以外の完成車ではボントレガーを見たことがないので、トレック本体のパーツブランドと考えて良いでしょう。
しかし、トレックにしか採用されていないとはいえ、規格が違うわけではありません。
そのため、ボントレガーのパーツは、当然ながら他メーカーのロードバイクでも使用可能です。
特にホイールは種類も豊富ですし、一般的にはあまり見られないtlr(チューブレスレディ)タイヤ用のリムを使用していますので、利用する価値はあります。
tlrとは?
ボントレガーのホイールを詳しく見ていく前に、「tlr(チューブレスレディ)って何だ」と思われている方も多いと思いますので、説明しておきます。
自転車用のタイヤは、中にチューブを入れてタイヤの体を成すものと、チューブなしのものがあります。
それぞれに形状や規格が違うので、ホイールもそれに合わせる必要があります。
ロードバイクやママチャリでは、タイヤの中にチューブを入れる「クリンチャータイヤ」が一般的です。
汎用性が高く、パンクなどのトラブルでも修理が簡単なので、普及率が最も高いタイヤになります。
一方、最近、特に頭角を現してきているのが「チューブレスタイヤ」です。
文字通りチューブを必要としないで、パンクの中で最も多いチューブに穴が開く「リム打ちパンク」の心配がありません。
そのため、低い空気圧で運用できるので、地面とのグリップ力を高めたいMTBでは、既に主流となっています。
このチューブレスタイヤの種類のひとつに、tlrがあります。
tlrはタイヤの中に、シーラント剤という気密性を高める液体を入れることで、空気漏れを防ぐというタイヤです。
通常のチューブレスタイヤは、ホイール側も気密性を高める必要があります。
tlrは、シーラント剤の分、ホイールにそこまで特殊な加工が必要なくなるので、軽量化が図れます。
ホイールとタイヤは一心同体
クリンチャーとtlrタイヤ(チューブレス)は、構造上はさほど大差がないので、ボントレガーのホイールは兼用のものが多いです。
ちなみに、チューブが必要なタイヤには、「チューブラー」というものもあります。
チューブをタイヤの中に縫い付けて一体化させてしまう構造で、以前は、このタイプがスポーツ自転車のタイヤの主流でした。
これは、ホイールのリムに、はめ合せる「ビード」の形状が全く違うので、専用のホイールが必要です。
そのため、使用するタイヤを基準にしてホイールを選ぶ場合は、そのタイヤに適合するホイールを選ぶ必要があります。
どのタイヤが優れているのかは意見が分かれますし、用途によっても、向き不向きがあります。
ロードレースの世界では、今もチューブラーが根強い人気ですし、MTBはチューブレスが主力です。
また、汎用性が高く、アフターケアに心配が少ないのはクリンチャーです。
個人に合ったタイヤを選べる時代になったと考えれば良いでしょう。
ボントレガーのホイールの特徴
それでは、ボントレガーのホイールを確認していきましょう。
ボンドレガーに限りませんが、ホイールはリムの素材と、適合するタイヤによって種類分けされており、その中にグレードがあると考えてください。
ボントレガーのロードバイク用ホイールは、カーボンリムとアルミリムがあります。
また、適合タイヤはクリンチャー専用、クリンチャー・tlr兼用、チューブラー専用があります。
価格ですが、極端に高いわけでも安いわけでもなく、平均的と言えます。
これは私の独断と偏見ですが、アルミリムのホイールは、他メーカーと比べると、あえて選ぶほどのレベルにはないと思います。
ハブの性能や重量を考えると、コスパで一歩劣ります。
カーボンリムに関しては、プロチームに提供されている機材ですし、100万円を超えるような完成車に付属するものですから、一考の価値ありですね。
おすすめのtlr対応ホイール
では、具体的にボントレガーのホイールをご紹介します。
【Aeolus(アイオロス) tlr D3 Clincher】
エアロ形状のディープリムホイールで、リムハイト90mm・70mm・50mm・30mmと、シリーズ化されています。
レース機材に使われており、ボントレガー独自のD3形状が、大幅に空気抵抗を軽減させます。
100万円前後の完成車に採用されているシリーズですので、ホイールだけでも前後セットで約35万円の代物です。
回転に定評のあるDT Swiss製のハブに、まずまず軽量の部類に入る重量なので、価格相応の声も聞かれます。
【Aeolus(アイオロス) Pro 3 tlr】
2017年に新たにラインナップに加わった、ミドルグレードのホイールです。
上位グレード同様のD3形状に、ボントレガー製のハブも評判は上々です。
最初のフルカーボンホイールとして、35mmのリムハイトなら、安心して手が出せるところです。
ボントレガーのホイールの最大のメリットはtlr
先述通り、ボンドレガーのホイールは、他のメーカーのロードバイクに装着することが可能です。
では、わざわざトレックの専門店に出向き、ボントレガーのホイールに換装する意味はあるのでしょうか?
それは、これまでお話してきたように、tlrタイヤを使用することにあるでしょう。
最近は、ロードバイクにもチューブレスタイヤが広まってきているので、大手ホイールメーカーが、それに対応しています。
しかし、tlr対応ホイールは、私はボントレガー以外に例を知りません。
先述したtlrの特徴を、メリットとするか否かは個人の用途によりますが、実はもうひとつ興味深いデータを見付けました。
このデータによると、クリンチャーとチューブレスを比較したときに、チューブレスのほうが転がり抵抗が低いとなっています。
タイヤの転がり抵抗の高低の大半は、変形によるものと言われています。
そのため、タイヤに加えてチューブまで変形するクリンチャーよりも、チューブがないチューブレスのほうが抵抗が少ないという理論です。
トレックが、この理論でホイールをtlr対応にしたかは分かりませんが、少なくとも、この考えは物理的に辻褄が合っています。
しかも、tlrはチューブレスに比べて軽量なわけですから、さらにメリットが大きいということになります。
ボントレガーはtlrの先駆者になるか?
ボントレガーは通常であれば、トレックユーザーにしか縁がないと考えて、差し支えありません。
しかし、ホイールのtlr対応は他にはないので、トレックユーザー以外にも利用価値があります。
これから、tlrの需要が高まってくることも考えられますので、先駆者として注目を浴びる日が来るかもしれません。