ビアンキのアルミハイエンド「インプルソ」の評価を知ろう

イタリアのビアンキは、ツール・ド・フランスを始め、ワールドツアーに参戦する「チーム・ロットNL・ユンボ」とスポンサーシップ契約を結んでいるレーシングブランドです。

そして、レーシングブランドでありながら、象徴でもあるチェレステカラーや優れたデザイン性などが受け、アマチュアユーザーも非常に多く、日本でも大人気のブランドです。

その中でも今回は、特に近年人気が再興し、評価が高まっているアルミフレームの「Impulso(インプルソ)」を特集します。

2019モデルは新シマノ・105装備などのハイライトもありますので、注目していただきたいと思います。

ビアンキ・インプルソの全体評価

ビアンキのインプルソはフルアルミフレームでは上位グレードの位置付けとなりますが、全体的にはロードバイクが初めての方にも視野に入るエントリーモデルとなります。

シマノ・105をメインコンポに、ホイールもシマノ製に統一されており、希望小売価格は173,000円(税抜)になります。

ビアンキでは、長距離走行に適したタイプの「エンデュランスモデル」のカテゴリーに属しますので、レーシングモデルとは一線を画す存在です。

のちほど詳しくご紹介しますが、上体を起こしたリラックスポジションで乗車できるフレーム形状になっており、長距離走行でも疲れない配慮もところどころにされています。

ただ、以前は実際にレースに投入されていたモデルでもあり、ロードバイクの本分であるスピードが大きく犠牲になってはいません。

そして、インプルソが高い評価を受けていることの一つに、カーボンにも匹敵すると言われる見た目の美しさがあります。

マットブラックのボディカラーは溶接痕などが全く目立たないため、車体に近づくまでカーボンと見分けがつかないほど丁寧な表面加工が施されています。

ビアンキのアルミフレーム車

ロードバイクの価格を決定づけるにはいくつかの要素がありますが、かなり大きい部分を占めるのがフレーム素材になります。

前項でビアンキ・インプルソの価格をご紹介しましたが、アルミフレームでは最高価格でもビアンキ全体で見た場合に、カーボンフレームの最低価格にも届きません。

それほど明確な差がありますので、フレーム素材の選択は最初に行うべき課題であり、かなり優先順位が高い要素です。

そこで今回は仮にアルミロードバイクを購入すると決めた場合に、ビアンキではどの機種が適しているのかを考えていきます。

ビアンキのアルミフレームにはインプルソの他に、「Via Nirone(ヴィアニローネ)7」があります。

創始者が最初に始めた自転車屋の所在地が「ニローネ通り7番地」だったことを記憶しておくために付けられた名前であり、それだけビアンキにとって大事なモデルでもあります。

インプルソ同様シマノ・105をメインにしたモデルの価格でインプルソより約2万円安価となり、他に少しコンポのグレードを落としたモデルもいくつかあります。

単純にインプルソよりも下位グレードであり、ビアンキの中では最廉価モデルです。

そのため、ビアンキ内で考えればインプルソを購入すると考えた際には最初に対抗馬として視野に入る存在かと思いますので、評価などを確認しながら次項から比較をしてみます。

ビアンキ・インプルソのフレーム評価

ビアンキのアルミフレーム車インプルソとヴィアニローネ7ですが、大きな違いはフレームにあります。

インプルソのフレームは先ほども触れたように、繊細かつ高度な「トリプルバテッド・ハイドロフォーミング製法」という技術によって加工されています。

ハイドロフォーミング製法は、一度溶接したものを再度金型に油圧の力で押しつけて一体成型するため、全体的に強度が落ちず、たわみの少ない剛性の高いフレームにすることができます。

また、剛性が高くなくてもよい箇所は薄く、チューブ同士のつなぎ目など強度が必要な部分は厚くして、1本のチューブ内で3種類厚さの違う部分を持たせるトリプルバテッドという加工方法を用いています。

これにより剛性の高さと軽量化という相反する要素を高い次元で両立させており、軽量かつ、剛性の高さが評価されています。

そして、冒頭でも触れましたが、溶接痕が目立たない加工が施されていますので、実に滑らかで曲線が美しいフレームです。

ビアンキ・ヴィアニローネの評価

一方ヴィアニローネは初心者の方向けのエントリーモデルなので、「バイクを倒してしまった」「障害物にヒットさせた」などのトラブルを想定して頑丈にできています。

そのため、繊細な加工と言うよりも、強度重視の骨太なフレームですので、多少扱いが荒っぽくなってしまったり、不慣れな部分があっても安心な部分はあります。

ただし、繊細な加工がされていないことから、溶接痕などは目立ちますし、インプルソに比べ重量が嵩みます。

ビアンキはロードバイクの重量を公表していませんので定かではありませんが、走行感を伝えているインプレ情報などを見ますと、インプルソの方が走りの軽さでは高い評価を受けています。

これがグレードの差であり価格に表れているのですが、ヴィアニローネは2019モデルよりケーブル類がフレームに内蔵式になりました。

ダウンチューブからリアギアとブレーキに配線されており、見た目がすっきりと仕上がっています。

アマチュアライダーであればケーブル内蔵の効果は主に見た目ですが、空気抵抗が若干減りますので、ヴィアニローネが進化したことも確かです。

インプルソとヴィアニローネの乗り味評価

ここまで、ビアンキのアルミフレーム車インプルソとヴィアニローネ7の比較をしていますが、両車には乗り味の違いも指摘されています。

どちらもモデルとしては長距離向きのエンデュランスモデルにカテゴライズされており、快適性や扱いやすさが高く評価されています。

その中での比較ですが、インプルソは先ほども触れたようにレースの実戦に投入されていたこともあるように、反応が良く、加速力や巡航性に長けています。

ペダルを漕いだ力がダイレクトに動力になるので、グングンと前に進んでくれるイメージです。

一方ヴィアニローネは重量もありますし、少し足回りにたわみがある分漕ぎ出しに重さを感じますので、坂の上りなどでは少し気になることもあるでしょう。

また、これは筆者が両車に試乗して感じたことですが、インプルソは路面の状況や段差を超える際の衝撃をストレートに伝えてくる感じで、ヴィアニローネは少し大げさに伝わってくるイメージです。

タイヤとホイールは同じものでしたのでフレームの差と考えて良いのですが、僅かにインプルソの方が衝撃吸収性に優れていると考えられます。

ビアンキ・インプルソの別仕様車「Impulso All Road」

ビアンキのインプルソにはここまでご紹介してきましたエンデュランスモデルの他に、別仕様の「Impulso All Road」もあります。

ブロックが刻まれた35C(35mm)のタイヤにディスクブレーキが搭載された、山林道や砂利道などのオフロードもこなす「グラベルロード」というカテゴリーの機種です。

フレームはノーマルモデル同様の加工ですが、厳しい環境下で走ることを想定し、各所を補強し強度を出していると言われています。

また、2018モデルからフロントフォークがフルカーボン製になりましたので、ハンドル周りの衝撃吸収性が高まり、手のひらや腕への負担が軽減されています。

さらに、軽いレバーの引きでも確実な制動力が得られる油圧式ディスクブレーキに変更になりましたので、悪路や急坂の下りなどでは大いにその恩恵を感じることができるでしょう。

そのディスクブレーキが2019モデルよりシマノ・105グレードになり、ますます評価が上がっています。

また、35Cという太さのタイヤはエアボリュームが大きくクッション性が高いので、衝撃吸収性に長け、オフロードでも安定感は抜群です。

そして、タイヤが加重を支えてくれる点ではある程度荷物を積むこともできますので、ロードバイクでキャンプなどに出掛ける「バイクパッキング」などにも適しています。

インプルソはコスパ面の評価が抜群に高い!

ロードバイクを選ぶ際には、まずメーカー、ブランドを決めると選択肢が絞り込まれるので、やりやすくなります。

その上で、フレームの素材やデザイン、付属パーツなどを吟味して結論を出すということになります。

そして、もちろん自分の予算があるはずですので、そこに照らし合わせて価格帯を絞り、最適な一台に近づいて行くことができます。

その点でビアンキのインプルソはアルミフレームの素材、加工、デザインは申し分なく、新・シマノ105搭載の2019モデルは、文句なくコスパが高いです。

今回は主にビアンキ内での比較でしたが、筆者が知る限りの他社同グレードの機種に比べても優位に立っていると言えますので、自信を持っておすすめさせていただきます。