イタリアの老舗チネリは今でこそプロチームのスポンサーはしていませんが、上質で高性能なイタリアンバイクの一翼を担ってきた人気ブランドです。
中でもクロモリフレームの「スーパーコルサ」は「自転車の教科書」とまで言われ、ロードバイクの基礎的存在の名車であり、カーボン、アルミ全盛期の今でも主力としてラインナップされています。
そこで今回はそんな世界的な名車スパーコルサを、ユーザーさんのインプレ情報なども含めてご紹介していきます。
チネリとは?
チネリは1948年に元自転車選手だった創業者が、イタリアで立ち上げた自転車メーカーです。
イタリアは創業100年を超えるビアンキやウィリエール、1950年代には現在のイタリア三大メーカーと呼ばれる、コルナゴ、ピナレロ、デ・ローザが創業している、老舗自転車メーカーの宝庫です。
その中でチネリが70年以上に渡り今日まで実績を積み上げてきたのは、革新的な技術と伝統を重んじるという、相反することになりかねない要素を両立させてきたからです。
チネリはロードバイクのフレームビルダーですが、ハンドルやバーテープを販売する世界的パーツブランドでもあります。
ハンドルの「ネオモルフェ」などは今回の主役であるスーパーコルサにも引けを取らない人気があり、ネット上には多くのインプレ評価が掲載されています。
その技術は今に始まったことでは無く、アルミ製のハンドルやプラスチックをベースに使用したサドル、コルク入りのバーテープなど、今ではスタンダードになっているパーツを最初に販売したメーカーでもあります。
そういった革新的な部分がある一方で、スーパーコルサなどは販売からほとんど変わらないフォルムであり、今でもイタリアの自社工房で職人さんが製造を行っています。
チネリ・スーパーコルサの特徴
ここではまず、チネリ・スーパーコルサの特徴からお話しします。
素材はクロモリであると冒頭でお話ししましたが、現在は同じグループ会社であるチューブメーカー「コロンバス」のニオビウム・スチールを使用しています。
しかし、インプレ情報の乗り心地や走行感は、クロモリフレームの特徴であるバネ感などは失っておらず、特徴が大きく変化している感じは見受けられません。
コロンバスではクロモリよりも強度が増していると説明していますので、進化していると見て良いかと思います。
販売はフレームセットのみで、最新モデルはスタンダードに加え、スーパーコルサがデビューをした1960年代のディテールを再現した「スーパーコルサヴィンテージ」がラインナップされています。
フレーム形状は典型的なホリゾンタルスタイルで、トップチューブがこれほど地面に忠実に平行なフレームも類を見ないほどで、さすがに「自転車の教科書」と言われただけのことはある、美しいフォルムです。
価格(税抜)はスタンダードが290,000円、カスタムサイズオーダーになりますと360,000円、ヴィンテージが350,000円になります。
チネリ・スーパーコルサの性能をインプレ情報から読み解く
ここではチネリ・スーパーコルサのインプレ情報を参考に、性能について確認をします。
冒頭でデビュー以来変わらないフォルムとお伝えしましたが、ということはもちろん性格も変わっておらず、レースバイクとしての軽快さがインプレ評価では好印象となっています。
スチールフレームの特徴は独特のバネ感にあるので、カーボンやアルミほどの剛性の高さはありません。
しかし、スーパーコルサはペダルをしっかり目に踏んでもへこたれず、ダンシング(立ち漕ぎ)でも歪む感覚がないというインプレ情報があるように、レーシングバイクとしての適度な剛性は備わっていることが分かります。
また、公表されている重量はフォーク込みで2500gとかなりある方ですが、加速力の評価が高いのも大きな特徴です。
現在のトレンドである空力性能重視のレースモデルのように、ぶっ飛んでいくような感覚はないものの、スチールフレーム特有のもっさり感は一切なく、スムーズな加速が評価されています。
スーパーコルサの乗り心地に関するインプレ情報
引き続きチネリ・スーパーコルサのインプレ情報を確認しますが、乗り心地に関しても多くの情報が寄せられています。
クロモリなどのスチールフレームは、バネのようなしなりがあって衝撃をいなしたり吸収したりするのが得意ではありますが、スーパーコルサは昔から鉄らしい硬質さが勝っているフレームと言われてきました。
筆者も古くからの知人が所有していることもあり、何度か走らせらせてもらったことがありますが、独特のバネ感もありましたが、それよりも硬さを感じました。
例えば、路面のわだちや、細かい砂利の上などではその情報がストレートに伝わってきますし、フォークもスチール製なので、手への衝撃も慣れない内は結構響いてくるレベルです。
インプレ情報でも乗り心地の部分は分かれるところであり、高めの剛性を好む方は最高という評価もありますが、想像以上に硬さを感じるというものもありました。
また、ホリゾンタルスタイルの場合は、小さいサイズになるほど剛性が高く硬めになり、大きいサイズはやや剛性が低くなります。
そのため、サイズによっても乗り心地が変わりますので、小柄な方ですと余計に硬さが感じられてしまうかもしれません。
スーパーコルサはクラシックモデルであると割り切る必要がある
チネリ・スーパーコルサのインプレ情報を確認してきましたが、レースモデルとして開発されているだけあり、加速性や巡行などの走行性能に優れていることが分かります。
ただ、一方でコンフォートなイメージを持つ一般的なスチールフレームとは一線を画し、乗り心地に関しては少しハード目と考えた方がよいでしょう。
また、これもインプレ情報では割と多いのですが、坂道の挙動に関して難しさがあるように感じます。
特にブレーキ周りが弱いと言いますかたわみを感じるので、下りでのコントロールが難しく、慣れるまでは少し怖く感じるかもしれません。
登坂に関してもさすがに重量があるので、軽快に上っていくというわけにはいきませんので、ヒルクライムなどを目指す方にはおすすめではないかと思います。
ただし、こういった少しネガティブな評価は、40年以上同じコンセプトで製造されているフレームにとっては致し方ないことです。
日々進化しているカーボンやアルミの最新レーシングフレームに比べれば、そのたたき台となってきたスーパーコルサが不利なのは必定です。
そのため、クラシカルであることを理解して、昔のロードバイクの走行感や乗り心地を求めるのが、スーパーコルサとの正しい付き合い方であると筆者は考えます。
スーパーコルサに組み合わせるパーツをインプレ情報から考える
チネリ・スーパーコルサはお伝えしている通り、フレームセットのみの販売ですので、組み合わせるパーツを自分で選定する必要があります。
そのため、組み合わせるパーツを試行錯誤しているインプレ情報が多くなっています。
まず、ホイールですが、多いのはクラシカルな見た目で、アルミリムに丸めのスポークが配されたものになります。
筆者個人的には、カンパニョーロ唯一のロープロファイルモデルの「ニュートロン・ウルトラ」がおすすめですが、意外とカーボンのディープリムを選択しているライダーの方も多く、目的、用途次第というところかもしれません。
次にコンポですが、同じ国の老舗同士ということなのか、カンパニョーロとの相性のよさが多く伝えられています。
実際に冒頭で触れましたハンドルのネオモルフェなどは、取付位置が明らかにカンパニョーロのシフター「エルゴパワー」用になっています。
また、カンパニョーロはいかにもメカニックというシマノに比べ、コンポの見た目もどこかクラシカルで工芸品的な趣もありますので、スーパーコルサとマッチすると考えられます。
見た目はクラシカルだが走行性能は引けを取らない
チネリのスーパーコルサは販売開始から長きに渡って、コンセプトやフォルムを変えずに生き続けてきたスチールフレームです。
現在も走行性能はレース向きで、スチール独特のバネ感を保持しながら、高めの剛性で強い走りに応えてくれるフレームでもあります。
乗り心地は全体的に硬めの評価が多いですが、快適さを損なうほどのことはなく、適度な硬さと考えてよいかと思います。