ロードバイクのホイールでは世界四大メーカーとしても認定されているカンパニョーロですが、プロライダーからロードバイクの初心者まで幅広く対応するラインナップが魅力です。
その中でも今回は、アルミリムホイールの上位グレード「ユーラス」を特集しますが、近年のトレンドにあえて乗っていない仕様であることが、逆に注目を集めています。
そのため、記事やブログなどで取り上げられることも多くなり、インプレ情報が増えてきていますので今回確認してみましょう。
カンパニョーロ・ユーラスの特徴
カンパニョーロのホイールにはリムの素材によって、カーボン、アルミ、カーボン/アルミコンポジットと分類され、それぞれにグレードがあります。
今回の主役ユーラスはアルミリムで、最上位の「シャマル」シリーズに次ぐ上から2番目のグレードになります。
ただし、セカンドグレードではありますが、シャマルシリーズとの違いはハブの仕様のみです。
ボディがカーボン製からアルミ製になっているのと、ベアリングがセラミック製からスチール製になっています。
カンパニョーロはハブの回転力に定評があるメーカーですから、特にベアリングの素材差を小さいと言い切れないところはあります。
ただ、カンパニョーロではスチールベアリングに比べセラミックベアリングの回転力は約30%増としていますが、多くのインプレ情報ではその差を感じるのはアマチュアレベルでは難しいとされています。
そのため、シャマルシリーズの人気モデル「シャマル・ウルトラ」との価格差が3万円以上であることからも、ユーラスを選ぶ意味も大きいと言えます。
カンパニョーロ・ユーラスのインプレ情報に多い「反応の良さ」とは?
カンパニョーロ・ユーラスのインプレ情報を確認しますと、反応の良さを評価する声が非常に多くなっています。
それはカンパニョーロ独自のG3スポークパターンに、上位グレードだけの仕様である極太のアルミ製エアロスポークの影響が大きいです。
G3スポークパターンはほぼすべてのホイールに採用されている技術で、後輪の偏る応力を最適化するために、ドライブ側に反対側の2倍のスポークを配しています。
また、3本を1セットで組んでいるため、空気抜けがよく乱気流が起こりにくい仕様にもなっており、空気抵抗の大幅な低減につながっています。
また、スポークの受けであるフランジをオーバーサイズにすることで、余計に横の剛性を高め、走行中のねじれを最大限まで抑えています。
そして、硬めで空気を切り裂きやすい形状のアルミ製のエアロスポークを使用することで、ホイール全体のたわみを抑え、エアロ効果も高めていることから、抜群の反応の良さがあります。
そのため、インプレ情報にはカチッとした踏みごたえを評価するものや、スムーズに高速域に到達する加速性に対する評価も高くなっています。
カンパニョーロ・ユーラスはインプレ情報でロングライド向きと評価される
カンパニョーロ・ユーラスはアルミリムホイールらしい反応の良さが売りですが、巡行性の高さもインプレ情報では高く評価されており、ロングライド向けのホイールと認識されています。
ロードバイクが巡行している際は惰性で動いているわけではなく、乗り手がペダルを漕ぐ抜くの繰り返しを行うことにより、微妙な加減速をしながら動いています。
そのため、反応の良いホイールですと、ペダルを漕いだ力がロスなく車輪に伝わりますので、無駄な力を使わずに巡行ができます。
また、ユーラスはクリンチャーモデルで1465gという軽量ホイールなので、巡行時の力の入力は余計に有利です。
そして、アルミリムにエアロ形状のスポークを組み合わせますと、がちがちの剛性感になってしまい、脚に来る硬さになることもあります。
しかし、リムの剛性感と軽量化を図るカンパニョーロの切り削り加工を施したリムの恩恵もあり、ユーラスは脚に負担の掛かるというインプレ評価もほとんど見られません。
カンパニョーロ・ユーラスはナローリムホイールの貴重な生き残り!
冒頭でも少し触れましたが、カンパニョーロ・ユーラスは現在のロードバイクのトレンドに乗っていないホイールです。
近年ロードバイクのホイールはタイヤが太めにシフトした流れを受けて、リムの内幅を広げた「ワイドリム化」が進んでいます。
従来の「ナローリム」と呼ばれる15mm(15c)幅から、17mm(17c)に2mm拡張されたわけですが、これによって従来の主流タイヤであった23c(23mm)が適応しにくくなりました。
タイヤの幅とホイールのリム内幅には数値で表す関係性があり、その値に満たない、または超えてしまうと、タイヤが外れてしまったり、パンクが頻発する可能性がある指標です。
その関係性からして、23cのタイヤがリム内幅17mmには適応しなくなってしまい、特にカンパニョーロはワイドリム化が顕著なため、23c派の肩身は狭くなっています。
インプレ情報やブログではまだまだ23cの有用性が感じられますし、明らかに23cの方が有利な条件もありますので、それに対応するホイールも当然必要です。
その中でユーラスは、現在カンパニョーロに2機種しか残っていないナローリムホイールであり、23c派にとっての貴重な生き残りなのです。
インプレ情報から見て取れる23cのタイヤの有用性
ロードバイクのタイヤはプロロードレースでの主流が23cから25cに移ったことにより、一般市場も多くの完成車が25cを標準装備としています。
しかし、重力に逆らって進む必要があり、何よりも軽量であることが優先される登坂競技のヒルクライムや、ロードレースでも山岳ステージではまだ23cが主流です。
また、23cの方が瞬間的な加速力には優れているので、タイムトライアルなどの短距離レースでは23cが重用されています。
実際に市民レースに参加している方のインプレ情報を確認しますと、多くのライダーが23cを使用しており、アマチュアでも23cの有用性はまだ十分にあります。
そのため、走行環境によっては普段から23cのタイヤでもよいわけですし、タイヤメーカーもラインナップから23cを外すような流れにはなっていませんので、23c派にとってカンパニョーロのユーラスは真っ先に選択肢に入ってくるホイールです。
もちろん前項でお伝えしたタイヤ幅との関係性で、25cのタイヤを履くことは全く問題ありませんので、インプレ情報でも伝えられていますが、安定感が欲しい場面ではタイヤを履き替えるという選択もあります。
カンパニョーロ・ユーラスのスペックとインプレ情報が伝える使用感
それでは最後にカンパニョーロ・ユーラスのスペックをお伝えします。
【EURUS(ユーラス)シマノフリー】
・参考価格:¥129,000(税抜)
・重量:1465g
・リム素材:アルミ
・リム幅:前・24mm 後・28mm
・リム内幅:15mm(15c)
・ハブ:アルミボディ
・ハブベアリング:カップ&コーン/スチールベアリング
・スポーク:アルミ製エアロスポーク
・スポーク本数:前・16本(ラジアル組み)後・21本(G3組み)
筆者がインプレ情報と自身の体験を参考にまとめた使用感は以下の通りです。
◆反応が良く加速性が高い
◆スピードの維持がしやすく、特に30Km/hを過ぎてからの安定感が素晴らしい
◆無駄なところに厚みがないリムのため、ペダルが軽く脚に疲労がたまりにくい
◆ガチガチではないが適度に剛性があるので、踏んだ分だけ進んでくれる推進力を感じる
ナローリムであることが新たな武器となった!
カンパニョーロ・ユーラスはアルミリムのセカンドグレードとして、カンパニョーロのアルミホイールの優秀さを幅広いユーザー層に届ける役割を担ってきました。
しかし、ここにきてワイドリム化の流れがきたため、今度はナローリムの生き残りという存在意義となり、ヒルクライムやタイムアタックなどに対応する貴重なレーシングホイールになっています。
また、適度な剛性の切り削りリムに、硬めでエアロ効果の高いスポークを組み合わせることで、非常にバランスよく仕上がっていますので、レースだけでなくオールマイティに活躍してくれます。