ロードバイクにおけるホイールの重要性は、全てのパーツの中でもトップクラスです。
それだけに、各メーカーがこぞって販売競争を繰り広げており、市場は常に活気に溢れています。
その中でも、カンパニョーロのロードバイク用ホイール「ゾンダ」は、幅広い層から支持を受ける人気ホイールです。
今回は、そんなゾンダをご紹介していきます。
ロードバイクのホイールを取り巻く環境
ロードバイクのホイールは軽量で高性能なほど、価格が上がっていく構図になっています。
各メーカー共に、ハイエンドモデルはカーボンリムで、30万円以上は当たり前という世界です。
プロのロードレースでは、市販されているものを使用するのが基本なので、レース仕様と分かっていても、高額なものが出回っています。
ロードバイクのホイールにおいて、日本で大きなシェアを誇るのが、以下の4メーカーです。
「カンパニョーロ(イタリア)」「フルクラム(イタリア)」「シマノ(日本)」「マビック(フランス)」
この内、カンパニョーロとフルクラムは親子関係で、フルクラムはカンパが立ち上げたホイール専業メーカーです。
今回、取り上げる「ゾンダ」は、カンパニョーロのアルミリムホイールで、中位グレードの位置付けになります。
どこかが特別に秀でているわけではありませんが、とにかく、そのバランスの良さと、コスパの高さが支持されています。
エントリーモデルからの履き替えでは、真っ先に名前が上がりますし、好んで長年使い続けている人も少なくありません。
ゾンダとはこんなホイール
では、「ゾンダ」のスペックを確認しましょう。
重量は1,535g(あるショップの実測値)で、中位グレードなら、まず納得の重量です。
アルミリムにスチールスポーク、リムハイトがフロント26mmリア30mm、今の主流の25cタイヤに合わせ、ワイドリム化されています。
スペックだけを見る分には凡庸で、特筆するべき点はありません。
しかし、ゾンダの良いところは、上位モデルの技術が多く採用されている点にあります。
カンパニョーロ独自のスポークの組み方である「G3スポークパターン」や、ハブのベアリングの特殊加工などが代表的です。
個々の技術については、後ほど詳しく触れていきます。
こういった技術を採用しながら、希望小売価格は7万円台ですが、実売では5万円台のところもある、リーズナブルさが人気の秘訣です。
ゾンダは言ってみれば、カンパニョーロのロードバイクホイールの広告塔です。
ゾンダを使ってもらえば、カンパが分かると言っても過言ではない存在なんですね。
ゾンダはスポークの組み方が独特
それでは、先述したゾンダの特徴をひとつずつ掘り下げてみましょう。
まずは、「G3スポークパターン」ですが、これは最低グレードの「カムシン」に至るまで、カンパ全てのホイールに採用されています。
リアホイールのみですが、3本のスポークをワンセットとして、7方向に向けて放射状に組まれています。
まず、見た目のかっこ良さは、他の追随を許しません。
この組み方が好きで、カンパを選ぶという人も少なくありません。
ロードバイクは、見た目でモチベーションを上げるのも大事な要素ですから、意外に見逃せない点です。
もちろん見た目だけではなく、機能的にも優れています。
一般的なホイールは、スポークが蜘蛛の巣のように張り巡らされてますが、G3パターンは3本が一束なので、束と束の隙間が大きくなります。
このことで空気抜けが良くなり、抵抗を軽減することができます。
また、スポークの空気抵抗が大きいのは、リムに支持している留め具の「ニップル」部分です。
これが直線上に3つ並んで付けられているのも、空気抵抗を減らす効果があります。
さらには、横から見ると平行に見えますが、スポークはホイールの右と左に分かれて張られています。
これを、フリー側2:1反フリー側の割合で組むことにより、スポークテンションを均一にして、振れが出にくいようにしています。
もちろん、フリー側に多くのスポークを配することによって、動力を確実に伝達させる効果もあります。
ゾンダのベアリング
ゾンダの凄いところはスポークだけではなく、ハブのベアリングにもあります。
ロードバイクのホイールのハブには、ボールベアリングが搭載されていますが、ゾンダはスチール製ボールです。
カンパの上位モデルは、セラミック製のボールが採用されており、回転がスムーズと言われています。
ゾンダより上のグレードのハブは、「カップ&コーン」というベアリングが採用されています。
カップと呼ばれる金属製の受け皿をハブに挿入し、そこにボールベアリングを配置します。
一般的なベアリングはスチール製なので、カップが普通の金属製でも問題ありません。
しかし、ボールベアリングがセラミック製だとカップよりも硬いので、カップを削ってしまいます。
そのため、セラミック製ベアリングを採用しているモデルは、カップに特殊加工がされており、削れない仕様になっています。
ゾンダはベアリングがスチール製なので、特殊加工は必要ないのですが、上位モデルと同じ加工がされています。
そのため、セラミックベアリングを使用することができるので、グレードアップが可能です。
ゾンダをロードバイクに使用すると
それでは、ゾンダの使用感をインプレで確認してみましょう。
ゾンダはロードバイクの最初のホイール交換の対象になることが多いので、漕ぎ出しの軽さや転がりの良さを伝えるインプレが多くなります。
先述しましたが、重量的には特別軽いわけでもないですし、ベアリンングも一般的なスチール製です。
それでも、やはり、ゾンダの持つバランスが、そういった感覚を持たせてくれるのでしょう。
また、巡航速度のアップについても触れているインプレが目立ちます。
これは、ロードバイクに乗り慣れてきて、脚力が付いてきている証拠でもあるのですが、ゾンダはある程度重量があるので、速度が落ちにくいのは確かです。
特にゾンダは、G3スポークパターンを維持するために、リムの剛性が高いので、坂の下りでの安定感があります。
そのため、スピードに乗る感覚が、とてもすごいと思います。
さすがにヒルクライムのレースとなると、重量がネックになりますが、練習用ならば、これほど扱いやすいホイールも他にないかもしれません。
その他のメーカーのロードバイク用ホイール
ここまで、ゾンダについて確認してきました。
ゾンダはカンパニョーロのアルミリムホイールの中位グレードですが、各メーカーとも、このグレードにロードバイクの主力ホイールが揃っています。
フルクラムの「レーシング3」は実によく比較されますが、親子関係だけあって、ベアリングのカップの特殊加工や、リムの性質は似通っています。
わずかにレーシング3のほうが剛性が高く、硬めの乗り心地と聞きますが、好みの問題程度の差だと言う人もいます。
価格もほぼ同じなので、本当にどちらにするかは悩むところなので、最終的には見た目で判断することになりそうです。
次に、シマノからは、「WH-RS81 C24-CL」が中位グレードの代表になります。
リムの地はアルミですが、カーボンでラミネートされているので、重量では一歩リードの存在です。
リムに上位モデルの「デュラエース」と同じものを使用しているという話もあるので、中位といっても、ワンランク上の感じです。
シマノは全体的に剛性が低く、柔らかめの乗り心地が特徴なので、ロングライド向きです。
ゾンダはバランスの良さが目立つ
今回は、カンパニョーロのロードバイク用ホイール「ゾンダ」を取り上げました。
やはり、自分のイメージしていた通り、どこかに秀でるのではなく、全体のバランスで勝負しているホイールだと感じました。
それが用途や客層を選ばない良さですから、最初のホイール交換でも、グレードアップ目的でも十分に満足いくものだと思います。