クロスバイクはママチャリの延長で、街乗り専門というイメージもあるかと思います。
しかし、最近は高性能な機種も多く、本格的なスポーツバイクとして認められてきたように感じます。
メリダの「GRAN SPEED(グランスピード)300-D」などは正にその代表格で、ロードバイクやMTB並みの使い方ができるはずです。
メリダのクロスバイク
メリダはMTBで世界に名を広めたメーカーですが、近年はワールドツアー参加チームに機材を提供しており、ロードバイクも確実に成長してきています。
ある意味その両方のノウハウが必要とも言えるクロスバイクは、メリダの得意分野が凝縮されているという解釈もできます。
メリダは、量産は難しいとされたマグネシウムフレームなどを作り出し、金属フレームの成形にかけては昔から世界レベルの技術と認められています。
その技術を余すところなくクロスバイクにも投入しているので、高性能なものが製造できます。
また、付属パーツにも妥協が無く、ロードバイクかMTB用のコンポを使用し、ラインナップの7割近い機種がディスクブレーキ搭載になります。
メリダのクロスバイクには、フラットバーロードと呼んでも差し支えない快速系の「GRAN SPEED(グランスピード)」と、従来の街乗り車の趣がある「CROSSWAY(クロスウェイ)」の2シリーズがあります。
そして、今回はグランスピードの最上位モデル「300-D」を取り上げます。
メリダ・グランスピードシリーズのラインナップ
それではまず、メリダのグランスピードシリーズの機種を一覧でご紹介します。
なお、アルミフレームとカーボンフォークは、全て同じものを使用しており、80-MDは機械式ディスクブレーキ、その他は油圧式になります。
【GRAN SPEED(グランスピード)300-D】
重量:9.8㎏(52サイズ)
メインコンポ:SRAM(スラム)・Apex1 ロード1×11(ワンバイイレブン)
参考価格:¥127,332
【GRAN SPEED 200-D】
重量:10.3㎏(50サイズ)
メインコンポ:シマノ・SORA(ソラ)
参考価格:¥102,492
【GRAN SPEED 100-D】
重量:10.3㎏(47サイズ)
メインコンポ:シマノ・TOURNEY(ターニー)
参考価格:¥86,292
【GRAN SPEED 80-MD】
重量:10.3㎏(50サイズ)
メインコンポ:シマノ・TOURNEY(ターニー)
参考価格:¥79,812
以上4機種が2019モデルとなりますが、コンポの違いが価格や重量に出ているわけで、そこを考慮して選ぶことになるかと思います。
メリダ・グランスピード300-Dは「フラットバーロード」
前項ではメリダのグランスピードシリーズの全ラインナップをご紹介しましたが、のちほどどのモデルがおすすめなのかを考えてみます。
それではここから、今回の主役グランスピード300-Dについて詳しくお話ししていきます。
冒頭でもフラットバーロードと呼べるとお伝えしましたが、メリダのアルミロードバイクと素材やチューブの成形技術はほとんど同じです。
若干レーシーさは緩和されていますが、それでもスポーティーな走りは十分にできますので、スピードも期待できます。
また、カーボンフォークを使用していますし、太めのタイヤを履いていますので、衝撃吸収性が高く、身体にダメージを残しません。
そういった意味では50㎞、100㎞のロングライドも十分可能で、路面状況に左右されにくい油圧式のディスクブレーキなら多少のオフロードも心配ないので、道路状況次第では、ロードバイクをしのぐ利便性を発揮してくれます。
以前はクロスバイク=街乗りというイメージがあり、ここまで内容を充実させるとオーバースペックと言われたものですが、ロードバイク並みの用途なら価格も含め相応と判断してよいかと思います。
グランスピードはフロントシングルギア
メリダ・グランスピード300-Dですが、シリーズの中でも他と一線を画すのは、フロントシングル、リア11速のギア構成「1×11(ワンバイイレブン)」です。
クロスカントリーモデルのMTBでは主流になりつつありますが(MTBはリア12速が多い)、シンプルなギア構成になることでトラブルが減り、パーツが少なくなるので軽量化も図れます。
しかも、こちらはMTBのコンポでは第一線のSRAM(スラム)が、ロードバイク用に開発したものであり、フラットバーロードと位置付けられる300-Dには最適なコンポかと思います。
ギア構成はフロントが44Tでリアが11-42Tの超ワイドレシオなので、それほど重いギア比によっていることはなく、バランスは取れています。
ただし、山間部などで起伏が激しいところを頻繁に走るようなシチュエーションですと、欲しいギアに欠ける可能性はありますし、勾配のきつい上りには少し不安が残ります。
反対に平坦路がメインで、一定の速度で巡航するような、ロードバイク的な乗り方であれば全く問題なく、不足も感じないはずです。
グランスピード300-D以外の選択肢を考える
前項でお話しした、メリダ・グランスピード300-Dの、1×11のギア構成が乗り方にそぐわない場合は他の機種を考えることになります。
その点で見ていきますと、アップダウンの激しい場所で乗るなら、フロント2速リア9速の「200-D」がよいかと思います。
付属コンポのシマノ・ソラはロードバイク用のコンポですから、スピードの妨げになったりはしませんので、300-Dのような乗り方も十分可能です。
そして、街乗りがメインで、遠出しても10㎞、20㎞という乗り方であれば、コンポのグレードに目をつぶって「100-D」を選択するのもありです。
100-Dは価格も10万円以下ですから、その分装備品に費用を回すこともできます。
残るは80-MDですが、こちらは機械式のディスクブレーキなので、考え方を変えなければいけません。
油圧式の方が制動力が強いですし、メンテナンスや消耗品の交換頻度が低いので、油圧式の方がメリットが大きいのは確かです。
しかし、街乗り+10㎞、20㎞の走りであれば、そこまで油圧式のメリットが際立つわけではありません。
ただ、80-MDはブレーキ以外の装備がほぼ同じながら価格は100-Dと6千円程度の差なので、将来用途が広がる可能性も考え筆者は100-Dをおすすめしておきます。
他のカテゴリーでグランスピード300-Dのライバルになり得る機種
前項ではグランスピード同志の比較から、最適な機種を考えてみましたが、最後にメリダのスポーツバイク全体で、300-Dの比較対象になりそうな機種もご紹介しておきます。
【BIG.NINE(ビッグナイン) 500】
重量:12.2㎏(43サイズ)
メインコンポ:シマノ・Deore
参考価格:¥145,900
メリダの十八番でもある、MTBから一台ご紹介します。
グランスピードは700cというタイヤサイズの規格で、こちらは29インチです。
一見別の数字ですが、統一規格で見ると両者は同じ外径のサイズであり、車輪の大きさはほぼ同じとなります。
そのため、小さめの車輪である機種に比べればMTBでも進みが良い方ですので、29インチは通勤などにもよく使われます。
ただ、サスペンションが付いていたり、チューブが厚いので、重量は嵩みます。
そのため、ツーリングなどで軽い走りメインということであれば、グランスピードが優位です。
【SILEX(サイレックス) 200】
重量:10.4㎏(50サイズ)
メインコンポ:シマノ・ソラ
参考価格:¥151,092
外見はロードバイクですが、35cという太めでブロックパターン付きのタイヤを履く「グラベルロード」というカテゴリです。
オフロードをこなすロードバイクという位置付けなので、300-Dに非常に似た性格です。
ロードバイクとしての装備がある分300-Dよりも割高ですが、コンポは同じですし、重量もほぼ変わりませんので、これはかなり近いライバルと言えます。
用途の幅が大きく広がった!
今回はメリダのクロスバイク、グランスピード300-Dをご紹介しました。
タイトルともしましたが、街乗り専門という概念は全くなく、ツーリングや通勤などもこなすロードバイク的な要素も十分あります。
そのため、今は10万円前半という価格もオーバーではないと判断できますので、検討に値すると言ってよいでしょう。