クロスバイクやロードバイクなどのスポーツ自転車が盗難被害に遭うという話は、残念ながら毎日のように見聞きするものです。
その盗難リスクは自転車本体だけでなく、パーツにも及びます。
中でも容易に盗まれてしまうもののひとつが「サドル」です。
今回は、クロスバイクや、ロードバイクのサドル盗難対策について考えてみましょう。
クロスバイクやロードバイクの盗難リスクはサドルにも
東京都内だけで1年間に約4万台、全国でも約25万台以上が盗まれているという、自転車。
クルマとは違って、担ぐなどして簡単に持っていけてしまうだけでなく、きちんとカギをかけないケースも多いことから、簡単に盗まれてしまいます。
そして、クロスバイクやロードバイクなどのスポーツ自転車の場合、その盗難リスクは自転車本体だけにとどまりません。
スポーツ自転車は各パーツを簡単に脱着できるようになっているので、パーツも盗まれてしまうのです。
そのようにして盗まれてしまうパーツの代表格が、サドルでしょう。
クロスバイクを駐輪場に置いて出かけて、夜になって帰ってきたら「サドルが無くなっていた」という経験をお持ちの人も少なくないかと思います。
また、街中でサドルが無くなった自転車が放置されている光景も、よく見かけます。
お気に入りの自転車のサドルが盗まれてしまったら、誰だって悲しいですし、怒りもこみあげますよね。
サドルの盗難は転売目的やイタズラなどが理由
窃盗行為をはたらく人の気持ちなどあまりわかりたくもありませんが、そもそもなぜクロスバイクやロードバイクのサドルが盗難被害に遭うのでしょうか。
ひとつは「転売目的」です。
スポーツサイクルのパーツの中には高額商品も多いということは、すでにたくさんの人が知っていますし、サドルについても例外ではありません。
とくにロードバイクであれば、盗んだサドルをインターネットオークションやフリマアプリで出品することによって、利益を得るのです。
濡れ手に粟とはまさにこのことで、とても許しがたい行為ですね。
そして、もうひとつ多いのが「イタズラ」によるものが挙げられます。
売り払うわけでもなく、ただイタズラとして人を困らせるためだけにサドルを盗むのです。
盗まれた側は、たまったものではありませんね。
サドル盗難のパターンは「ポストごと」が主流
クロスバイクやロードバイクのサドルが盗難被害に遭いやすいのは、いとも簡単に盗めてしまうことにも原因があります。
まず、スポーツ自転車は、簡単にパーツを脱着できるようになっているので、もともとパーツの盗難被害に遭いやすいものです。
サドルは高さを調整を行う機会が多いので、クロスバイクやロードバイクなどはもちろん、シティサイクルでも簡単に取り外しが可能です。
したがって、サドルが盗難被害に遭う場合も、高さ調整のためのレバーをゆるめて、シートポスト(シートピラー)ごと抜いてしまうのが主流です。
サドルだけを取り外すためには工具を使い、手間も少しかかります。
そのため、もしもそのような被害にあったとすれば、「スポーツ自転車の知識のある窃盗犯」である可能性があります。
根本的には「目を離さない」のがもっとも有効
サドルなどのパーツに限らず、自転車本体も含め、盗難被害に遭わないようにするには「目を離さない」のがもっとも効果的です。
Twitterなどで日々見かける盗難被害の報告を見ますと、数十万円する高級なロードバイクを駅前や商業施設の駐輪場に駐輪し、何時間もその場を離れているケースが見受けられます。
駐輪場は誰でも出入りできる場所であり、いくら有料で機械的なロックがかかっても、そしてカギをかけていても、絶対安心とは言い切れません。
高額な自転車は、なるべくそのような環境には駐輪しないことが、いちばんの対策です。
ただし、日常的に使用するクロスバイクの場合「目を離さないで」と言われても、無理な話ですね。
他にできる対策は何があるでしょうか。
クロスバイクやロードバイクのためのサドル盗難対策は?
クロスバイクやロードバイクのサドルを盗難被害から守るための、現実的な対策を考えてみましょう。
海外でよくあるのが、盗まれそうなパーツはあらかじめ外して、持ち歩いてしまうことです。
自分で持ち歩くので盗まれようがありませんし、それが可能であれば有効な対策であることには間違いありません。
ただ、突き詰めると「自転車ごと持ち歩きたい」ということになりますし、限度がありますね。
それに、サドルが取り付けられたシートポストは思いの外、大きいのです。
したがってこの方法は、あまり現実的とは言えません。
そこで、シートポストごと抜かれることが多いのであれば、抜かれないようにする方法を考えてみましょう。
スポーツ自転車のシートポストを固定する部品を「シートクランプ」と呼びますが、主に2種類のタイプがあります。
それは、クイックレバーで固定するタイプと、アーレンキー(六角レンチ)で固定するタイプです。
比較的安価なクロスバイクですと、工具無しで簡単に高さ調整ができるように、クイックレバー式のシートクランプが採用されているケースが多いようです。
一方、アーレンキーを使うタイプは、盗むにしてもアーレンキーを使うという「手間」がかかり、その手間だけでも大幅に盗難リスクを減らすことができます。
シートクランプは、自転車のシートチューブという部分のサイズに応じていろいろ用意されていますので、自転車店で相談すると交換してくれます。
日常生活で使うクロスバイクならワイヤーロックを
サドルを盗難被害から守るための対策としてもうひとつ考えられるのが、カギをかけることです。
自転車本体にカギをかけるとき、サドルもいっしょにロックしてしまうのです。
クロスバイクやロードバイクのサドルには、特殊な形状のものではない限り「シートレール」と呼ばれる部分があり、それがシートポストとの接点になっています。
そして、シートレールとサドルの座面の間には、高さ数cmの隙間があります。
この隙間は、細めのワイヤーロックであれば十分に通すことができるものです。
どんなに頑丈なカギでも、窃盗犯が本気を出せば壊すことができますが、なるべく手間がかかるようにすることで、「カジュアルな」窃盗犯からの被害は防ぐことができます。
まず、自転車本体は太いワイヤーロックやU字ロックなどを使って、頑丈にロックしましょう。
そして、カギはひとつだけでなく、ふたつ使うことで、盗まれにくくなります。
ちなみにふたつめのカギは、自由に取り回せるワイヤーロックが良いでしょう。
そしてワイヤーロックをかける際に、自転車のフレームなどといっしょに、シートレールとサドル座面の間も通します。
近くに柵や駐輪場の支柱などがあれば、そこにも通しましょう。
このようにすることで、シートポストを抜くだけでは盗むことができなくなりますす。
普段使いのクロスバイクには、とくにおすすめの方法です。
盗難リスクはゼロにはならないのでとにかく自衛しよう
自転車や自転車のパーツが盗難の被害に遭うことは、残念ながらゼロにはならないでしょう。
しかし、持ち主である私たちができる限りの対策を行うことで、そのリスクを低減することは可能です。
サドルが盗まれてしまわないように、シートクランプを交換したり駐輪時にワイヤーロックを通すなどして、悲しい目に遭わないようにしたいものです。