ママチャリは生活に密着している自転車なので趣味で乗るというよりは、徒歩に代わる移動手段と考えている方が多いでしょう。
しかし、ママチャリも走行性能を上げることができるはずですし、実際に色々と行っている方もいます。
サドル交換などもその一環であり、ママチャリが別物に生まれ変わるかもしれません。
今回はそんな可能性を探ってみましょう。
ママチャリとスポーツバイクは同じ自転車でもコンセプトが全く違う
ママチャリは老若男女が何の気兼ねもなく乗れるというのが基本なので、丈夫ですし、特に難しい機能が付属しているわけでもない、汎用性の高い乗り物です。
ロードバイクなどのスポーツバイクとは、同じ自転車でも全くの別物と言っても大げさではありません。
少しおおざっぱな考えではありますが、スポーツバイクは最初から付属しているホイールやタイヤ、サドルなどを交換しながら、自分なりの一台に仕上げていきます。
しかし、ママチャリはタイヤのパンクなどのトラブル以外では、付属している部品を交換する、いわゆるカスタマイズ的な発想はあまりないかと思います。
それは、別段不思議なことでもなく、むしろ一台乗り潰すまで何もしないで済むならそれに越したことはないでしょう。
これくらい、自転車に対する考え方がママチャリとスポーツバイクでは違うものです。
最低でも10万円は下らないロードバイクと、1万円を切るものまであるママチャリが同じものというのも無理があるので、この考えも当然と言えば当然ではありますね。
しかし、ママチャリも自転車には変わりなく、ポテンシャルは秘めています。
今回のテーマであるサドル交換や高さの調整は、安価にしかも簡単な作業で劇的な変化をもたらしてくれますので、お話ししていきます。
サドルに求められる快適性とは?
ロードバイクを使うロードレースの選手が、サドルに求めるものは「快適性」と言われています。
ただ、プロの選手の快適性とアマチュアでは、「快適」の意味が少し違うかと思います。
プロの選手が求める快適性には、「効率のよさ」が大前提になります。
ペダルを効率よく回すためのサドル、体重移動を効率よく行えるサドル、地面からの衝撃を効率よく吸収していなすサドル、このような考え方を一括して快適性としています。
一方、筆者も含めたアマチュアがサドルに求める快適性は、長い時間乗っていてもお尻や股間が痛くならず、不快な思いをしないことにあります。
これはプロ選手にとっても重要なことに変わりありませんが、お尻の痛みは乗り方にもよるので、プロ選手はあまりこの悩みはないようです。
また、股間付近の痛みは前傾姿勢になるロードバイク特有のものであり、上体を起こして乗るママチャリではまず発生しない悩みです。
このことから、やはりプロとアマでは求めるものが違うことが分かります。
そして、今回はプロが求める効率のよさをアマチュアが、しかもママチャリのサドル交換でどこまで再現できるのかを考えてみます。
ママチャリの効率アップのためにサドル交換前にやっておきたいこと
ママチャリを効率のよい乗りものにしていくために、サドル交換をする前にまず行って頂きたいことがあります。
ママチャリのサドルの高さですが、サドルに跨った時に地面に足の裏がベタ着きになる位置になっていませんか?
これですとペダルを漕ぐ際には膝がかなり曲がってしまい、ペダルに効率よく体重を乗せることができませんので、余計な力を入れて漕いでいることになります。
また、ママチャリはただでさえ上体が起き気味で、自転車の後ろ側に体重が掛かっているので、ペダルに力を入れにくい姿勢なのです。
そのため、サドルを上げると姿勢が前傾になりますし、膝が伸びた状態でペダルを踏み込めるので、体重が掛けやすくなります。
こうすることで、自然に車輪の回転力が上がりますし、無駄な力を使わないで済みますので力を温存しながら効率よく、しかもスピードアップが望めます。
サドルの高さですが、跨った時につま先が着くくらいが最も効率よくペダルを回せる位置になります。
慣れない内は少し怖いかもしれませんが、すぐに慣れますしママチャリは安定性が高いので深く心配することもありません。
体重を分散させない限りサドル交換をしてもお尻は痛いまま
前項でお話したサドルの高さを上げることは、効率のよいペダリング(漕ぐこと)と同時に、お尻の痛みや疲労を軽減することにも繋がります。
先ほどプロ選手にお尻の痛みで悩んでいる人はほぼいないとお伝えしましたが、これはサドルだけに体重を集中させずに、分散しているからです。
自転車で乗り手の体重が掛かるのは、サドル(お尻)、ペダル(脚、足)、ハンドル(手、腕)の3点です。
ママチャリのように上体が起き気味の姿勢では、サドルに最も体重が掛かるのは致し方のないことです。
しかし、これではいくら座る面が柔らかい素材のものにサドル交換したとしても、お尻の痛みは出ます。
そこで、サドルの高さを上げれば、前項でお話ししたようにペダルに体重が乗りますし、前傾姿勢になればおのずとハンドルにも体重が掛かるようになります。
そうなればお尻への負担が軽減され痛みが出にくくなるので、快適性が増して距離も伸ばせるはずなのです。
ママチャリのサドル交換にはどんなものがよいのか?
前項まではサドル交換の前にできることとして、サドルの高さを上げる効果についてお話しました。
しかし、それでもサドル自体に問題があれば、得られる効果は少なくなります。
ママチャリのサドルには座る面がやたらと柔らかいものがありますが、これですと体が沈み込んでしまうので、ペダルに力がこめられません。
また、沈み込むことでパンツやズボンが引っ張られるので、擦れて痛みが出ることがあります。
そのため、もし体が沈み込んでしまうような感覚のあるサドルを使用しているのであれば、サドル交換をおすすめします。
体が沈み込まない程度に弾力がある一方で、座る面が硬すぎないのがママチャリには理想的です。
実物を見て表面を指で押してみたりして確認すれば万全ですが、そうもいかない場合もあると思います。
そこで次項では筆者自身の経験や、インプレなどを参考におすすめのママチャリ向きサドルをご紹介します。
おすすめのママチャリ用サドル
それでは、ママチャリのサドル交換でおすすめしたい品をご紹介します。
【BRIDGESTONE(ブリヂストン) :ソフトサドル】
定番中の定番で、これにしておけば後悔は少ないと言ってよいでしょう。
ソフトサドルとありますが、適度に弾力があって柔らか過ぎないところが、今回お話ししてきたカスタマイズ向きです。
また、幅が広く座面がフラットのためお尻の位置が動かしやすく、上手く圧力を分散させることもできます。
定価は2,000円ですが通販サイトではほぼ半額になっており、コストパフォーマンス的にも申し分ありません。
【KISSTYLE :穴あきサドル お尻にやさしい肉厚クッション 】
今回お話ししたサドルのカスタムでは、多少ですが今よりは前傾姿勢になります。
そうなると、股間付近が圧迫されて血流が悪くなるので、しびれや痛みが出る場合があります。
このサドルは座面の股間が当たる場所に穴が開いており、圧迫を軽減してくれます。
こちらも適度に弾力があるので、ペダルに体重を乗せやすい仕様です。
なお、ママチャリはサドルを取り付けるためのシートポストがただの棒なので、サドル側に取り付けるための金具(やぐら)が必要です。
この金具はスポーツバイク用のサドルには付いておらず、ママチャリに取り付けるにはシートポストごと交換する必要があるので、ご注意ください。
ママチャリのサドルはカスタム次第でもっと快適になる
今回は、ママチャリのサドルの効率をよくして性能を上げるためのカスタムや交換についてお話ししました。
サドルの高さを上げるだけで、ペダルを回す効率が上がり、疲労やお尻の痛みの軽減にも繋がります。
また、交換をする場合は、座面が柔らかすぎないことを意識してください。