もし、目的地まで「徒歩1km」と聞いたら、距離感をイメージできますか?
また、「徒歩12分」と聞いたらどうでしょうか?
これは日本人の平均速度で歩いたと仮定すると、1kmは12分という計算になるので、実は同じ意味なのです。
では、自転車だったら、何分掛かるでしょうか?
今回は、このような時間と距離の関係について、考えてみましょう。
徒歩で1kmは何分?
冒頭で平均時速の話をしましたが、日本人の徒歩の平均時速は、4.8km/hと言われています。
これは不動産屋さんが「駅から何分」という広告を打つ際に、1分間で80m進むとして計算されたものです。
真偽のほどは定かではありませんが、女性がハイヒールを履いて歩いた結果と言われていますので、老若男女の平均としては妥当かもしれません。
こういった、おおよその目安の速度が分かっていると、徒歩1kmは大体12分くらいだなと分かるわけです。
また、我々はどこか時間に追われて生活しているところがあるので、距離と時間では圧倒的に時間を意識しているものです。
徒歩で1kmと聞いても、あまりピンとこないかもしれませんが、12分と聞くと、割と距離感がつかめるのではないでしょうか。
では、自転車では1km走るのに、何分掛かるのでしょうか?
自転車にも色々と種類がありますが、一番スピードが出ない、一般的なママチャリで、時速14km/h程度と言われています。
これで計算すると1kmは、約5分ということになります。
徒歩の場合よりも、もっと顕著に、受け止め方に差が出るのではないでしょうか。
「自転車で5分」となると、グッと近い感じがしますよね。
1kmは徒歩圏内と考える
徒歩を、移動手段のひとつと考えたときに、1km=12分は珍しいことではないでしょう。
通勤時に自宅から駅まで、また、駅から会社まで12分歩いている人は、大勢いらっしゃると思われます。
そのため、1kmという距離は徒歩圏内と考えられます。
ところが、20分~30分となってくると、話は違ってきます。
距離にして、1.6km~2.4kmですが、都心部なら電車の1駅分といったところです。
これならば、電車に乗ればいいわけですし、さすがに別の手段を考えたくなる距離です。
何分歩くのが許容範囲かは個人差がありますが、20~30分となると、移動手段というよりは、エクササイズの域に入ってきますね。
では、ここでも、自転車を使うことを考えてみましょう。
ママチャリでは、1.6kmは約7分、2.4kmは約10分ということになります。
これを見ると、自転車のスピードは侮れないと思いますし、ポテンシャルを秘めているんだなと感じます。
徒歩で1万歩は何分?
徒歩の場合、1kmが許容範囲ではないかとお話させていただきました。
「万歩計」もあるくらいで、昔から1日1万歩、歩くと良いと言われます。
この1万歩は何分、また何kmになるのでしょうか?
計算には歩幅が必要ですが、2つの説があり、身長の45%と身長-100という説です。
私の身長は172cmですから、45%で77.4cm、-100で72cmです。
あくまでも目安なので、上記の数字の中を取って、75cmとします。
となると、1万歩は75cm×10000=75万cm=7.5kmになり、時間にすると、約1時間30分になります。
もちろん、1時間30分歩き続けるということではありませんが、かなりハードな距離や時間だなと思います。
しかし、7.5kmという距離も、ママチャリで走ると約32分です。
ひとっ走りという感覚ではなくなってきますが、徒歩に比べれば、現実味がある数字に思えます。
しかも、自転車は効率の良い有酸素運動なので、ダイエット効果も高いです。
なお、有酸素運動は20分以上行わないと効果がないと噂されますが、これは全くのウソです。
運動時の消費エネルギーが糖質か、脂肪かの違いだけであり、20分までは糖質、20分からは脂肪がエネルギーになります。
どちらを消費しても、ダイエットにはなりますので、脂肪を燃やさなくても効果はあります。
徒歩で1km、消費カロリーは?
前項でダイエットの話をしましたので、徒歩や自転車で、どのくらいのカロリーを消費するのか調べてみます。
消費カロリーの計算には「メッツ値」という、運動によって消費するエネルギーが安静値の何倍になるかを示す値と、個人の体重が必要になります。
仮に、体重60kgの人が時速4.8kmで1km歩いたとすると、消費カロリーは約50kcalとなります。
一方、自転車で1km走った場合は、約40kcalを消化します。
「なんだ自転車の方が消費カロリーが少ないじゃないか」と思われた方も多いと思いますが、これが数字のマジックです。
距離は同じ1kmですが、先述したように「何分」運動しているかを考えてください。
徒歩は12分、自転車は5分です。
この時間の差で、わずか10kcalしか変わらないのです。
そのため、いかに自転車が効率良く、カロリーを消費できるかという、証明になっている数値なのです。
しかも、自転車は地面からの振動がもろに伝ってくる徒歩に比べ、体に掛かる負担が少ないです。
さらに、速度がある分、空気抵抗が大きくなるので、自分が思った以上の運動量になります。
あとは、風が身体に当たると体温の上昇を抑えられるので、疲労を感じにくくなることもあります。
1日に何分でもよいので自転車に乗る
1kmは徒歩で行ける距離として、ぜひ歩いていただきたいと思います。
しかし、自転車の1kmは、エクササイズが目的だとすると、物足りなさを感じる距離になってきます。
日々の買い物や子供の送り迎えなど、日ごろから生活の足としてだけ、自転車に乗っていたとしても、1km以上は走っているはずです。
1日何分自転車に乗っているかと聞かれて、「5分」と答える人は少ないでしょう。
しかし、全く自転車に乗らないという人が、最初に目安とする距離や時間としては、1km=5分は無理のない適度なものと考えられます。
2~3分しか掛からない場所に、自動車で行っていませんか?
そういった場所があるのなら、まず、そこだけでも自転車で行ってみましょう。
別にダイエットやエクササイズという意識がなくても、5分ですからね。
実は私の職場の同僚に、小学生以来、20年以上自転車に乗っていない人がいました。
ところが、何かのきっかけで自転車に乗り始め、最初は自宅から最寄り駅まで7~8分、1.5kmくらいを毎日走っていたそうです。
そして、これを数ヶ月続けた結果、何と今では自宅から15km以上ある職場まで、自転車通勤をしています。
これは少し極端な例かもしれませんが、私の経験からも自転車というのは、無意識でも距離が伸ばせるということは確かです。
徒歩は認知症予防にもなる
話が突然変わって申しわけないのですが、現代の日本は超高齢化社会です。
そんな中高齢者の5人に1人が、認知症を患っていると言われています。
認知症は一度発症すると完治が難しく、発症させないことが重要なのです。
その認知症の予防に、徒歩や自転車などの有酸素運動が効果的だということが分かっています。
研究結果によると、徒歩では1日5000歩程度が目安とされており、適度に早歩きも取り入れると、より効果的だそうです。
認知症というと、若い世代の人は対岸の火事のように思いがちですが、認知症を発症させる原因物質は、40代から脳に蓄積していくと考えられています。
そういった意味からも、早めに対策を取ることが大切なのです。
5000歩は、先ほど触れた1万歩の半分ですから45分程度ですが、まずは何分でも良いので、歩くことを心掛けてみましょう。
その面では、今回お話した1kmという距離が、当面の目標としては最適かと思います。
1kmは遠いと感じても12分なら歩ける
今回は1kmという距離を、徒歩や自転車で走ることを考えてみました。
少しでも歩ける距離なんだということを、感じていただけたなら幸いです。
また、自転車は本当に知らぬ間に距離が伸びますので、まず乗ってみてください。
「ちょっとそこまで」の距離は、徒歩か自転車という認識でいきましょう。