スペシャライズドは複数のプロチームに機材としてロードバイクを提供し、2017年のツール・ド・フランスでステージを7勝するなど輝かしい成績を収め、高い評価を受けています。
中でも「ターマック」はスペシャライズドで最も軽量なバイクであり、当然ながら愛用しているプロ選手も多いです。
そこで今回はスペシャライズドのターマックを、色々な角度から検証してみましょう。
スペシャライズドのターマックはオールラウンドな性能が評価されている
スペシャライズドの「ターマック」はハイエンドのS-Worksモデルから、20万円を切るようなエントリーモデルまで、様々なグレードで展開されています。
全てのグレードに共通するのは、深めの前傾姿勢になるフレーム形状になっており、かなりレース色が濃い仕様です。
組み合わされているパーツも、下位グレードでもそのままですぐにレースに出れるものです。
まして、トッププロ選手が使用している機体と、カーボンのグレードが少ししか違わないのが、スペシャライズドの凄いところでもあります。
また、後述しますが、一番下のグレードである「Tarmac MEN」のタイヤが23c(23mm)であるところに、その強いこだわりを感じます。
ターマックは舗装路であれば、平坦でも坂の上り下りも何でもこなす、オールラウンドの性能が評価されています。
ロードバイクの醍醐味をストレートに体感するならターマックであり、カーボンフレーム最初の一台としてもおすすめできるものです。
スペシャライズドのターマックはガチガチのレースモデルではない
ターマックはレースモデルあることは間違いないですが、典型的なガチガチに硬いモデルとは違います。
筆者は残念ながらハイエンドのS-Worksには乗った経験がありませんが、その下のグレードになってくると硬すぎて脚に負担が掛かるという感覚はありませんでした。
これは、スペシャライズドがフレームの箇所ごとにカーボンの積層量を変えて、剛性を高くし過ぎないようにしている点が大きいです。
もちろん、乗り心地のよさで勝負しているタイプではないので、例えばスペシャライズドでも「ルーベ」などに比べれば硬くて、乗り心地もハードという評価になります。
しかし、これは500㎞も600㎞も走るロングライドならまだしも、通勤で1日20~30㎞、週末にツーリングで100㎞ほど走る位の距離であれば何の支障もありません。
この点においても、初心者がハードルの高さを感じる従来のレースモデルとは一線を画すところなので、前項でターマックを最初の一台としておすすめさせていただいたわけです。
スペシャライズドのターマックはプロライダーに高評価を受けている
それではここからは「ターマック」の2018年モデルを確認していきましょう。
ハイエンドモデルの「S-Works」モデルは、グランツールを完全制覇した「アルベルト・コンタドール」。
そして、2015~2017年の世界選手権個人ロードを3連覇中の、「ペテル・サガン」が使用している(いた)バイクとほぼ変わりません。
そのため、フレームからパーツまで、全てにおいて最高級の評価を受けるものばかりで、価格も凄いことになっています。
筆者のようなしがないおっさんホビーライダーにはまず縁がないですが、いつかは乗ってみたいとは思います。
次のグレードとなると、「Tarmac Men Expert」といことになり、価格も1/2以下になります。
半分以下といっても40万円は超えているので、ミドルクラスというところですが、やや現実味が出てきます。
フレームはプロ使用モデルと同じ金型で成型されており、少し素材のグレードは落ちていますが、このクラスとしては最上位の性能です。
また、クラス最軽量を謳う「トレック」の「エモンダ」と比較しても、同グレードのモデルでほぼ互角の重量ということが分かっています。
(スペシャライズドは重量未公表のため実測値ではありますが…)
本気でレースを狙う方が視野に入れるモデルですので、万人受けというわけにはいきませんが、購入してすぐにでもレースに出るのならこのモデルでしょう。
スペシャライズドのターマックでコスパが高い評価を受ける一台
スペシャライズド「ターマック」の2018年モデルのご紹介を続けますが、次はコスパ面で高評価を受けている一台です。
「Tarmac Men Comp」は上から3番目のグレードで、価格は30万円半ばです。
先ほどご紹介したひとつ上のモデルと違い、旧モデルの金型を使用していますが、カーボン素材は同じグレードです。
パーツはスプロケットとチェーン、あとはホイールのハブにグレードダウンが見られますが微々たる違いであり、上位グレードに引けを取らない十分な性能です。
いわゆる、最新の設計にこだわらないのであれば、同じカーボン素材のフレームが約10万円安く手に入るということなので、こちらの方がかなりお得感があります。
さらに、これよりもひとつ下のグレードに当たる、「Tarmac Men Elite」と比較してもこちらの方がコスパが有利に映ります。
Eliteはもうワンランクフレームのグレードが下がり、ホイールのハブがメーカー品ではなくなります。
クランクがシマノ製ではなくなり統一感を若干欠きますので、全体的にCompに比べるとグレードが落ちた感が強くなります。
それでいて価格は6万円程度の差なので、筆者個人的にはCompの方がコスパ面を評価できると思います。
ターマックは下位グレードの評価も高い
スペシャライズドのターマックはグレードを多数用意している分、コスパの評価に優劣が付くのは致し方ないところです。
その意味では最後にご紹介するエントリーグレードがカギを握っている部分がありますが、結論から先に言いますと、コスパ評価は高いです。
「Tarmac MEN Sport」は、フレームのレベルの高さを格安に体感して欲しいという姿勢が表れています。
そのため、フレーム素材は一つ上のクラスのEliteと同じにしながら、20万円前半という価格に抑えています。
その分、パーツをコストダウンはしていますが、エントリーグレードはカスタムしながら自分なりの一台に仕上げていくものなので、このくらいで適度という見方もできます。
しかも、クランクの「プラクシスワークス・ Alba M30」などは、シマノ・105以上の性能を持つと評価する専門家もいますので、パーツも随所にコスパの高さがうかがえます。
ターマックなら10万円台でプロ使用と同じジオメトリ車が手に入る
また、ひとつ下のグレードである「Tarmac MEN」は、フレーム素材やホイールはそのままで、コンポがリア10速のシマノ・ティアグラになります。
そのティアグラは、2015年の4700番台へのリニューアルで、非常に高い評価を受けているコンポです。
そのため、10万円台でターマックが手に入るTarmac MENもコスパの高さは折り紙つきです。
一番大きいのは、10万円台の価格では中々採用できない、DTスイスのホイールが採用されている点です。
2グレード上のEliteと同じホイールですから、これは特筆ものです。
しつこいようですが、やはり10万円台でコンタドールやサガンのようなトッププロが愛用するのと同じジオメトリの機体に乗れるのは、コスパが低いはずがありません。
これがスペシャライズドのようなレーシングメーカーを選ぶ、最大のメリットも言えます。
ターマックは乗り手のレベルを問わない
今回はスペシャライズドの総合レースモデル「ターマック」についてお話しました。
トッププロが使用する究極のレースモデルではありますが、どこかホビーライダーも意識するような「優しさ」が垣間見えるモデルです。
グレード毎に見てきましたが、筆者個人は「Comp」とエントリーモデルの2機種がおすすめです。