スペシャライズドはアメリカに本拠を置くブランドで、世界初の量産型を発表しています。
また、最初はMTBが主力でした。
しかし、ロードバイクにも力を入れ、今では複数のワールドツアー参加チームに機材を提供するまでに成長しています。
MTBとロード両方に強みを持っているのでクロスバイクにも強く、「シラス」シリーズはロングセラーになっています。
近年はディスクブレーキモデルにも力を入れており、ますます人気が高まっています。
ここでは、クロスバイクの「シラス」シリーズに着目してお伝えしていきます。
スペシャライズド「シラス」は大半がディスクブレーキ搭載車
スペシャライズドはアメリカのブランドですが、いまアメリカは「肥満」が大きな社会問題となっており、その防止対策として、スポーツバイクがブームになっています。
その中でも手ごろな値段で、あまり構えずにフランクな感じで乗れるクロスバイクの人気が高まっているようです。
スペシャライズドのクロスバイク「シラス」シリーズは、2018年モデルで全7機種となりますが、その内5機種がディスクブレーキ搭載となりました。
先に言っておきますと、これは時代の流れであり、各メーカー共にクロスバイクにもディスクブレーキを投入しています。
特に最近では、上位グレードのみならず、10万円を切るミドルグレードでもディスクブレーキ車が増えています。
ディスクブレーキは、今回の記事の重要なポイントですので後述します。
スペシャライズド「シラス」シリーズのラインナップ
スペシャライズドのシラスはハイエンドモデルの「Men’s Sirrus Pro Carbon」と、「Elite Carbon」という2種類のカーボンフレーム車があります。
次に、ミドルグレードのアルミフレーム「Women’s Sirrus Elite Alloy」、「Sirrus Sportシリーズ」があります。
そして、エントリーモデルのVブレーキ使用車「Sirrus Alloy – V-Brakeシリーズ」というラインナップになります。
中でもハイエンドモデルの「Men’s Sirrus Pro Carbon」は、クロスバイクとしては破格の29.7万円です。
ロードバイクに匹敵するフレームに、スペシャライズドの革新的な技術である「Future Shockサスペンションシステム」を搭載しています。
詳しい説明はしてくれていませんが、とにかくヘッドチューブに内蔵されているピストンがスピードを落とすことなく、滑らかな乗り心地を実現してくれるそうです。
この価格ゆえに、賛否両論飛び交っている話題の自転車です。
ですが、前項でもお伝えしたように、ディスクブレーキ搭載車が多く販売されているということもあり、現実的にはもう少し下の価格帯に売れ筋が集中しています。
クロスバイクもディスクブレーキ化が顕著
スペシャライズドの「シラス」にも、ディスクブレーキ化の波が押し寄せているとお伝えしましたが、これはMTBのブレーキの変遷に経過がとてもよく似ています。
MTBは「カンチブレーキ」→「Vブレーキ」→「ディスクブレーキ」と変遷してきました。
そして、クロスバイクは現在Vブレーキとディスクブレーキのはざまにおり、ディスクブレーキの方に傾きつつあるという状況です。
自転車のブレーキと言ったら、他にカンチブレーキやVブレーキがありますが、これらのブレーキはホイールの外周であるリムで制動を行う「リムブレーキ」なのに対して、ディスクブレーキはホイール中央のハブで制動を行う「ハブブレーキ」です。
ホイールは外側に行くほど路面状況や天候の影響を強く受けますので、リムブレーキは制動力が左右されやすくなります。
雨の日はリムとブレーキシューが滑りやすくなりますし、路面からの泥跳ねなどで汚れや泥つまりが起きて、制動力が落ちてしまいます。
その点、ホイールの中央付近で制動を行うディスクブレーキは、そういった外的要因の影響を受けにくいので、制動力が安定します。
クロスバイクは用途が多様化されており、本格的な悪路を走ったり、雨の日でも休むわけにはいかない通勤・通学に使われることが多くなってきました。
そういったシーンに対応する意味でも、ディスクブレーキ搭載車が増えているのです。
「シラス」シリーズの一押しは「Sirrus Sport」
スペシャライズドの日本版ホームページでクロスバイクは、「フィットネス&アーバン」というジャンルに入っています。
アーバンは「都市・街」のような意味なので、クロスバイク全体の街乗りコンセプトです。
一方、フィットネスは「シラス」がどんなタイプのバイクなのかを、端的に表しています。
普段使いの街乗り車という一面ももちろんありますが、ダイエットや運動目的に使用するバイクというタイプです。
特にスポーツタイプの「Sirrus Sport」は、ロードバイクコンポでギア比が高いです。
加えてハンドルが少し遠い位置に付いていますので、前傾姿勢が深めのスポーツバイク特有のポジションになります。
そうなるとペダルを漕ぐ際に体重が十分に乗りますし、前傾姿勢は空気抵抗が減りますので、スピードが上がります。
また、アメリカのメーカーはアルミフレームに強い傾向があり、Sirrus Sportも非常にレベルの高いフレームに仕上がっています。
アルミらしい硬めの剛性でありながら、軽量で適度なしなりも持つ衝撃吸収性に優れたフレームは、長い時間の運動にも耐え得る仕様になっています。
さらに、ディスクブレーキはスピードのコントロールに長けているので、運動の強弱も付けやすいです。
スペシャライズドの「シラス」シリーズは油圧式ディスクブレーキ
スペシャライズドの「シラス」の中でも、一押しである「Sirrus Sport」にスポットを当ててご紹介していきましょう。
スポーツ性が強いとお伝えしましたが、もちろんクロスバイクとしての安定感も十分です。
まず、ホイールベースをゆったり目にすることで全体に安定感を持たせていますし、クランクから後輪までが長いので前傾姿勢になり過ぎるのを抑えています。
また、タイヤがクッション性に優れた32c(32㎜)の太さですので、安定感と共に乗り心地もマイルドで快適です。
そして、ディスクブレーキですが、こちらは油圧式が採用されており、軽いタッチで強力な制動力が得られます。
また、ワイヤーを取り回す必要がないので、ハンドル操作がとてもスムーズになります。
砂利道などは当然ですが、山林道など本格的に悪路に挑戦するなら、油圧式は大きな武器になってくれます。
さらに、キャリアや泥除けを後付けするための台座が設けてありますので、通勤・通学などにも使っていただけます。
シラスの「Vブレーキ」モデルはどうなのか?
ここまではスペシャライズドの「Sirrus Sport」について見てきましたが、その一つ下のグレードである「Vブレーキ」モデルも確認しておきましょう。
正式な製品名は「Sirrus Alloy – V-Brake」で、男性モデルと女性モデルに分けて用意されています。
Sirrus Sportよりも約2万円価格が下がりますが、フレームの素材はSirrus Sportと変わりません。
パーツのグレードをダウンさせているのと、ディスクブレーキよりはVブレーキの方が安価ですのでその差が価格に出ているということです。
特にリアが7速ですので、コンポのグレード差は大きいです。
Sirrus Sportに比べると前傾姿勢が緩めになる形状ですし、ホイールベースがとても長いので衝撃吸収性に優れ安定感も抜群です。
どちらかというと、ゆっくりと流すようなサイクリング向きで、スポーツ性は若干落ちます。
あとは、シラスの中では現在唯一のVブレーキモデルになったわけですが、Vブレーキは先述通りディスクブレーキに比べれば制動力が落ちますし、天候にも左右されます。
しかし、制動力が落ちるといっても、よほどの勾配の下り坂やドロドロのダートでも走らない限り、まず問題はありません。
また、天候に左右されるのは確かですが、雨だからといってまったくブレーキが効かなくなるわけではありません。
よってVブレーキは、通常の街中の走行であればまず問題ないので、ディスクブレーキじゃないからダメということは決してありません。
シラスシリーズの中で、クロスバイクの購入を検討されている方は、ご自分の用途をよく考えて購入するとよいでしょう。
クロスバイクもディスクブレーキの時代なのか
今回はスペシャライズドのクロスバイク「シラス」を確認しました。
ここにも確実にクロスバイクのディスクブレーキ化の流れがあり、定番となっていることを痛感しました。
シラスはスポーツ性が強い機種が多いので、ディスクブレーキの使い勝手がよいということもあります。
だからと言って、Vブレーキが大きく劣るわけではありませんので、目的や用途に合わせて判断していただければよろしいかと思います。