クロスバイクはスポーツバイクの入門編であり、普段使いで生活に密着していることが多いです。
そのため、メンテナンス(整備)に対して少し忘れがちになるところがあり、せっかくの機能がもったいないと感じることがあります。
スペシャライズドの「SIRRUS(シラス)」などは性能が高いので、余計に定期的にメンテナンスをして、性能を維持して頂きたいものです。
今回はそんなメンテナンスを推奨するお話です。
スペシャライズドの「シラス」はメンテナンスで高性能を保つべし!
スペシャライズドは、2018年よりクロスバイクは「シラス」シリーズのみとなりました。
新陳代謝の激しいスポーツバイクにおいて、2002年からラインナップされてきた超ロングセラーモデルに集約した形になりました。
シラスはクロスバイクの中でもどちらかと言えば、ロードバイク寄りの性格を持っています。
軽量な素材を使い細身のチューブでフレームをスリムに仕上げ、ロードバイク用のコンポを組み合わせて、走行性能を重視するタイプです。
それだけに定期的なメンテンスで性能の維持をしてあげれば、いつも軽快感があって快適なサイクリングが楽しめます。
また、スペシャライズドは、人の身体にバイクを合わせることを重視しているメーカーです。
そのため、それほどシビアな調整を必要としないクロスバイクにしても、正規販売店では驚くくらい親身になってメンテナンスの相談に応じてくれます。
それだけ自分のところの看板製品である「シラス」に自信を持っているということでもあり、ユーザーとしては頼もしい限りです。
スペシャライズド・シラスのタイヤをメンテナンスする
スペシャライズドのクロスバイク「シラス」の性能を維持するためのメンテナンスですが、まずは「タイヤ」についてお話します。
シラスのタイヤは「クリンチャータイヤ」と言って、タイヤの中に入ったチューブに空気を入れて使用するものです。
クリンチャータイヤはメリットが多く優れているのですが、構造上の問題で何もしなくても空気が自然に抜けてしまいます。
そのため、メンテナンスに気が向いていないと、気が付いたらかなり空気が抜けた状態で走っていることも少なくありません。
空気が抜けた状態はパンクが起きやすくなりますし、変形してしまい地面と接地する部分が広がるので、スピードが出なくなります。
したがって、空気を常に充填する必要があり、その際は適正の「空気圧」にも気を配る必要があります。
クロスバイクは空気口に仏式バルブを使用していますが、このバルブは空気圧を測ることができます。
適正な空気圧はタイヤによって違いますが、大抵はタイヤに印字されていますのでひと目で分かります。
タイヤのメンテナンスのかなめは空気圧の管理
前項ではスペシャライズド・シラスのタイヤへのメンテナンスについて、空気圧の管理が重要であるとお伝えしました。
そこで必要になるのは空気圧を測る機器ですが、空気圧計単独のものよりも、空気圧計が付いている「空気入れ」がおすすめです。
空気圧を測りながら空気の充填ができるわけですから、効率のよさは言うまでもありません。
また、仏式バルブ用を用意する必要がありますが、今はどんなバルブ口にも対応する空気入れが多いので、そういった万能型がおすすめです。
しかし、万能型の空気入れが増えているとは言え、スポーツバイクはママチャリほど普及率が高いわけではないので、どこでも仏式バルブ対応の空気入れがあるわけではありません。
もし万能型が見付からないときは、最初から仏式バルブ用の空気入れを用意しておくのが無難でしょう。
また、頻繁に遠出するのであれば携帯式の空気入れを持っておくと万全です。
スペシャライズド・シラスの油圧式ディスクブレーキをメンテナンス
スペシャライズド「シラス」のメンテナンスについてのお話ですが、次は「ブレーキ」です。
大げさではなくブレーキには乗り手の命を預けているわけですから、いざという時に効かなかったで済まされることではありません。
現在のシラスは従来のVブレーキ仕様が減り、半数以上の機種が「ディスクブレーキ」を採用しています。
しかも、メンテナンスの頻度が低い油圧式を採用しています。
他のブレーキやディスクブレーキでも機械式は、ブレーキ本体とレバーがワイヤーで繋がっていて、レバーを引くことでワイヤーが動きブレーキが掛かる仕組みです。
しかし、油圧式は油圧で本体を動かすので、ワイヤーはありません。
そのため、ワイヤーの伸びによって、ブレーキの引き代を調整する必要がありません。
また、ディスクブレーキはホイールの真ん中で制動作業が行われるので、汚れや傷が付きにくいというメリットもあります。
したがって、消耗品であるパッドとローター、オイルの交換以外は、基本メンテナンスの必要がありません。
消耗品も頻度にもよりますが2~3年はもつと言われていますので、メンテナンス面を考えると効率のよいブレーキと言えます。
ただし、消耗品の交換は、知識や専用の工具が必要なので、無理せずショップに持っていくのが賢明です。
スペシャライズド・シラスに「トレック」のハンドル?
シラスに限ったことではないですが、クロスバイクのハンドルには「グリップ」が付き物です。
クロスバイクのハンドルは言ってみればただの金属の棒なので、グリップがないと手に地面からの振動がビンビン伝わってきて、すぐに痛くなってしまいます。
これを防ぐのがグリップの役目ですが、このグリップは経年と共にベタついてきます。
どんなにグレードの高いものでもベタ付きの報告を見ますので、これは致し方のないことです。
エタノールや消しゴムなどで一時的にベタベタを取り除くメンテナンスもありますが、根本的な解決には交換が最も効果的です。
スペシャライズド製でも2000円~3000円で購入できますし、特にそこまでこだわらなくても大型店などに行けばそれこそ選び放題です。
その中で、一つ筆者が提案したいのは「トレック」のハンドルバーです。
スペシャライズドの話中にトレックの名前を出すのも恐縮ですが、筆者はトレックのユーザーさんにスペシャライズドのサドルをおすすめすることもあります。
これに関しては、よい製品はメーカーの垣根を超えるということで、お許し頂きたいと思います。
このトレックのハンドルはハンドル自体に衝撃吸収性の高い素材を埋め込み、さらに最先端のグリップで覆う二重構造になっています。
筆者も体験しましたが、衝撃の伝わりが少なすぎて、むしろ怖くなるほどでした。
実際にユーザーさんの幅も広がっており、先日筆者の知人が別メーカーのロードバイクをフラットハンドル化する際にも、このハンドルを使用しました。
7000円程しますのでグリップ交換よりはコストが掛かりますが、一考の価値ありです。
シラスはベアリングのメンテナンスも欠かせない
スペシャライズドのシラスのメンテナンスのお話をしてきましたが、最後は少し大掛かりなメンテナンスの話になります。
自転車は回転力が動力になりますので、回転体が内蔵されている部分のメンテナンスが重要になります。
具体的には、ホイールのハブ、クランクとBB(ボトムブラケット)、ハンドル周りです。
これらの箇所には、回転の軸とその軸受けになる「ベアリング」が内蔵されています。
このベアリングが回転のカギを握っており、劣化をすると回転が渋くなり本来の性能を引き出せないばかりか、故障の原因になる可能性があります。
そのため、ベアリングの劣化を極力防ぐために、回転体には「グリス」という粘度の高い潤滑油が塗り込まれています。
しかし、内蔵されているとは言え、完全に密封されているわけではないので、グリスは走行中に飛んでしまったり、雨で流れてしまうものです。
そこで、定期的にグリスの充填が必要になるのですが、なにせグリスは内蔵されているので充填するにはパーツの分解が必要になります。
例えば、ハンドル周りは前輪とハンドルを支持するステムを外し、フロントフォークも引き抜いて、やっとグリスの充填にたどり着くという手順です。
これは乗る頻度にもよりますが、最低でも2年に1回程度は行いたいメンテナンスで、場合によってはショップに任せてもよいかもしれません。
クロスバイクもメンテナンスが不可欠
今回は、スペシャライズドのクロスバイク「シラス」のメンテナンスについてお話しました。
特にタイヤは日々の点検や空気の充填が必要で、メンテナンスの頻度が最も高い部分です。
また、ブレーキやベアリングは頻度こそ低いですが、命に係わる部分ですので、決して忘れてはいけません。