ロードバイクのホイールの重さは単純に考えてはならない

ロードバイクにおいて、「軽さは正義」という言葉がよく使われます。

ロードバイクは、ロードレースの機材として開発されているので、軽量な方が有利であることは確かです。

全体の重量は車体+パーツですが、パーツ単体で見た場合は面積が大きいこともあり、ホイールの重さが重要になってきます。

そこで今回は、ホイールの重量について考えていきます。

ロードバイクのホイールの重さは「リム」の素材で決まる!

ロードバイクのホイールは、フレームよりも重量が重くなることがあります。

ホイールは、前後トータルで1,000g~2,000g、フレームは1,000g~1,500gといったところです。

ホイールの重量を大きく左右するのは、外周部分である「リム」の重さです。

このリムが、カーボンなのかアルミなのかで、重量が全く変わってきます。

カーボンリムのホイールは、1,300g前後が平均的で、中には1,000gを切るものもあります。

アルミリムは1,600g程度が平均的で、1,500g台になってくると、軽量ホイールと呼ばれます。

冒頭でお話した「軽さは正義」という言葉を象徴するように、ホイールは軽量になればなるほど、価格が上がっていきます。

カーボンリムのホイールは、10万円台後半がスタートラインですし、人気なのは30万円前後のゾーンです。

一方のアルミリムは、下は1万円台、上は10万円台後半までありますが、人気の価格帯は5~9万円といったところです。

ホイールのリムの重さを決める要素は他にもある

ホイールの重量でカギを握っているのはリムの重さですが、素材の違い以外にも、重さを決める要素がいくつかあります。

まずは、リムハイトとも呼ばれる、リムの高さです。

当たり前かもしれませんが、高ければリムの面積が大きくなりますので、重量はかさみます。

リムハイトが高くなると空力性に優れるので、高速巡航性が髙くなります。

そのため、平坦の舗装路がメインのトライアスロンや、タイムトライアルに多く使用されます。

ただし、アルミで作ってしまうと、とんでもない重量になってしまうので、リムハイトが高いホイールは、ほぼカーボン製です。

次に、タイヤがはまる部分の内径です。

ここは、ロードバイクのタイヤが太い方にシフトしてきているので、それに対応するように幅が広がっています。

その分、リムが少し大きくなっているので、重量にも影響が出ています。

あとは、ホイールの種類によっても、重量が違います。

これもタイヤとの関係ですが、チューブを必要とする「クリンチャー」「チューブラー」に比べ、チューブのない「チューブレス」のほうが、リムが少し重くなります。

タイヤの内部に、空気を保持する層を敷き詰めているチューブレスタイヤは、密封性を高めるために、リム側も特別な構造になっています。

さらに、密封性を高めるために「シーラント剤」というものを注入する場合もあるので、さらに重さが掛かることになります。

ロードバイクのホイールの重さは前後輪で違う

ロードバイクのホイールは、リムの重さが全体の6割程度で、残りがスポークやハブの重量です。

駆動輪である後輪は、前輪に比べ大きな負荷が掛かるので、スポークの本数が4~5本多くなります。

また、後輪はハブに様々な機能が内蔵されていますし、スプロケットを取り付けるので、前輪よりも幅があります。

その分、後輪のほうが、200g~300g程度重くなっています。

また、空気抵抗の関係で前輪よりも後輪のリムハイトを高くしているものなどは、さらに重量が増します。

ロードバイクは担いで持ち運ぶことが目的ではないので、実測重量よりも走りに軽さがあるかどうかが重要になります。

同じ重量のホイールだとしても、リムハイトや剛性の違いで、走りの軽さは大きく変わってきます。

リムハイトが高くなると、巡航性は高いですが、スピードに乗るまでに時間が掛かるので、漕ぎ出しでは重さを感じます。

また、剛性が髙いホイールは硬く、ペダルを漕ぐのに力がいりますので、これも重さを感じることがあります。

このように、手に持っての軽さと走りの軽さは、必ずしも一致しないと思っておいてください。

ロードバイクにおける完組みホイールと手組みホイールの違い

スポーツ自転車初心者の方が、ロードバイクの完成車を最初に購入する場合は、エントリーモデルであることが多いと思われます。

価格でいうと10~20万円のアルミフレーム車が多く、コンポやパーツは中~下位グレードのものが採用されているモデルです。

こういったモデルのホイールは予算を掛けられないので、コストダウンの対象になります。

最低グレードだとしても、市販のホイールが採用されていれば、まだ良いほうで、完成車メーカーの手組みホイールが多くなります。

市販されているホイールは「完組みホイール」といって、リム・ハブ・スポークが、そのホイールだけの専用設計になっています。

そのことで、最大限の性能を引き出すことができますし、メーカー独自の技術が加味されます。

一方、パーツを組み合わせて一から組んでいくものを「手組みホイール」と言います。

パーツが寄せ集めになることと、ホイールメーカーほどの技術を持っている人は、ほとんどいないので、どうしても見劣ります。

しかも、完成車のメーカーはいわばフレームビルダーですから、ホイールの手組みにおいて、高い技術は期待できません。

そうなると、エントリーグレードのホイールは、レベルに疑問があるようなものになりますし、驚くほどの重さのホイールになってしまいます。

そのため、ロードバイクの最初のカスタマイズは、ホイールの交換という意見が多くなるわけっです。

ホイールの重さに着目するならミドルクラス以上

ロードバイクのホイールの重量は、実測値だけの問題ではないと言いましたが、400g~500g違うと、さすがに差が大きいです。

エントリーモデルの完成車では、1,900~2,000gを超える重さのホイールがほとんどですから、これを1,500~1,600gのものに交換する効果は大きいです。

1,500~1,600gの重量のホイールは、各メーカーのアルミリムのミドルクラスに集中しています。

そのため、最初のホイール交換では、まずこのミドルクラスのものから検討し始めると良いでしょう。

価格は5~9万円のゾーンで、上位モデルと同様の技術が、ちらほらと加味されてくるので、コスパの高さも魅力です。

具体的には、カンパニョーロの【ゾンダ】、フルクラムの【レーシング3】。

マビックの【キシリウム・エリート】、シマノの【WH-RS500】といったところです。

中でも、マビックのキシリウムエリートはリムが軽量の割に剛性が髙く、ヒルクライムには最適です。

ゾンダやレーシング3は少しリムが重めなので、レースの決戦用とまではいきませんが、トータルの性能は抜群です。

また、シマノのホイールは剛性が低めですが、その分あたりが柔らかく乗り心地が良いので、ロングライド向きと言われています。

ロードバイクのホイールは軽さが全てではない

ロードバイクにおいてのホイールの重さについて考えてきましたが、用途によっては必ずしも「軽さが正義」ではない可能性もあります。

ひと口にレースと言っても、色々なものがあります。

登り坂に設けられたコースでタイムを競う「ヒルクライム」は、重力に逆らうので、やはり軽いホイールが有利です。

コース自体も短く巡航性は求められないので、余計に軽さが強調されてきます。

一方、平坦な舗装路を高速で走る「ロードレース」では、高速巡航性が重要になってきます。

リムの重いホイールは、漕ぎ出しや坂の上りでは不利ですが、慣性の点から見ると、転がり続ける力があるので巡航性に優れています。

このように、必ずしも軽さばかりが優位になるわけではないですし、重いホイールにもメリットがあります。

先述したように、2,000gと1,500gでは比べようがないですが、同じような重量であれば、自分の用途に合ったものを選ぶのが大切ということです。

ホイールは手で持つものではなく走らせるもの

今回は、ロ―ドバイクのホイールの重さについて考えてみました。

ホイールは総重量だけではなく、リムの重量に着目しなければなりません。

また、手で持って軽いのと走りが軽いことは、必ずしも一致しません。

それぞれのホイールの性質によって同じ重量でも走りの違いが出ますので、自分の用途に合ったホイールを選んでください。