自転車の中でも、ママチャリは生活の足であり移動するための手段ですから、何よりも機能性が重視されます。
しかし、ロードバイクはレースの機材なので走行性能が重視され、趣味の乗りものでもあるため、見た目も重要です。
また、本体と同じくらい見た目に変化をもたらすのが「ホイール」で、リムの高さやスポークの組み方などで、印象ががらりと変わります。
今回はロードバイクのホイールを、「見た目」という観点で考えていきましょう。
ロードバイクにおいてホイールは「顔」
まず、ロードバイクのホイールの構造について、簡単に説明しておきます。
ホイールは外周部分の「リム」、屋台骨である「スポーク」、全てのスポークの受けである中心部の「ハブ」で構成されています。
リムにタイヤがはまることで、車輪としての体を成します。
リムの素材は主にアルミとカーボンがあり、素材の色が出ますので塗装をしない限りは、カーボンは黒っぽい見た目になり、アルミは銀色になります。
また、リムはホイールによって高さが違います。
標準的なものは20~26mm程度で、30~50mmのものを「セミディープリム」、50mmを超えると「ディープリム」などと分類します。
特にディープリムともなると、明らかに一線を画したフォルムになるので、見た目重視で選ぶ方も少なくありません。
見た目という観点から言えば、スポークの組み方もメーカー独自のものがあります。
見た目だけで考えられているわけではないですが、ハッキリと差が分かります。
ホイールは、占有面積が大きく人間で言えば「顔」のようなものですから、それによって印象が変わるのは当然のことと言えます。
ロードバイクの見た目を激変させるホイールとは?
では、ロードバイクの見た目が変わるのはどんなホイールかというと、まずはリムハイトの高い「ディープリムホイール」になります。
ディープリムは、リムに多くの素材を投入することになるので、重量が重くなります。
これを金属で作ってしてしまうと、軽さを売りとするロードバイクでは致命的な重量になるので、ほとんどのディープリムホイールはカーボン製です。
そのため、黒く太いリムになり、見た目がカッコいいと思う人も多くなるわけです。
また、タイヤも黒であれば一体化しますので、遠目から見てもかなりの存在感になります。
ただし、ディープリムは癖が強く、万人に向くホイールではありません。
まず、価格が飛び抜けて高額になります。
素材を多く使うので当然ですが、カーボン製でハイトが50mmを超えれば、まず前後セットで20万円は下らないと思って良いでしょう。
正直20万円で済めば御の字で、30~40万円のものがざらにあります。
ロードバイク本体より高価なホイールを装備する可能性もあり、簡単に決断できるものではないと言えます。
見た目重視ならディープリムホイールだが…
ロードバイクの見た目を重視するなら「ディープリム」ホイールという選択は悪くないですが、価格の他にも問題があります。
リムハイトが高くなると、横からの風を受ける面積が増えるので、特にスピードが出ていないときには風にあおられてしまう危険があります。
スピードに乗れば、抜群のエアロ効果で異次元の加速力が味わえますが、低速状態では危険の方が大きいです。
そのため、普段使いの街乗りでは宝の持ち腐れですし、公道で横から大型トラックでも走ってこようものなら、怖くて立ち止まるしかありません。
また、リムハイトが高くなるとホイールが変形しずらくなります。
変形しないことを剛性が高いと言いますが、剛性が高いホイールは硬くなるので漕ぎ出しや坂の上りで重くなります。
そのため、脚力に自信のない人には、厳しく重苦しいだけのホイールになってしまう可能性があります。
しかし、これらは乗り方や脚力によってはメリットに変わるので、やはり万人に適応するホイールではないと言えるでしょう。
見た目を変えるならスポーク組の独創性も考慮する
ロードバイクのホイールを見た目で選ぶのなら、スポークの組み方にこだわってみる手もあります。
パッと見て、ひと目でメーカーが分かるような独創性のある組み方をしているもの。
また、「ママチャリかな?」と思ってしまうようなオーソドックスなものまで様々あります。
独創的な組み方で名を馳せているのは、イタリアの老舗ホイールメーカー「カンパニョーロ」です。
「G3」と呼ばれる、3本のスポークを一対として平行に並べ、ハブから放射状にリムに向かう組み方です。
空気抜けが良くなるので、抵抗が軽減できる組み方です。
ただし、見た目が美しいという意見もあれば、この組み方が気に入らないので、カンパニョーロのホイールを選ばないという人もいます。
そのため、こればかりは現物か写真で確認して、自分で判断してもらうしかありません。
カンパニョーロの子会社で、これも世界的に有名なホイールメーカーである「フルクラム」も、G3を継承したような組み方です。
3本で一対になっている組み方は変わりませんが、1本づつの間隔がカンパニョーロよりも広いです。
そのため、見た目的にはスポークがホイール全面に張り巡らされているようになります。
シンプルな見た目のホイールならこのメーカー
ロードバイクのホイールの見た目と、スポークの組み方の関係についてお話していますが、独創的ではないシンプルさが売りなのが「シマノ」です。
奇をてらわず、至ってオーソドックスな組み方をしており、シンプルです。
また、欧米のメーカーは製品名のロゴシールが大きめで主張が激しいのですが、シマノは割と控えめです。
そのため、ホイールに見た目を求めない人は、シマノを選ぶ傾向にあります。
あとは、有名なメーカーでは、「マビック」もスポークの組み方はシンプルです。
しかし、マビックはハブの色にバリエーションがあったり、1本だけイメージカラーの黄色のスポークにするなど、見た目も考慮していることが伺えます。
マビックは、ホイールメーカとしては特殊なタイヤとの一体販売なので、見た目の相性も考慮されていると聞いています。
ロードバイクのホイールを見た目だけで決めて良いのか?
今回は、ロードバイクのホイールを見た目重視で選ぶことをテーマにしてきましたが、個人的には、見た目以上に重要な要素があると思っています。
それは重量と剛性であり、そこを基準にして、見た目が付いて来れば最高です。
重量は単に重い・軽いの話ではなく、現状よりもどのくらい変化があるかが重要です。
例えば、今1,800gのホイールを装備しているとして、これを1,700gのものに交換しても、正直軽くなった効果を実感できるか微妙です。
これは、グレードの問題とも関係してきますが、1,800g台は初心者向けのエントリーグレードです。
ここから軽くなったことを実感したいのであれば、せめて1,500g台のミドルグレードのものを選ぶ必要があります。
もう少し軽いものを求めると、価格が一気に跳ね上がるので、まずはミドルグレードが良いでしょう。
また、剛性もとても重要な要素のひとつです。
先ほども触れましたが、剛性が高い=硬いということなので、反対は剛性が低い=柔らかいとなります。
剛性が高いホイールは、ペダルを漕いだ力がロスなく動力になるので、反応がよく加速力に優れています。
ただし、硬いので踏み抜く脚力が必要ですし、クッション性がないので乗り心地は良くありません。
一方、剛性が低いホイールはパワーロスしますので、スピードは期待薄ですがクッション性があるので、当たりが柔らかく滑らかな乗り心地になります。
これはどちらが優れているかではなく、自分がロードバイクをどう乗るのかといった用途や好みの問題です。
ホイール選びには見た目以外にも、こういった基準があるということも覚えておいてください。
自分に合ったホイールを選ぶ
今回は、ロードバイクの外観に大きな影響を与える、ホイールの見た目について考えてみました。
ディープリムホイールが最も顕著に変化しますが、リスクがあることも確かです。
スポークの組み方は好みで分かれますので、実物を見てみることが重要ですね。
別の要素も考慮して、自分にベストな選択をしてください。