近年、ロードバイクのミドル〜ハイエンドフレームは、金属製フレームではなく、カーボンファイバー製のフレームが主流となってきました。
金属よりも造形の自由度が高く、軽量に作れるというメリットから、各メーカーがこぞってカーボンフレームをリリースしています。
しかし、カーボンという素材は、金属に比べて扱いがデリケートで、且つ衝撃に少々弱いという一面もあるのです。
今回はカーボンファイバー製のフレームのメリットやデメリット、それに万が一の事故が起きた場合についてお話ししていきましょう。
ロードバイクのカーボンフレーム。カーボンとは何だろう?
ロードバイクに乗っている方なら「カーボン」という素材の名前は、もはやメジャーな言葉ではないでしょうか。
カーボンという素材は、カーボンフレームのみならず、ホイールやハンドル、クランクや変速機に至るまで様々なパーツに使用されています。
では、そのカーボンと言われる素材はどのような素材なのでしょうか。
少しご紹介していきましょう。
まずカーボンとは、大まかに言うと炭素繊維となります。
炭素繊維強化プラスチックという物が、いわゆるカーボンと呼ばれている物なのです。
この炭素繊維を編み込み、エポキシ樹脂という樹脂で固めて成形していく工法で、カーボンフレームが作られています。
現在の自転車プロライダーの多くは、このカーボン製のフレームを使用しています。
さらに、このカーボンという素材は日本製が多くを占めているのです。
日本製のカーボンをヨーロッパや台湾の自転車メーカーに輸出してフレームを製作し、それがまた日本に輸入されるという面白い流れになっています。
日本が生み出すカーボン素材が、ツールドフランスをはじめ、様々なプロレースを支えていると言っても過言ではありません。
このプロレースでカーボンを多く使用されていることが分かるかと思いますが、プロレースは事故が起きることもあります。
この事故は、プロのレースに限ったことではありません。
このように落車等の事故を起こすと、カーボンフレームにとって、寿命を左右する大きな影響があります。
このようにカーボンフレームにもデメリットがあります。
このデメリットについてお話しする前に、次ではカーボンフレームのメリットについてご説明していきます。
ロードバイクのカーボンフレームは様々なメリットが多い!
ロードバイクのプロもこぞって使用するカーボンフレームですが、まずはどのように良い素材なのかをご紹介しましょう。
まず、カーボンの特徴の一つは、過去に主流だったクロモリやアルミに比べて重量が軽い点です。
プロライダーのレースはものすごく厳しい山岳を走ることもあり、機材の重量がシビアに求められます。
ロードレースの場合、自転車の重量が6.8kg以上でなければならないというルールがありますが、その重量に肉薄するためにカーボンは今や必須な素材なのです。
さらに、金属に比べて造形の自由度が高い点も、カーボン素材のメリットです。
クロモリやアルミの金属は、パイプを溶接して成形するため、パイプの形で造形を変えるしかありませんでしたが、カーボンは繊維から作るため非常にユニークな形にも出来るのです。
近年では「空力」にも注目されており、「エアロロード」と呼ばれるフレームも登場しています。
造形の自由度が高く、軽量なカーボンならではのフレームとなっています。
これだけ見ると、完璧にも思えるカーボンフレームですが、やはりデメリットも存在するのです。
それでは、次の項で耐久性や事故、落車の場合の危険性も含め、ご紹介しましょう。
カーボンフレームのデメリットは事故等での衝撃に弱いこと!?
軽量かつ、造形の自由度が高いロードバイクのカーボンフレームにも、デメリットが存在します。
まず、カーボンフレームは金属製フレームに比べて価格が高価という点が挙げられます。
やはり、カーボンファイバーという素材自体、まだまだ高価な素材です。
トッププロが使用するカーボンフレームは、70万〜100万以上の物もあるのです。
もう一つのデメリットは、対衝撃性に弱いという点です。
クロモリやアルミは、多少の衝撃で割れたり折れたりする事はほとんどありません。
しかし、カーボンフレームに関しては衝撃に弱く、落車事故等での衝撃でヒビ(クラック)が入ってしまう事もあります。
このことから衝撃吸収性に難があるのでは、と思う方もいるかもしれませんが、カーボンフレーム自体は乗っているときのライダーに対しての衝撃吸収性は、非常に高いです。
しかし、横から来る外部からの衝撃や鋭利なもので一点に衝撃を受けることに弱いのです。
金属の場合は、曲がったり凹んだりする事で掛かる負荷が分散されて、割れる事を防いでくれますが、カーボンの場合はガラスのように力量が集中してしまい、ヒビが入ってしまうのです。
では次に、カーボンフレームをどのように扱えばいいのか、事例も含めご紹介します。
カーボンフレームは衝撃に弱い?落車事故によるクラックや日常使用の注意点
さて、ここまで見ていくとロードバイクのカーボンフレームは非常にデリケートなフレームだという事がわかりますが、実際どのような状況で故障してしまうのでしょうか。
例に挙げてみると、まずは先程も言いましたが落車事故によりヒビが入るという事例です。
落車した際に、フレームに対してうまく力が分散して転んだ場合に、運良くヒビが入らない場合もありますが、ピンポイントに力が集中してしまった場合にヒビが入ったりします。
もっとすごい大きな衝撃だった場合はフレームが破断、折れてしまう事も多々あるのです。
もう一つは、頻繁ではありませんがチェーンが外れてしまい、フレームと干渉した衝撃で小さいヒビが入ったといった事例もあるようです。
いわゆる、面の衝撃には耐えられる素材なのですが点の衝撃、一点集中の衝撃には非常にデリケートなのです。
そのため、日常に使用する場合も気をつける必要があります。
まず、共用の駐輪場に駐輪するのは避けた方が良いでしょう。
自転車同士が密集した駐輪場は自転車同士がぶつかり合う可能性が高く、自転車を傷つける可能性が高く最悪ヒビに繋がるので注意が必要です。
コンビニ等に一時的に自転車を立てかけておく際も、倒れてしまわないようにする事が大事です。
その他には、自分で簡単に整備する際も注意しましょう。
また、フレームに取り付けるネジ等を増し締めする際は、きちんと締め付けトルクを守って締めてください。
締め付けトルクをオーバーしてしまうと、フレームにヒビが入る可能性があります。
このようにカーボンフレームは様々な事象でヒビが入ってしまいます。
それでは、修理は可能なのでしょうか。
カーボンフレームにヒビが…事故や落車で入ったヒビは修理出来る?
不意の落車事故や、使用においてヒビが入ってしまったロードバイクのカーボンフレームですが、修理する事は可能なのでしょうか。
まず答えからいうと修理可能です。
全てではありませんが、ひび割れや大きくない破断であれば、専門の業者であれば可能なのです。
カーボンフレームは、見た目には割れているのかどうか、判断がつかないといった場合があります。
それも専門業者に依頼すれば、超音波による方法で診断もしてくれます。
修理の方法を簡単にご説明すると、割れてしまった部分に新たにカーボンを積層します。
その後、カーボンのシートを巻き付け、樹脂で定着させるやり方が多いようです。
再塗装をしない場合、絆創膏を巻いているような見た目になりますが、買い替えとなると高価なので、修理も一つの方法ではないでしょうか。
クロモリやアルミのフレームの場合、ヒビ割れや破断などの症状は出にくい素材ではありますが、ヒビ割れが発生した場合は、金属疲労も考慮すると修理よりも買い替えがベターになります。
このように修理出来るのも、カーボンフレームの特徴の一つとなります。
デリケートな素材ですが、修理も可能な場合があるというのは、これからカーボンフレームに乗りたいという方は安心出来るポイントの一つではないでしょうか。
ロードバイクの最高峰に乗ってみよう。カーボンフレームのすすめ!
ここまで、ロードバイクのカーボンフレームについて色々とお話ししてきました。
実際、現在のロードバイクの上位グレードは、カーボンフレームが主流となっています。
使用に関してや、落車事故等の衝撃の強度に関して非常にデリケートな素材ではありますが、プロのほぼ8〜9割が使用しています。
最近では、カーボン素材のグレードを手に入れやすい物にして、価格を抑えたエントリーモデルのカーボンフレームも販売されてきています。
クロモリやアルミにも素材特有の良い部分も多々ありますが、カーボンにしか出せない特徴も多いのも事実です。
衝撃に弱い部分だけを見ると柔らかい乗り味なのかと思いがちですが、作り方一つで非常にカチッとした高剛性のロードバイクが作れるのもカーボンの特性です。
さらに剛性を高めても軽量というのも、レースに重点を置いているユーザーにおいては非常にアドバンテージになる事でしょう。
もう一つの特徴としては高弾性という点で、ペダルを踏む際に自分に跳ね返るような乗り味ということです。
ペダルを回転させるのに跳ね返りがあるということは、楽にペダリングが出来ます。
やはり、現在のトレンドになるには様々な理由があり、扱いがデリケートでも一度は使用したくなるフレーム、それがカーボンフレームなのです。
現在のロードバイクは金属に変わり、やはりカーボンが主流!
今回はロードバイクのカーボンフレームの特徴をご紹介させて頂きました。
高級な素材ならではのメリットもデメリットもありますが、今後もカーボンフレームがロードバイク界を席巻していくのは間違いないでしょう。
注意点をきちんと考慮して使用すれば、非常に素晴らしい素材のフレームなのです。
まだ試した事の無い方は一度試乗してみる事をオススメします。
きっとあなたの自転車ライフがより良くなる事でしょう。