自転車を速く走ることの出来るダウンヒルは、風を切って走ることが出来るので爽快で楽しいです。
しかし、自転車の速度も速いので、しっかりしている技術は必要です。
そこで、ダウンヒルの時のブレーキの使い方やペダルの踏み方など、技術面について触れていきますので、是非ご覧になってみてください。
自転車のブレーキング!ダウンヒルする時の役割
基本的には峠の下り、ダウンヒルを想定し参考になるであろうペダルの踏み方や、ブレーキング、ライン取りなどの情報をご紹介します。
まずは、ブレーキの特性についてご紹介していきましょう。
〇車速を落とすことが出来るフロントブレーキ
ロードバイクに限らず一般的な車両は、リアブレーキよりフロントブレーキに高い制動力を持ちます。
走行中の重量配分率は後方寄りですが、ブレーキングを始めると荷重は一気に前方に動きます。
荷重が前方に掛かるとフロントタイヤがより地面に押し付けられグリップ力が高まり、ブレーキがより効くという訳です。
〇車速をコントロールすることが出来るリアブレーキ
フロントに比べ制動力の低いリアブレーキは、車速や車体をコントロールするために使用します。
2輪車でブレーキングを始める際リアを一瞬早く掛けます。
フロントとリアのブレーキングにタイムラグを発生させる事により一瞬荷重がリヤに移り、ブレーキング態勢に入るバイクが安定するのです。
また、同様に2輪車の特性としてフロントブレーキをかけるとフロントがバンクしている側に切れ込み、内側に倒れます。
逆にリアをかけるとペダルを踏まなくてもバイクが起きる挙動を始めます。
コーナー進入時、先にリアブレーキを掛けてバイクを安定させ、コーナー脱出時バランスコントロールでリアブレーキを掛けてバイクを安定させる事で、より安全により速くコーナーを駆け抜ける事が出来るのです。
次にブレーキの入力割合とライン取りについて掘り下げてご紹介します。
ブレーキングのコツ!入力割合とライン取りに気を付けよう
乗車時ブラケットを握っているライダーも多いと思います。
峠の下りなど、高い制動力が欲しい時にはドロップハンドルの下ハンを握ると良いでしょう。
その場合、ブレーキレバーは4本指で握らず、小指薬指はハンドルに添えると安定します。
もう少し詳しく、ブレーキングの動作を確認しましょう。
〇ブレーキを掛けるときの力の割合
ブレーキを掛ける力の割合の基本は、フロント5:リア5と言われます。
低速走行中の街中などではそれも良いのですが、ダウンヒルでその割合でブレーキを掛けても全く減速しないか、リアがロックするかのどちらかです。
ダウンヒルの際に路面状況が良ければフロント9:リア1位、路面状況が悪くなるに連れ、リアの比重を増やしスピードも抑え気味にします。
ブレーキの掛け始めは、ジワッと掛け荷重が移動をしたら締め上げるイメージでという感じでしょうか。
〇ライン取りは重要
ダウンヒルで非常に重要なのがライン取りです。
ブレーキングは安全なコーナリングを実現するための準備と言ってもいいでしょう。
それほど、ライン取りは重要なのです。
通常ロードバイクには、サスペンションが装備されていません。
細いフロントタイヤのグリップ力で車速を落としているのです。
ブレーキング開始時に極力路面状態の良いラインを選びブレーキング態勢に入る事は、安全な高速コーナリングに繋がります。
ロスの無いペダルの踏み方と効果的なブレーキング、そして最適なライン取りを身に付けたいですね。
次では、更にブレーキングとライン取りを掘り下げます。
上手なブレーキングとは!握力を鍛えてロングヒルに強く
一般的にコーナリングのセオリーは「アウトインアウト」と言われます。
コーナーに対して最大円を描けるこのライン取りは、アウトから侵入し、そこからイン側に入り、脱出はアウトに向い出て行くのが、理想的なコーナリングと言われています。
最大円を描ければ同じスピードであればバンク角は少なく、同じバンク角なら早く走れる訳です。
また、アウトから入る事により、コーナーの出口を早く確認出来るので積極的なペダルの踏み方が出来ます。
また、コーナー進入ラインは、路面の荒れ具合と轍の有無で決めます。
コーナリング中にアウトインアウトで轍を跨ぐのはとても危険です。
轍がきつい場合はコーナーの左右に関わらず左側の轍を走ると良いでしょう。
路面がある程度良い条件であれば、左コーナーは「アウトインセンター」、右コーナーは「アウトセンターセンター」というラインを取るのもいいでしょう。
これは対向車を考えてのライン取りです。
その考えを基本に出来るだけ綺麗なラインでブレーキングするように心掛けて走ります。
また、公道ではその状況に応じたライン取りが求められるため、必要に応じてコーナーから遠い位置からブレーキングする場合もあると思います。
次にダウンヒルでのライディングポジションについてご紹介します。
自転車ダウンヒルの時に必要な踏み方におけるポジション
ヒルクライムで頂上に辿り着けば、その後はダウンヒルが始まります。
上りも下りも楽しめるのがヒルクライムの醍醐味ですが、ダウンヒルに慣れていないライダーは、まずそのスピード感に面食らうでしょうし、ブレーキコントロール等で苦労するものです。
そこでダウンヒルに有効なポジションと視線について考えてみましょう。
〇重心は低い方が安定する
重心は低いほうが安定します。
ロードバイクにおいても同様で、特に下りでスピードが出ている時は重心を下げるように努力しましょう。
サドルの上にドカッと座るとサドルが重心になってしまうので、お尻を気持ちサドルから浮かせてペダルの上に立つ感じにします。
こうすれば重心はペダルになり、低い位置に決まるので安定感が増します。
〇ダウンヒル時に何処を見て乗車するのか
視線は足元ばかり見過ぎるのではなく、やや前方の進行方向に向けます。
コーナーもあれば前を走る仲間も居るのでそちらを見て乗車しましょう。
サイコンやタイヤばかりが目に入ってくるとしたら、それは視線を下げ過ぎです。
因みに、初心者ライダーは「事故を目撃すると、何故か事故が起きた方に行ってしまう」という傾向もあると言われています。
落車した集団に向かって行ってはいけないと頭で理解しているのに、引き寄せられるようにこういうことが起きるということなのです。
このことから目線は、行きたい方向にするのがいいでしょう。
次はダウンヒルに有効なペダルの踏み方を含めたいくつかのポイントをご紹介します。
ペダルを止めない踏み方でスムーズにダウンヒル
ここからは、スムーズにダウンヒルをするためのポイントをご紹介していきます。
〇ペダリングは止めない
下りでスピードが出て来ると脚を止めても進むのでつい休んでしまいがちです。
しかし、血流を良くするためと体温を下げないためにも、軽くペダリングを続ける踏み方が良いです。
〇スムーズなライン取りを
公道では自分の好き勝手なライン取りは出来ませんが、「S字コースでは、最短距離を走るようにし、ライン取りも滑らかにしよう」などと言われがちです。
しかし、高速走行時に大きくハンドル操作をするとバランスを失ったり、タイヤがスリップするため、調整が必要となるので、ご注意して走行してください。
〇マージンを取る
ダウンヒルでは非常に簡単にスピードが出ます。
初心者でも高速が出せてしまうのが怖い処で、コントロール技術が伴わないといざと言う時に止まれなくなり、落車や前転して前に飛ばされる事もあります。
目から入る情報量が多い上に変化が早過ぎて、慣れていないと咄嗟の判断が難しいのです。
目線は遠くに据え早目に危険や異変を察知しましょう。
〇グループツーリングでは
コントロール出来る範囲内のスピードで走りましょう。
集団走行中は、団子にならずお互いのバイクの距離を開けて走りましょう。
〇意識的に息を吐く
息を吸うより吐いた方が筋肉が動かし易く、集中力も切れないとも言われています。
ダウンヒルではライン取り、ペダリング、障害物を避ける、ブレーキングなどの複数の作業が同時に発生しますので、意識的に息を吐き、身体をリラックスさせながら下るのがいいでしょう。
自転車の傾きとペダルの踏み方
〇身体ではなくバイクを傾ける
重心を左右に移動させる時はバイクを傾けコントロールします。
しかし、身体は真っ直ぐな状態を保ちましょう、
その方がタイヤにトラクションが掛かり易くスリップし難いのです。
〇外側のペダルに体重を乗せる
コーナーの中ではスピードが落ち不安定になりがちです。
外側のペダルを踏ん張ると安定します。
コーナリング時にペダルが路面に接触すると簡単にバランスを失い、最悪の場合落車に繋がります。
内側のペダルは12時、外側は6時の方向になる踏み方をキープしましょう。
〇サドルに全体重預けてしまわない
サドルに全体重を預けない事は重心を下げる事以外にも、膝をクッションにする事で下からの突き上げ衝撃を直接受けずに済み、視界が上下に振れなくなり、より安全に乗車出来ます。
〇ゆっくりと安全な速度で
ダウンヒルで最も注意するのは、ブレーキを駆使して「スピードを出し過ぎない」ことです。
「ダウンヒルのコツではない」と思われるかも知れませんが、控えめなスピードで走ることがまず第一歩だと思います。
低速であれば、事故の可能性を低く抑えられます。
路面が濡れている時や落ち葉が多くなりやすい季節は、ゆっくり走行するといいでしょう。
怪我をしてもしょうがないですし、バイクに傷を付けたくもないものです。
無事故、ノントラブルで帰宅するのが最重要課題なのです。
その上で、どんどん速く走れるようになってくると、安定性が出てくることでしょう。
自転車のブレーキングとペダリングについて
自転車のブレーキングについては、細かなところまで、細かくご説明しました。
ダウンヒル時のブレーキングは、スムーズなライン取りがカギになります。
わざわざ、体力を消耗するような走り方は避けたいですね。
また、ダウンヒルをする上では、まずは無理なスピードにしないことです。
怪我をしては、元も子もないですからね!