自転車のフレームで、よく耳にするクロモリフレーム。
いったいクロモリはどんな素材か?
また、クロモリのほかに、アルミやカーボンといったものがありますが、それぞれの重量や素材の違いを見てみましょう。
今回はクロモリについて詳しくご紹介していきます。
自転車のフレーム、クロモリってどんな素材?
自転車の本体となるフレームには、二つの役割があります。
一つ目は、自転車を構成する全てのパーツの重量と、その自転車に乗る人の体重を支えるという役割です。
そしてもう一つは、路面を走る際の振動や衝撃を吸収する役割です。
このような役割を担うフレームの材質には、いくつか種類があり、主にアルミやカーボン、そしてクロモリに分類され、中には希少ですがチタン製のものもあります。
その中でも、クロモリとはどのような素材なのでしょうか。
通常は「鉄」と称されることがほとんどですが、厳密には「鉄」に「クロム」と「モリブデン」という素材を添加した合金の一種で、非常に強く高価な素材です。
そして、クロモリの特徴はその丈夫さにあります。
たとえば、アルミフレームは衝撃に弱いため、割れ易く、カーボンフレームは衝撃には強いものの、一箇所傷が入ると、そこからフレーム全体に傷が広がってしまいます。
その点、クロモリフレームは多少の衝撃で割れることはありません。
また、もし衝撃で曲がることがあっても、軽度であれば修復が可能です。
これは、クロモリという合金素材の特性ならではの違いと言えるでしょう。
クロモリフレームの重量は重い!?
アルミやカーボンなど他の素材と比べると、クロモリフレームの重量は、どうしても重くなってしまいます。
アルミと比べると約0.5~1キログラム、カーボンの場合は約2~3キログラムも重くなる場合があります。
特にカーボンと比較した場合、まず乗った瞬間に重量差を体感するほどの違いがありますので、坂道でカーボンがいかに楽で有利なのかは明らかです。
また、カーボンは金属ではないので錆びませんが、クロモリは主な材料が鉄で、アルミと比べても錆びやすい性質を持ちます。
それでは、クロモリはカーボンやアルミよりも劣る素材なのかというと、そうではありません。
振動や衝撃の吸収性能において、カーボンに勝る素材とは言えませんが、クロモリはその独自の素質により、しなやかな乗り心地と加速性能を実現することができます。
ペダルの踏込の力は活かしつつ、適度に反発し、適度にしなり、加速につなげてくれるような感覚がクロモリの特徴と言えるでしょう。
クロモリフレームは重量に負けないメリットがある!
最近では、アルミフレームやカーボンフレームのように、軽量でより早く走れる、いわゆるレース向けとも言えるような素材が目立つようになってきました。
しかし、クロモリフレームの中にも、レースでも走れるような、ロードバイク仕様のものもありますので、一概にクロモリが遅いという訳ではありません。
また、アルミやカーボンが主流となりつつある中で、あえてクロモリを選ぶ要素と言えば、やはりその乗り心地です。
約1~3キログラムほど、フレーム重量に差はありますが、しなやかさと丈夫さ、そしてペダルを踏み込んだ時の独特なバネのような感覚、その乗り味の違いは明らかです。
レースやトライアスロンを本格的に走るのであれば、重さのあるクロモリフレームはおすすめできませんが、趣味で長く走りたい人にとっては、フレームは丈夫な方が良いでしょう。
カーボンよりも気軽に取り扱いができ、アルミよりも衝撃を吸収して乗り心地の良いクロモリフレームはおすすめです。
クロモリフレームのメリット!フレームが長持ち!
クロモリフレームは、比較的長持ちすると言われ、良い状態を維持すれば数十年間もヒビが入ったり、割れたりすることなく使用することが可能なこともあります。
一方で、アルミはラグレスの構造上、パイプの接合部に応力が集中し、ヒビが入ることもあります。
また、カーボンについては、縦方向の衝撃に強く、横方向からの衝撃に弱いという特性があります。
一度傷が入ってしまったカーボンフレームは、本体全てに傷が広がり断裂してしまうので、再使用は大変危険です。
このようなことを考えると、カーボンフレームやアルミフレームに比べて、クロモリフレームは重量があるものの、丈夫なため長く使用することができるでしょう。
しかし、寿命という部分に関して注意していただきたいのが、サビです。
カーボンやアルミでもケアが必要なのは同じですが、特にクロモリは、鉄を含む性質上、錆びやすいです。
そのため、濡れたらホイールやシートポストを外して十分に乾かしましょう。
また、基本的に室内保管をすることをおすすめします。
そうすることで、一生モノの一台として愛用することができるのです。
クロモリフレームのメリット!細身のスタイル!
クロモリフレームのその細身で引き締まったスタイルは、最も魅力的なポイントと言えます。
クロモリフレームのパイプ自体は円形断面で細いのが特徴です。
フレーム本体に重量はありつつも、この構造がスポーティで引き締まったスタイルと、軽快感を演出しています。
デザインについては、カーボンやアルミの方が自由度が高いです。
しかし、クロモリ特有の細身のフレームは、カーボンとアルミにはないスタイルと言えるでしょう。
一方で、クロモリフレームは、【ホリゾンタル(水平)】フレーム形状を採用し、伝統的で美しいスタイルを表現し続けています。
このホリゾンタル形状とは、トップチューブが地面と平行であることを意味しています。
引き締まったパイプのホリゾンタルフレームは、自転車らしい機能美を追求したスタイルと言えるでしょう。
また、クロモリフレームは、その細身でホリゾンタル形状がゆえに、トップ・ダウン・シート、これら3本のチューブが囲む面積が広くなります。
フレームが細くスッキリしているので、ボトルケージなどのアクセサリーを取り付ける際に使い勝手が良いですし、スロープしていないので、肩に担ぎ易いのもポイントです。
フレームの重量は軽ければ軽いほど良いわけではない
自転車の重さを軽量化することにより、運動性能が上がります。
これが、自転車の中でも特にスポーツ車は、軽い方が良いと言われる理由です。
自転車は、自動車やバイクと異なり、人力で走る乗り物です。
そのため、軽ければ軽いほど、加速、減速、旋回いずれも少ないエネルギーで走ることができるのです。
自動車やバイクでも、レース向けにレギュレーションの規定重量の限界まで軽量化を図ります。
軽くするためには、走行に支障が至らないよう、強度、機能、部品をその限界まで削り取っていく必要があります。
その一方で、冗長性、耐久性、利便性は損なわれます。
ロードレースで活躍するカーボンフレームは、一度の転倒でフレームにクラックが入り廃車になるケースも少なくありません。
カーボンフレームは、軽さの追求した反面、非常に繊細な作りとなっているのです。
このように、自転車の性能は、用途や走る目的によって見極める必要があります。
そのため、軽ければ軽いほど良いというわけではなく、壊れにくく丈夫で、長持ちする自転車であれば、重さが重要になってきます。
重さがあることによって、「頑丈さ」というメリットが生まれるのです。
このことからクロモリには、クロモリなりの良さがあるのです。
クロモリフレームは街乗りに最適
クロモリフレームは、重量が重いことがデメリットとして上げられますが、それ以上にメリットが大きい、良いフレームだと思います。
車体が重いためレースには不向きですが、クッション性や乗り心地を考えると、通勤や街乗りだけで使用する人には、もってこいの自転車だと言えるでしょう。