ロードバイクのディスクブレーキ化!メーカー別おすすめ機種

MTBやクロスバイクでは完全に主流となっているディスクブレーキですが、その流れがロードバイクにも押し寄せてきています。

プロチームのレースでの使用の足並みが揃っていないこともあり、まだ主流とまでは言えませんが、消極的に思えたメーカーもラインナップさせてきていることからも流れは傾きかけています。

そこで今回は、主力メーカーから筆者おすすめのディスクブレーキ搭載のロードバイクをご紹介します。

ディスクブレーキはリムブレーキからの換装が原則不可能であり、完成車(フレームセット)から選ぶ必要がありますので、ぜひ参考にしてください。

目次

ロードバイクにディスクブレーキを搭載するメリット

今回はディスクブレーキ搭載ロードバイクをメーカー別にご紹介していきますが、まずはどんな用途や乗り方にディスクブレーキがおすすめなのかをお話しします。

ディスクブレーキはホイール中央のハブで制動動作が起こりますので、天候や路面状況に左右されにくく、常に安定した制動力が魅力です。

そのため、ロードバイクを通勤など実用的に活用し、雨の日でも乗るという方、また、荒れた道やアップダウンの激しい山間部などにお住いの方にも、ディスクブレーキの有用性があります。

また、これは油圧式に限りますが、従来のリムブレーキのようにレバーでワイヤーを引くという操作がないのでレバーアクションが小さく済み、少ない力でブレーキを掛けることができます。

リムブレーキではレバーに指を3~4本掛けるフルブレーキが、ディスクブレーキでは1本掛かれば十分に同じ制動力が得られると言われています。

そのため、手の小さな方や握力が弱めの方でも強いブレーキを掛けることができますし、長距離走行で握力が低下してくる終盤でその恩恵を感じることができます。

以前はディスクブレーキというと高額でリムブレーキとの価格差が大きかったのですが、現在はレバーがまだ少し高額ではあるものの、完成車ベースでリムブレーキモデルの1~2割増しというところです。

そのため、上記のような状況が考えられる方は、最初からディスクブレーキ搭載のロードバイクを選ぶのが良いかと思います。

それでは次項から、筆者がおすすめするディスクブレーキ搭載のロードバイクを、メーカー別にご紹介していきます。

今が旬のメーカーのおすすめディスクブレーキロードバイク

【CANYON(キャニオン):ULTIMATE CF SL DISC 8.0 DI2】

(画像引用元:キャニオン公式ストア

メーカー希望小売価格:¥369,000(税込)

2018年のツール・ド・フランスでチーム総合優勝を果たした、「モビスターチーム」に機材を提供するドイツの新進気鋭メーカーです。

販売代理店を持たず、販売は全てメーカー直接のネット通販で行うため、他メーカーに比べ価格が割安になります。

このモデルもシマノの電動式変速コンポ「アルテグラDI2」を搭載したディスクブレーキロードバイクながらこの価格は、他メーカーでは中々見られません。

まして、ディスクブレーキとDI2は小さなレバーアクションでも確実に機能させることができる共通点から非常に相性がよく、それをこの価格で体感できるのもおすすめポイントの1つです。

そして、プロユースの「ULTIMATE CF SLX」をベースに、ホビーライダーに向けフレームの剛性や極端すぎない乗車ポジションなど少し優しい味付けもされています。

そのため、キャニオンは長距離を走れるモデルとして位置付けており、路面状況を問わないディスクブレーキのメリットが最大限に活かされることになります。

また、ハブの回転力では世界的に高い評価を受けている「DT SWISS」のホイールが装備されていますので、趣味のライドだけでなくこのままで十分にレースに参戦できるスペックです。

キャニオンは「質実剛健」という評価をされることが多いように、奇をてらわないシンプルなデザインが売りですので、人を選ばない良さがあります。

そのため、最初の1台でも、レベルアップを目指すためでも選んでいただけるメーカーです。

フレームの魔術師が生み出すディスクブレーキロードバイク

【FELT(フェルト):VR5】

(画像引用元:フェルト公式サイト

メーカー希望小売価格:¥321,840(税込)

「フレームの魔術師」とも言われている創設者ジム・フェルトの元、ドイツメーカーらしい質実剛健なもの作りを行っているメーカーです。

モトクロスのメカニックだったフェルトがトライアスロンバイクを作ったのが始まりであり、フェルトは今でも現役のメカニックとして現場に出ています。

そのことから、ロードバイクも以前はレースモデルに特化したラインナップでしたが、現在は幅広いユーザー層にもアピールする戦術が取られ、このVR5もロングライド向けの位置付けになります。

レースモデルから弾性を少し抑えた中弾性のカーボンを使い、振動吸収性に長けたしなやかなフレームに仕上げています。

その一方でフロントフォークに上位モデルの素材を使用することで、ハンドル周りの剛性がしっかり保たれていますので、安定したハンドリングがロングライドをあと押しします。

また、ジオメトリもヘッドチューブが長めになっていることから、ややアップライドな楽な姿勢で乗車することが可能なので、通勤などの実用的な用途にもおすすめのモデルです。

2019モデルは新たにディスクブレーキモデルが加わったシマノ・105を搭載し、手の小さい方でも操作のしやすいように、ブレーキレバーが4mmほど手元に近づいている仕様のショートリーチも用意されています。

あとは、28Cのタイヤが標準装備されているように、タイヤクリアランスが広めに取られているので、ブロロックタイヤにも対応しており、グラベルライドにも対応しています。

ロードバイクが急成長しているメーカーのおすすめディスクブレーキモデル

【MERIDA(メリダ):REACTO DISC 4000】

(画像引用元:メリダ公式サイト

メーカー希望小売価格:¥312,120(税込)

メリダは同じ台湾の「ジャイアント」に次ぐ、世界第2位の販売台数を誇るメーカーです。

多くの欧米メーカーからのOEM(相手先ブランド名製造)で得た技術を自社ブランドの生産に活かし、着実にシェアを伸ばしてきました。

先に花開いたのはMTBですが、ロードバイクでも近年世界最高峰の「UCIワールドツアー」に参戦するようになり、2018年にはスポンサーを務める「バーレーン・メリダ」がツール・ド・フランスでチーム総合2位に食い込むなど大躍進を遂げています。

また、開発拠点がヨーロッパにあることから、ロードバイクはデザイン性も高評価されており、注目が集まっています。

REACTO(リアクト)シリーズはエアロロードであり、チームモデルはワールドツアー参戦以来一度もチームオーダーから外れることなく、採用され続けています。

こちらの機種は、チームモデルのフレームに採用されている高弾性カーボンから少し弾性が抑えられており、しなやかで耐久性のあるフレームになっています。

また、エアロロードでありながら、ジオメトリが衝撃吸収性を意識したものになっているため、従来のイメージを覆す乗り心地の良さがあります。

ディスクブレーキには、冷却時間を35%短縮するメリダオリジナルの「DISC COOLER」を採用しており、過酷な状況下でもフェードなどのトラブルを未然に防いでくれます。

そして、この4000はカーボンでは最廉価モデルですが、バーレーン・メリダと同じボディカラーが用意されておりプレミア感も十分にありますのでおすすめです。

革新的な技術を体感したいならこのメーカーがおすすめ

【TREK(トレック):Domane SL 6 Disc】

(画像引用元:トレック公式サイト

メーカー希望小売価格:¥365,000(税込)

トレックはアメリカを代表する総合自転車メーカーで、古くからワールドツアーに参戦している世界を代表するレーシングブランドです。

一般市場でも世界中のユーザーからも支持されており、日本でも販売代理店の数を見れば分かるように、大人気のメーカーです。

また、独自のパーツブランド「ボントレガー」は、トレックの完成車にはもちろん、単体のパーツとしても人気があります。

トレックのロードバイクのデザインはどこか無骨で飾り気のないもので、ボディカラーも黒やグレーなどシックなものが多いです。

しかし、その見た目とは裏腹に、最先端のカーボン成形技術で世界最軽量を謳ったモデルや、トップチューブとシートチューブを分離させるという、奇想天外と言っても過言ではない技術を投入することもあります。

そして、この「IsoSpeed」という技術が、長距離レース向きのエンデュランスモデルであるDomane(ドマーネ)シリーズの要であり、異次元の衝撃吸収性を生み出しています。

シートチューブがトップチューブから分離していることでしなりが大きくなるわけですが、その度合いを調整することも可能ですので、様々な路面状況に対応できます。

また、この1台をおすすめしたのは、ディスクブレーキを含めシマノ・アルテグラのフルコンポに、ボントレガーの中位グレードのホイールの組み合わせで、この価格というコスパの高さです。

そして、標準装備のタイヤが32Cというのもレースモデルとしては珍しく、グラベルライドから日々の通勤まで用途の幅がかなり広い点もおすすめです。

女性必見!レディースディスクブレーキモデルならこのメーカー

【SPECIALIZED(スペシャライズド):Women’s Tarmac Disc Sport】

(画像引用元:スペシャライズド公式サイト

メーカー希望小売価格:¥280,800(税込)

こちらもアメリカを代表する自転車ブランドで、前項でお伝えしたトレックとは永遠のライバル関係にあります。

ロードバイクでは複数のUCIワールドチームへ機材を提供するサプライヤーとして、世界のレースシーンをけん引する存在です。

そして、日本のMTBの普及に深く関わったとされており、世界で初めて量産型のMTBを開発したことでも有名です。

さて、この項の見出しのお話しですが、女性モデルを扱うメーカーの中でも、レディースモデル専門のスタッフが開発しているのは、スペシャライズドの他には中々ありません。

メンズモデル(兼用)のサイズを小さくしたものがレディースという認識もされてしまいがちな風潮の中、女性のために設計から専用の体制で臨んでいるのが特筆ものです。

スペシャライズドは日本にも直営店がありますが、そこに女性スタッフが目立つのも開発姿勢と無関係ではないでしょう。

今回ご紹介するTarmac(ターマック)は総合レーシングバイクという扱いですが、「山のターマック」などという異名もあるほど、軽量で鋭い反応が売りのバイクです。

こういったモデルは反応がピーキーになり過ぎて扱いずらいところがあっても不思議ではないのですが、こちらは安定性も抜群のバランスで加味されているので、適度なレーシーさとなっています。

また、小さなサイズはリーチが短いのでハンドルを切った際に前足とタイヤが触れてしまうトラブルが付きものですが、フロントフォークを多めにオフセット(47mm)する工夫も施されています。

そして、ディスクブレーキは軽いレバータッチでも十分な制動力を得られることから、平均的に握力が弱い女性にこそおすすめしたいものです。

しかも、こちらのモデルはシマノ・105のショートリーチのレバーが標準装備ですから、今までのブレーキの概念が変わるかもしれません。

アルミフレームのロードバイクならこのメーカー!

【cannondale(キャノンデール):CAAD12 DISC 105】

(画像引用元:キャノンデール公式サイト

メーカー希望小売価格:¥248,400(税込)

トレック、スペシャライズドと並ぶアメリカを代表するブランドで、特にアルミフレームでは他と一線を画すこだわりを持っており、「アルミのキャノンデール」という異名もあります。

独自性やユニークなもの作りをすることでも有名で、リアにもサスペンションを付けたフルサスMTBを初めて量産したブランドですし、ブレードが左側に1本しかないフロントフォーク「LEFTY」などもあります。

このモデルの製品名ともなっているCAADは、「Cannondale Advanced Aluminum Design」の略で、日本語で言うと「キャノンデールの革新的なアルミフレーム」という意味でしょうか。

独自の成形技術やジオメトリによって、カーボンフレームにも引けを取らない剛性や快適性を与え続けており、その軽量さから「カーボンキラー」という異名もあるほどです。

CAADは完全ホリゾンタルスタイルで昔ながらのレーシングデザインで、シャキッとしたアルミ本来の加速力や反応の鋭さが強調されています。

しかも、ディスクブレーキモデルは強い制動力にフレームが対応しなければならないため、全体的に剛性が高く、硬めの乗り心地が特徴です。

そのため、少し乗り手を選ぶロードバイクとも言えますが、最初からスピード重視の方にはおすすめです。

世界をけん引するレーシングブランドのディスクブレーキモデル

【Pinarello(ピナレロ):DOGMA F10 DISK(フレームセット)】

(画像引用元:ピナレロジャパン公式サイト

メーカー希望小売価格:¥756,000(税込)

ピナレロがロードバイクを供給しているワールドチーム「チーム・スカイ」所属選手が、2018年までの近7年中6度ツール・ド・フランスの個人総合優勝を果たしています。

これは数々の栄光のほんの一例に過ぎず、とにかく世界のレースシーンはピナレロがけん引していると言っても全く過言ではありません。

イタリアを代表する老舗ブランドですが、とにかく革新的な技術を次々に投入することがモットーで、「世界初」という冠が付くことが多いのも大きな特徴です。

現在では一般的になっている、ヘッドチューブにベアリングを内蔵する「インテグラルヘッド」や、左右非対称の「アシンメトリックデザイン」などがピナレロ発祥の技術です。

このDOGMA(ドグマ)F10はピナレロ不動のフラッグシップモデルで、フレーム素材には航空機などにも使用されている「T1100 1K」カーボンが採用されてます。

古くからの付き合いである日本の「東レ」が、ロードバイクではピナレロにしか提供していない素材で、本来は相反する要素である弾性と強度のバランスを高次元で維持している優れものです。

そのため、もちろんプロ仕様ですから硬めではありますが、一方で乗り心地の良さも評価されることが増えてきており、ユーザー層が広がっているとも聞いています。

このディスクブレーキモデルは前後共に12mm径のスルーアクスルで、エンド幅が142mmという、シマノやカンパニョーロのホイールが多く採用している規格になっていますので、取り付けられるホイールの幅も広くなっています。

そのため、ホイールの転用もしやすいので、パーツを継続使用したい方におすすめしたい機種です。

とにかく速く走りたいならこのメーカー

【cervélo(サーヴェロ):R3 Disc Ultegra R8020】

(画像引用元:東商会ホームページ

メーカー希望小売価格:¥615,600(税込)

サーヴェロはカナダで1995年に創設された新興メーカーです。

トライアスロンで人気だったこともあり、ロードバイクでも流体力学に基づき、スピードに特化したもの作りを行っています。

それは機材を提供しているワールドチーム「チーム・ディメンションデータ」の陣容にも表れており、ツール・ド・フランス区間30勝の稀代のスプリンター「マーク・カヴェンディッシュ」が所属しています。

製品名にはそれぞれの機種の特徴を表すアルファベットが冠されており、総合レースモデルの「R」、エアロロードの「S」、エンデュランスモデルの「C」、TT、トライアスロンの「P」があります。

ご紹介していますR3は総合レースモデルで、プロ仕様のR5から少しアマチュアライダーに寄り添った、快適性や乗り心地の要素も犠牲にしていないモデルです。

また、Rシリーズは軽量に特化したバイクでもあり、公表こそされていませんが実測値ではR3でもフレーム重量が1㎏を下回っていますので、完成車もかなりの軽量になっていることが推測できます。

軽量ということでヒルクライムなどの登坂競技におすすめですが、翼断面を持つダウンチューブなど空力性能も加味されていますので、平坦路での加速力や巡航性も十分にあります。

そして、ディスクブレーキは、確実な制動力と操作性が高評価されているシマノ・アルテグラになりますので、レースにも十分対応できます。

独創的な発想、デザインで最先端を行くメーカーのロードバイク

【ARGON 18(アルゴン・エイティーン):GALLIUM PRO DISC(フレームセット)】

(画像引用元:アルゴン18公式サイト

メーカー希望小売価格:¥442,800(税込)

サーヴェロ同様こちらもカナダの新興ブランドで、1989年の創設ですが、本格的にブランドとして認知されてからはまだ20年弱という若いブランドです。

しかし、2001年当時まだアルミフレームが全盛の時代にカーボンフレームを発表するなど、斬新というか先見の明を見せるブランドでもあります。

トライアスロンやTT(タイムトライアル)バイクに強みを持ち、世界の様々な大会でその存在感を示してきましたが、極めつけは2008に発表したTTバイク「E-114」で、欧州最大の自転車展示会「ユーロバイク」でアワードを受賞しています。

当時としてはまだ画期的であった、ブレーキキャリパーのBB裏への配置などの空力技術を投入された革新的なバイクでした。

これらで実績を積み重ね、ロードバイクにおいても2015年にツール・ド・フランスに初参戦し、現在ではワールドチームの強豪「チーム・アスタナ」に機材を提供しています。

そのメインバイクがこのGALLIUM PROであり、90度回転させるだけで脱着可能なスルーアクスルや、ヘッドチューブの高さを調整できるエクステンダーが付属するなど、アルゴン18らしい独自性が発揮されています。

そして、ディスクブレーキの制動力の強さを受け止めるために各所の剛性を強化していますが、逆三角形のトップチューブや、非常に細身のチェーンステーなどしなやかさを失わない工夫もされています。

また、公表されているフレーム重量がMサイズで794gと軽量なため、ヒルクライムにおすすめですし、しなやかさを失わないジオメトリは快適性にも繋がっていますので、ロングライドを楽しむ方にも最適です。

ディスクブレーキはロードバイクの可能性を広げてくれる!

今回は筆者がおすすめするディスクブレーキ搭載のロードバイクを、メーカ別に9機種ご紹介させていただきました。

ディスクブレーキは制動力が強い分、フレームにそれに耐え得る剛性が必要なため、硬めの仕上がりになってしまうのが弱点とも言われていました。

しかし、今回ご紹介したメーカー、ブランドはそこをしっかりと考慮し、素材やジオメトリでそれを補うしなやかさや柔軟性を取り入れ、アマチュアユーザーにも違和感の少ないものに仕上げています。

また、規格の統一が進んでいることも見逃せず、スルーアクスルやエンド幅142mmが主流になっており、主要ホイールメーカーとのすり合わせもしているので、フレームセットからのバラ完も随分とやりやすくなった印象です。

ロードバイクは自分の用途や乗り方で選ぶのが一番ですが、そこにディスクブレーキという選択肢を加えることで幅が広がりますので、ぜひ検討してみてください。