自転車は汚れることが避けられませんので掃除は付き物であり、今回は中でも掃除が重要となるホイールの外周部分「リム」についてお伝えします。
ホイールは面積が大きいこともあって汚れていると目立ちますし、リムブレーキでは汚れが制動力を低下させることもありますので、見た目だけの問題でもありません。
そこで今回はリムの掃除について、効果や方法をお伝えしていきます。
自転車のリムはブレーキとの関わりが深い
自転車のホイールは地面と近いところで働いていますので、その外周部分であるリムに泥汚れが付くのは致し方ないです。
ただ、のちほど詳しくお伝えしますが、泥汚れ程度なら拭き掃除ですぐに落とすことができますが、問題なのは黒い汚れです。
全体的に黒ずんで見えることもありますし、細い線上の汚れもあるのですが、これは「ブレーキシュー」やリム自体の削れたカスがリムに付着しているものです。
自転車のブレーキはディスクブレーキの台頭が目覚ましいですが、まだリムに制動を掛けるリムブレーキの方が多いのが現状です。
リムブレーキは回転するリムをゴム製のブレーキシューで左右から挟み込み、そこに起きる摩擦力で回転を止める(緩める)という仕組みになっています。
その仕組み上、ブレーキシューとリムはお互いを削り合う関係のため、そのカスがお互いの表面にこびりついてしまいリムは黒く汚れます。
また、ブレーキシューにリムの削りカスが残ったままブレーキを掛け続けるとリム表面に傷が付く可能性がありますし、摩耗も早めることになりますので、シューの掃除も定期的に行う必要があります。
自転車のリム掃除の基本
自転車のリムの掃除ですが、日常的なメンテナンスであれば適当な布などで水拭きするか、ウエットティシュなどで拭けば十分かと思います。
ただ、リムには油汚れなども付着しますので、水拭きで落ちない汚れは「パーツクリーナー」を使用するとよりきれいになります。
パーツクリーナーは自転車用の「速乾性」のもので、ゴム製品を痛める可能性が少ないものを選んでください。
ただし、念のためタイヤに吹き掛からないようにリムに直接吹き付けるのはやめていただき、ウエスやキッチンペーパーなどに吹きかけてから拭いてください。
これで表面上の汚れはだいぶ落とすことができますが、やはり黒い汚れは残るものと思います。
特にブレーキシューとリムの間には摩擦熱が発生し、その熱でゴム製のシューは溶けてリムにこびりつきます。
そして、そのシューのカスが乾いてしまうと普通の掃除では中々落とすことができなくなり、それが常態化してしまうと全体が黒ずんでしまうことになります。
そのため、黒い汚れに対しては別の対処が必要になりますので、次項で詳しくお伝えします。
掃除しても落ちないリムの汚れは「研磨」で落とす!
前項でお伝えした、簡単な掃除では落ちない自転車リムの黒い汚れは、「研磨」して落とすのが一般的な方法です。
包丁を研ぐのと同じ要領で、砥石を使ってリムの表面を少しづつ削り、こびりついた汚れを落とすという方法です。
ホイールメーカーが用意している「マビックストーン」や砂消しゴムを使っても良いですが、多くのサイクリストが使用している下記のものがおすすめになります。
【HOZAN(ホーザン):ラバー砥石 K-141】
工業用の研石で金属板のサビ取りやバリ取りに使われるものですので、ヤスリやサンドペーパーよりも母材を痛めることなく、きれいに仕上げることができます。
他にK-140とK-142がありますが、140ですと目が粗くリムを傷付ける可能性があり、142ですと細か過ぎて研磨に時間が掛かりますので、141が最適です。
包丁を研ぐ際に水を付けるのと同じ原理で、こちらもラバー砥石を水に浸しながら擦っていく方が汚れはきれいに落ちます。
表面にこびりついた汚れはもちろん、細い傷に入り込んだものまで取ることができますので、擦っている内に黒い汚れがたくさん浮き上がってきます。
その汚れを拭き取り表面が輝いてきていれば研磨は成功です。
自転車のリム掃除を行うことでどんな効果がある?
自転車のリムはここまでお伝えしている通り制動を掛ける場所であることから、掃除をして汚れを取り除き、さらに研磨をおこ行うとブレーキの効きがよくなります。
ブレーキシューやワイヤーを交換するほどの効果があるかと言われれば断言はできませんが、筆者の経験から言わせていただくと効きが良くなる実感はあります。
また、ブレーキシューは摩擦熱で溶けたカスがもう一度固まり表面がツルツルとして滑るようになると制動力が落ちるため、前項でご紹介したラバー砥石で表面を軽くこすると、ならされてグリップ力が復活します。
そして、やはりホイールのリムは目立つ箇所ですから、リムを掃除するということは見た目の問題が大きいのも事実です。
特に見た目の美しさも追求されるところがあるロードバイクには「リムの汚れは心の汚れ」などという、あまりありがたくないような格言もあるくらいで、それほど基本的なメンテナンスの1つに数えられているわけです。
ただし、リムの研磨は少なからず汚れていない部分も削ってしまうので、掃除するたびに行うのは得策では無く
、少し表面に黒いものが目立ってきたくらいで行う程度で十分です。
自転車でリム掃除と同時に行うべきメンテナンス
自転車のリムの掃除は日ごろのメンテナンスとして拭き掃除、そして、頑固な汚れが表面に目立ってきたら研磨という流れとお伝えしました。
その日ごろの掃除と同時に行いたいのが、ブレーキシューとタイヤの点検です。
ブレーキシューはリムの削りカスや小石、針金などが表面に噛み込んでしまうことがありますし、先ほども触れたように、いったん溶けたものが再度固まるとツルツルになります。
そのことでリムを傷つけたり、制動力が落ちることが考えられるため定期的に点検をして、異物を除去し、表面をならしてあげる必要があります。
そして、タイヤも表面のゴムに小石やガラス、金属片が噛み込むことがありますし、小さな傷やひび割れが起きます。
それがすぐにパンクに繋がるとは言えませんが、小さな穴から小石などが入り込み、走行中に内部にめり込んでチューブまで届いてしまえばパンクしてしまいます。
そのようなことを未然に防ぐためにもタイヤを一周グルっと見て、傷やひび割れ、異物の噛み込みを点検する必要があります。
リムを守る意味でもブレーキシューの摩耗に注意!
自転車のリムはブレーキによって摩耗するとはいえ、簡単に寿命を迎えるようなことはなく、ブレーキの制動力に大きな影響が出るほど摩耗したという経験をしたライダーも少ないでしょう。
とは言え、ここまでお話ししてきた通り、掃除や研磨には大きな意味がありますので行うべきことですが、ブレーキの制動力という面からはブレーキシューに注目しなくてはなりません。
リムとシューがお互いを削り合う関係とはいえ、金属製のリムに対し、ゴム製のシューの方が削れやすいのは明らかなため、ブレーキシューの摩耗が制動力に与える影響の方が当然大きくなります。
ブレーキシューには表面に溝が彫られていますが、この溝が無くなると寿命とされていますので、その手前で交換しなくてはなりません。
また、それがリムの寿命を延ばすことにも繋がりますので、安価な方のブレーキシューを交換してリムを守った方が、長い目でみれば経済的とも言えるわけです。
掃除がリムの寿命を延ばす!
自転車のリムの汚れはブレーキの制動力を左右する可能性があるため、日ごろのメンテナンスの一環として、最低でも拭き掃除は行いたいところです。
そして、ブレーキシューやリム自身の削れカスが付着し表面に黒いものが目立ってきたら、研磨をして頑固な汚れをそぎ落とすことをおすすめします。
リムの交換は滅多にあることでは無いですが、いざ交換が必要になれば相当な出費を覚悟しなくてはなりませんので、寿命を延ばす意味でも掃除は大切なメンテナンスになります。