イタリアのジオスは老舗のレーシングブランドですので、ミニベロなど街乗り向きのカジュアルなイメージの自転車も、どちらかと言えばスポーツライクなものが多くなります。
ミニベロでもロードバイクと同じドロップハンドルのものが多いのですが、「MIGNON(ミグノン)」はフラットハンドルなので、扱いやすさもあり用途は多彩です。
また、ミニベロは自由度が高く、カスタムをしながら自分なりの一台に仕上げていく楽しみもあり、ミグノンもカスタム例が多く見られます。
そこで今回はジオス・ミグノンのカスタムについて、筆者がおすすめする部分をピンポイントに絞ってお伝えします。
ジオス・ミグノンの概要
ジオス・ミグノンはジオスのミニベロのエントリーグレードで、スポーツバイクの入門編といった位置づけになります。
頑丈なスチール製のチューブながら、細身でスタイリッシュなデザインであり、普段使いの街乗りでも、趣味のサイクリングでも、違和感のない汎用性の高いミニベロです。
ジオスのミニベロとして現在では少数派となったフラットハンドルに、衝撃吸収性の高いハイテンスチール製のフロントフォークが装備されており、扱いやすさと快適性を兼備しています。
また、上体を起こしてリラックスした姿勢で乗れるジオメトリであり、女性人気も高いモデルでもあります。
また、ジオスのミニベロは全機種、20インチサイズのホイールでも径が大きい「ETRTO451」の方を採用しており、ペダルひと漕ぎで進む距離が長いので、スピードの維持に長けており長距離も走れる仕様です。
エントリーグレードということもあり付属パーツのグレードはそこそこですが、カスタムの余地を残していると考えれば、最初は必要十分というところです。
【MIGNON(ミグノン)】
・参考価格:¥59,800(税抜)
・サイズ:470、510
・重量:10.2kg
・カラー:ジオスブルー、ブラック、ホワイト
ジオス・ミグノンのカスタムは費用対効果も考えなくてはならない
ジオス・ミグノンのカスタムのポイントは自分の用途や乗り方に合わせるのが最優先ですが、予算も非常に重要になってきます。
前項でお伝えしましたが、ミグノンは約6万円で、例えばコンポを総入れ替えしますと、工賃も含めてこの金額に達することも十分にあり得ます。
しかし、コンポは用途や目的によってはそれほど劇的な効果が得られないこともあり、万人が満足するカスタムとは言い切れません。
また、スポーツバイクでは優先されることの多いホイールのカスタムも、ミニベロでは選択肢が少ない上に、高額になる可能性もありますので、予算はある程度決めておいた方が賢明かと思います。
もちろんですが、徐々にカスタムをしていった結果が車体価格を超えてしまうことはありますので、否定するわけではないですし、カスタムは自己満足の世界でもあるため、どこまで手を掛けるかも自分次第ではあります。
その上で今回筆者が提案させていただくカスタムは、走行性や快適性に関わり、カスタムの効果が大きい割に安価で行える、ハンドル周りを主とさせていただきます。
ジオス・ミグノンのハンドルにひと工夫するカスタム
それではここから、ジオス・ミグノンのカスタムの実践についてお話ししていきます。
ハンドルですが、フラットハンドルは扱いやすいですし、上から抑え込むようにして握りますので、車体が安定しやすいメリットがあります。
そのため、普段使いの街乗りであれば不足はないはずですが、趣味の走りをしようとなると物足りなさも感じられます。
フラットハンドルの弱点は持ち手が常に一定のため、手や上半身に疲労がたまりやすくなりますので、長距離向きのハンドルとは言えません。
また、前傾姿勢になりにくいので、スピード面で他のハンドルに少し劣ります。
そこで、ハンドルを別種類のものにするカスタムが推奨されますが、ハンドル交換まで至らなくても持ち手を増やすカスタムとして「バーエンドバー」の装着をおすすめします。
ハンドルの両端に前に突き出す形になるバーを取り付け持ち手を増やします。
持ち手が増えることでフラットハンドルの弱点を解消できますし、通常の持ち手が前に突き出ていることで前傾姿勢になりますので、スピードが出しやすくなります。
しかも、パーツは1,000円~2,000円くらいの範囲で十分良いものが手に入りますし、取り付けも六角レンチ1本で済みますので、お手軽なカスタムになります。
ジオス・ミグノンのカスタムにおすすめのハンドルとは?
前項では、ジオス・ミグノンのハンドルのカスタムとして、バーエンドバーを取り付けることをおすすめしました。
そして、その同じ効果を狙う上に、さらにステップアップをして別種類のハンドルに交換する手もあります。
まずは「ドロップハンドル」ですが、高速走行、長距離走行といったロードバイク的な走りが可能になり、実際にジオスのミニベロはほとんどの機種がドロップハンドルです。
そのため、ミグノンでもドロップハンドル化は多く行われているカスタムですが、それ以上におすすめしたいのは「ブルホーンハンドル」です。
横から見るとカタカナの「コ」の字のような形状で、フラットバーの両端から牛の角のように前方に突き出た部分が通常の持ち手になりますので、フラットハンドルにバーエンドバーを取り付けた状態とほぼ同じです。
もちろんフラットな部分も握れますので、持ち手が増えることになりますし、多くのブルホーンハンドルは先端が少し上がり気味になっているため握りやすく、上体を起こした姿勢に対応できるのもおすすめポイントです。
ジオス・ミグノンのブルホーンハンドル化に伴うパーツカスタム
前項ではジオス・ミグノンにカスタムするのは、ブルホーンハンドルがおすすめとさせていただきました。
ただし、今のミグノンのシフトやブレーキレバーを転用する場合には注意が必要で、転用するパーツはフラット部分にしか取り付けられないので、ブルホーンの先端を握っている際はレバーに手が届きません。
シフターは持ち替えれば済むことですが、ブレーキは持ち替えていては急場に間に合わない可能性もありますので、若干使い勝手に問題があります。
そのためシフターを考える必要がありますが、ここはロードバイク用のシフト・ブレーキ一体型レバーをおすすめします。
正確に言いますと、ジオス・ミグノンはフロントギアが1枚しかなく、変速機がありませんので、一体型レバーはリア用のみで、前輪ブレーキには専用のエアロブレーキレバーを使用します。
また、一体型レバーはロードバイク用であり、MTBのパーツを操作することができませんので、変速機であるリアディレイラーは交換になります。
まとめますと、サドルにまたがった状態で、ハンドル右側にシフト・ブレーキ一体型レバー、左側にエアロブレーキレバーを使用、リアディレイラーをロードバイク用に交換するというカスタムになります。
ここまでのカスタム費用をざっと見積もりますと12,000円~13,000円というところで、最初のカスタムとしては程よいかと思います。
ジオス・ミグノンのハンドル以外のカスタムポイント
ここまでジオス・ミグノンのカスタムについて、主にハンドルを中心にお伝えしましたが、あと何点かお伝えしておきたいカスタムがあります。
まずブレーキですが、平坦で舗装された道を晴れの日に走る分には問題ありませんが、雨の日や未舗装路では少し心もとなさを感じます。
ブレーキもコンポの一種ですが、レバーとの互換性を気にする必要がありませんので、多くの選択肢から選ぶことが可能です。
おすすめはシマノ製で、中でも「105」がコスパ面で秀でており、タイヤの小さなミニベロですとこの上のグレードでは効きが強すぎてかえって危険なこともありますので、105が最適です。
あとは、通勤などに使われる予定の方には泥よけの装備をおすすめします。
泥よけはママチャリでは当たり前すぎて恩恵に気づかないのですが、路面が濡れている際に泥よけなしで走ってみると、背中に泥のすじが出来るというのはサイクリストの間では割と定説になっています。
1,000円、2,000円のもので十分ですし、脱着が自由にできて折りたためる携帯用もありますので、必要に応じて付けることもできます。
ハンドル周りを見直すことでミグノンが速く快適になる
ジオス・ミグノンのカスタムですが、筆者の考える最もコスパの高いこととしてハンドル周りをピックアップしました。
持ち手を多くすることは疲労の分散になるので、長距離を走りやすくなりますし、前傾しやすくなりスピードも上がります。
また、シフト・ブレーキ一体型レバーやエアロブレーキレバーは元々はレース用に開発されていますので、スポーツバイクの醍醐味である操作性が加わるのも大きなメリットです。
また、ハンドルの交換まで至らなくても、バーエンドバーの装着であれば低コスト、短時間で手軽にカスタムでき、持ち手を増やすという効果も得られますのでおすすめです。