世界最大級の自転車パーツメーカーSHIMANOのロードバイク用コンポには、グレードがあります。
完成車には価格に応じてグレードのコンポがセットとして一式導入されていることが多いですが、中でも10万円以下の完成車に搭載されているのがCLARIS(クラリス)です。
最廉価モデルであり初心者向けとされているグレードなので、いずれは交換を視野に入れたいところです。
SHIMANO・CLARISを交換してもスピードアップはごくわずか!
仮に舗装された平坦な道で同じくらいの脚力の人同士が、コンポ以外は全く同じロードバイクでスピード比べをしたとします。
コンポですが、片方はSHIMANOの最高グレードDura-Ace(デュラエース)、もう一方の人は最下級のCLARISで勝負したとしたらどうなるのでしょうか?
答えはほぼ同タイムか、ほんのわずかDura-Ace搭載の方が上回るかというところだと思います。
今回のお話は、CLARISを他のグレードのコンポに交換するということなのでこの仮話からさせて頂きましたが、コンポはスピードに関与する部分は少ないです。
わずかにDura-Aceが上回るとしたのは軽量で空気抵抗の低減も考慮された作りだからですが、それは決定的なスピード差にはなりません。
コンポは動力を車輪に伝える機構で、機能としては変速(ギアチェンジ)と制動(ブレーキ)に関わることです。
スピードは動力を伝える力=乗り手の脚力と、伝わった側の車輪の回転力で決まるものですから、コンポとの関係が薄いことになります。
ただし、これはあくまで乗り手の脚力をビギナーと想定した場合になります。
ギアの段数が変わり、また変速のタイムラグがなくなってくることから、自転車のことを知っている上級者ともなりますと、使い方自体に違いが出るため、スピードにも変化は出てくるでしょう。
ビギナー目線で考えますと、ここまでの上級グレードにしてもスピードアップは望めないと言ったところです。
そのため、もしスピードアップ目的でCLARISを交換したいということであれば、その費用をホイールやタイヤ、または自分のトレーニングのために充てた方がよいかと思います。
コンポをグレードアップすることで何が得られるか?
スピードが身上であるロードバイクに対してスピードアップを望むのはごく当たり前の欲求ですし、多くのサイクリストがそこを目指しています。
そのため、ロードバイクではホイールやタイヤの交換が推奨されますし、ローラー台を導入して自宅でも脚力を鍛えるわけです。
では、コンポはどういった欲求を満たしてくれるといいますと、快適性や安全性といった部分です。
「長距離を走っても疲れない」
「路面や地形によって体に大きな負担の掛からないギアが使える」
「変速が正確にカチッと決まる」
「狙ったところでしっかり止まる」
こういった要素がコンポの質で変わってくるのであり、SHIMANOであれば最下級のCLARISよりも上位グレードの方が優れていることになりますので、それを求めて交換を考えることになります。
SHIMANOコンポのグループセット価格
序文でもお伝えしましたが、SHIMANOのコンポにはグレードがあり、同じグレードのパーツ一式が「グループセット」として扱われます。
ただ、販売は単品でもされていますので、ピンポイントでの交換も可能です。
しかし、SHIMANOはリア(後ろ)の変速段数(ギア数)違いのコンポの互換性を保証していないので、ギア数を合わせる必要があります。
CLARISはリアが8段ですが、SHIMANOのロードバイク用コンポではCLARISのみですので、他グレードへの交換はセット一式ということになります。
そこでここでは、SHIMANOコンポのセット価格をご紹介します。
セットの内訳は、STIレバー、クランクセット、BB(ボトムブラケット)、前後ディレイラー、カセットスプロケット、ブレーキ、チェーンになります。
なお、CLARISはセット一式で約4万円です。
【Dura-Ace(デュラエース)11速】約22万円
【ULTEGRA(アルテグラ)11速】約11万円
【105(イチマルゴ)11速】約7万円
【TIAGRA(ティアグラ)10速】約5.5万円
【SORA(ソラ)9速】約5万円
SHIMANO・CLARISのコンポでブレーキだけは単品で交換可能
ここからのお話は、前項でお伝えしたSHIMANOのグループセットを参考に、CLARISからどう交換していくかになります。
なお、互換性についてですが、キャリパーブレーキだけはリアの変速数とは関係がないので、現在カタログに掲載されている全てのロードバイク用のブレーキがCLARISから交換可能です。
CLARISのキャリパーブレーキはインプレ情報などで、制動力に少し不安があることが多く指摘されており、交換が推奨されています。
その際は105グレード以上のブレーキがおすすめされており、これは筆者も同感です。
近年のモデルチェンジで上位グレードは仕様が変わり、より直線的に力が加わるようになったため、制動力がアップしています。
ちなみにキャリパーブレーキの価格ですが、Dura-Aceが約3.8万円、ULTEGRAが1.5万円、105が9千円というところです。
ブレーキは価格だけの問題ではないですが、効きすぎと言ってもよいくらいなのが上位2グレード、しっかり止まれるレベルで105というイメージです。
どこまでのレベルを求めるかは人によって違いますが、筆者の考えでは、プロレーサー並みの制動力が必要な場合や、よほどの急坂の下りを走らない限り105で十分かと思います。
SHIMANO・CLARISからのグレードアップはどのコンポがよい?
前項では、SHIMANO・CLARISからのブレーキ交換についてお話ししました。
そしていよいよここから、セット一式交換について考えていきますが、冒頭でもお話ししたコンポの交換で得られる効果は快適性に関わることですので、そこを重視して考えていきます。
まず、1グレード上のリア9速「SORA(ソラ)」ですが、これは正直言いますと、交換した効果が分かりにくいかと思います。
リアの変速段数が1速増えているので、フロントを2速とすれば使用できるギア比(フロント×リア)が2つ(1×2)増えますから、これはメリットです。
しかし、その他の部分でそれほどCLARISと差がない、と言いますか近年その差が縮まってきているので、あまりおすすめはできないところです。
次にリア10速「TIAGRA(ティアグラ)」ですが、これはそこそこの効果が望めます。
先ほどの計算でいきますと、使えるギア比は4つ増えますので、対応力がはっきり上がると言えます。
しかも、TIAGRAはSHIMANOのモデルチェンジの周期から見て、2019年にリニューアルが予測されますので、大いに可能性を秘めたコンポとして注目されています。
そのため、TIAGRAを選択する場合は、そこまで待ってからでもよいかと思います。
CLARISからリア11速のコンポに交換するには
前項に引き続きSHIAMNO・CLARISからのコンポ交換を考えますが、ここからはリア11速コンポになります。
まず大前提として、リア11速のコンポに交換するにはホイールが11速に対応している必要があります。
ホイールのハブ(フリーボディ)に、11枚分のスプロケット(ギアの歯車)を取り付けられる幅があるかどうかになります。
現在は多くのホイールが11速対応ですが、SHIMANOからもまだ8速・9速・10速用のホイールが市販されているように残ってはいます。
そのため、スプロケットを外しハブのフリーボディを確認する必要があり、もし11速対応でなければコンポの交換はホイールも伴うことになってしまいます。
11速コンポ+ホイールですとかなりの出費になりますので、その場合は新たに11速コンポを積んだ完成車を購入した方がよいかもしれません。
さて、ホイールに問題がないとしてどの11速コンポにするかですが、プロレーサーと同じものを使用したいのであれば「Dura-Ace」、アマチュア最強クラスを目指すなら「ULTEGRA」、レースもするがメインはツーリングや普段使いであれば「105」と考えられます。
もちろん価格にも開きがあるので予算次第ということにもなりますが、どこまで高みを見るかで決まってくると思います。
リアの変速段数を2速増やす!
今回はSHIMANOのロードバイク用コンポの最廉価モデルCLARISから、他のコンポに交換することを考えてみました。
コンポは快適性や安全面を強化する目的で交換するものであり、スピード面への関与が小さいことは覚えておいてください。
個人的にではありますが、コンポの一式交換の際はリアのギアを2速以上増やすというのが筆者の持論ですので、CLARISの場合は10速以上への交換がおすすめになります。