シマノのコンポーネントには様々なグレードがあります。
グレードが高いと値段が高くなり性能も高くなります。
上からグレードから並べると、デュラエース、アルテグラ、105、ティアグラ、SORAとなり、その下にクラリスが来ます。
コンポーネント関連の話では、上位グレードのものばかりが話題に上がってクラリスについてはあまり語られませんが、十分に検討すればクラリスも良い性能を秘めていることが分かってきます。
シマノのクラリスの段数から考える性能評価
シマノのクラリスはグレードが6番目であり、下から2番目なので、高いグレードではありません。
そのため、スペックは上位グレードとは異なります。
上位グレードと一番違うのは、変速段数です。
クラリスは8段変速であり、上位グレードの11段と比べても少ないです。
段数が少ないことは加速性能にも不利だと言えます。
ギアを切り替えるとペダルが重過ぎることがあるのです。
ペダルが重く、回転が悪くなることで素早く加速することができません。
十分に加速してから変速することでペダルの重さを解決できるわけですが、ケイデンスを通常よりも高くしないといけないので、ケイデンスの維持は難しいと言えます。
そのため、段数が多い上位グレードに比べてクラリスの8段というのは加速面で確実に不利です。
このように上位グレードと比べると不利なスペックなのですが、クラリスは十分な性能を秘めています。
ハブは、上位グレードの設計思想を受け継いでいるので回転がスムーズですし、段数が少ないことで正確な変速が可能なので、同グレードの中ではライディングが快適にしてくれるでしょう。
シマノのクラリスでも性能以外のメリット
シマノのクラリスは性能が不十分というわけではありませんが、性能以外のメリットが目立ちます。
まず価格です。
クラリスと1つ上のSORAと比べると、クラリスが2万4000円くらいで、SORAが3万円くらいとなるので、差額が6000円となり、それを割合にすると、3万円の2割にもなるので少なくない差だと思います。
また、段数8段ということがランニングコストの助けになることは見逃せません。
たとえばチェーンですが、8段変速用のチェーンはそれ以上の段数を持つチェーンよりも厚いです。
厚みは耐久性に直結するので、クラリスに使われるチェーンは耐久性が高く、ランニングコストを高めてくれるのです。
それは他のパーツも同様で、チェーンリングやスプロケットも多段用のものより耐久性が高くなります。
そして、ディレイラーの調整も多段のものに比べて楽です。
初心者が調整しても、8段のクラリスであれば、まともに動くディレイラーに調整できますし、注意深く調整すればメンテナンス前よりスムーズな変速になることでしょう。
シマノのクラリスの走行時のメリット
シマノのクラリスは性能以外のメリットが走行時にもあります。
何と言っても変速操作が楽というのが最大のメリットです。
クラリスの変速ワイヤーはフレームに沿って装着されています。
それは普通の装着方法だと言えるのですが、それが良いのです。
上位グレードになると内部ケーブルになって、外から変速ワイヤーが見えなくなり、空気抵抗が有利になって見た目もすっきりするのですが、場合によってはワイヤーが無理に曲がることがあり、変速操作が硬くなることがあります。
そのような内部ケーブルのデメリットがクラリスにはなく、軽快な変速操作を行えるのです。
また、上位グレードと同じ変速方法というのもクラリスの魅力です。
デュアルコントロールレバーが採用されており、ブレーキレバーと変速レバーが一体化しているのでハンドルから手を離さずブレーキ操作も変速操作も行うことができます。
つまり変速レバーの軽さとデュアルコントロールレバーによって走行時に軽快な変速が可能なのです。
シマノのクラリスのデメリットはブレーキ性能
変速性能も十分なシマノのクラリスなのですが、ブレーキ性能に関してはあまり高くありません。
シマノのコンポーネントはブレーキ性能にかなりの差があります。
高いグレードだと、スピードコントロールも制動力も高くなります。
最高グレードのデュラエース、その1つ下のアルテグラ、それらならどのような状況でも十分なブレーキ性能を発揮してくれるでしょう。
しかし、グレードが下がって、105、ティアグラ、SORAとなるとスピードコントロールのレベルが低くなっていきます。
もちろん止まることはできるのですが、最初にぐにゃりとする感覚があり、スピードコントロールが難しいのです。
また、クラリスのコンポーネントは6万円から8万円のエントリーモデルに装着されていることも多く、ブレーキがクラリスではないことも多いです。
その場合は、クラリスのブレーキよりも性能が落ちるので、スピードコントロールはより難しくなってしまいます。
そのようなことがあるため、クラリスを使っている場合はブレーキ性能が低く、スピードコントロールが難しいので、激しいライドに向かないというデメリットが考えられるのです。
クラリスとターニーの違いは大きい
シマノのコンポーネントでクラリスは6番目ですが、その下にターニーがあります。
ターニーは、シマノのコンポーネントの一番下になります。
それらを比較すると、クラリス8段で、ターニー7段ということで、ターニーのほうが1段少ないです。
そのため、ターニーのほうが加速性能が低いでしょう。
また、変速レバーにも違いがあります。
クラリスはデュアルコントロールレバーなので、上位グレードと同様で、レバーから手を離すことなく操作することができます。
しかし、ターニーは違います。
ターニーでは、人差し指と親指でレバーを操作して変速します。
その差は大きなもので、街中で頻繁に変速するような状況では、ターニーのような変速方法ではストレスが溜まることもあるくらいです。
しかし、逆にクラリスとターニーで変わらないところもあります。
手元にオプティカル・ギア・ディスプレイを採用しているので、クラリスとターニーでは現在のギアの位置を目視で確認することができます。
ただし、共通点はそれだけです。
値段の差はあまりなく、他のパーツはクラリスのほうが有利であり、特別な理由がない限りターニーを選ぶ理由はないと思います。
シマノのコンポーネントは上を見ると限りかない
シマノのコンポーネントは値段が高くなるほど、軽量になり、性能が上がって、耐久性も上がると考えておいて間違いありません。
そのため、価格差が少ないと悩むことになります。
クラリスが約2万4000円、SORAが約3万円、ティアグラが約4万円、105が約6万円で、差額が6000円と1万円と2万円となるので少しだけ貯めれば次のグレードが買えるんじゃないかと思うからです。
ただし、アルテグラで約9万円、デュラエースは約18万円と価格帯が異なってくるので、それらはクラリスを検討している人であれば候補にならないでしょう。
少なくとも、クラリス、SORA、ティアグラは近い価格だと言えるでしょう。
少しでも高いグレードにすれば性能が上がりますし、上位グレードを購入したほうが良いのではないかと思う人もいるでしょう。
そのような考え方でも良いです。
しかし、クラリスは低価格であることを再確認してください。
SORAでもクラリスの約1.3倍、ティアグラだとクラリスの約2倍となります。
もちろんそのような価値があると言うこともできるのですが、クラリスでも最低限の装備と性能を持ち合わせています。
気楽にロードバイクを始めたい、なるべく安くロードバイクを体感したい、そのように考えているのであればクラリスの価格も含めて大変魅力的だと思います。
クラリスは日常使いで快適な走行を約束してくれる
シマノのクラリスは8速です。
上位グレードに比べると少ないです。
そのため加速性能は上位グレードのようにはいきません。
それでもレースをするわけではないのなら十分な性能を持っています。
また、高速巡航するわけではなく、買い物などの日常的な用途で使いたいという場合はクラリスが一番おすすめです。
価格もそうですし、変速の使いやすさ、パーツが太いことによる丈夫さ、メンテナンスの容易さ、どの面をとっても扱いやすいです。
また、本格的なロードバイクのとっかかりにもなるので、クラリスの選択は十分にアリでしょう。