SHIMANOのロードバイク用コンポにはグレードがあり、CLARIS(クラリス)は正規グレードでは最も下のグレードになります。
ロードバイクの完成車では10万円以下の機種に多く搭載されていて、クロスバイクやミニベロへの採用も目立ちます。
今回はそんなCLARISのお話になります。
ロードバイクに「コンポ」という概念を導入したのはSHIMANO
以前ロードバイクのパーツは別々のメーカーが製造しており、フレームメーカーはそれを個別に仕入れて完成車に組み上げていました。
メーカーが違うので、そのつど互換性を確かめながらの作業になりますから、かなりの負担になっていたことが想像できます。
そこに目を付けたのがSHIMANOであり、互換性を保証したパーツをまとめてセット一式で販売をしたのが、「コンポ」という概念の始まりです。
これにイタリアの「カンパニョーロ」が「グループセット」という名前を付けて参入したため、多くのパーツメーカーがそのあおりで淘汰されていったと言われています。
現在コンポメーカーと呼ばれているのは、アメリカの「SRAM(スラム)」を加えた3社で、世界3大コンポメーカーなどと呼ばれています。
コンポはロードバイクを前に進めるための機構に関わる、シフター、ディレイラー、クランク、チェーンなどの駆動系のパーツ「ドライブトレイン」と、ブレーキを総称したものです。
冒頭でもお話ししましたが、SHIMANOのコンポにはグレードがあり、完成車に一式で導入されることが多いです。
分かりやすいところでは、完成車の価格帯に比例するところがあり、最上位モデルのDURA-ACE(デュラエース)が60万円~100万超に搭載されている一方、CLARISは10万円を切る安価なバイクに搭載されています。
SHIMANO・CLARISのメリット・デメリット
SHIMANOのロードバイク用コンポはグレードが上がるに連れて、性能、価格が上がり、軽量になり、リアの変速段数が増えていきます。
その中でCLARISはグレードが一番下ですから、もちろん上位モデルと比較すれば劣勢になるのは否めません。
ロードバイクは最初から付属しているパーツを一生ものと考えるのではなく、カスタムをしながら仕上げていくという考え方があります。
そのため、まず安価なパーツを装備した完成車から入り、徐々にグレードアップさせていくというやり方は理に適っており、コンポではCLARISがそのたたき台としての役目があります。
CLARISはリアの変速段数が8速のコンポでギアの数は最も少ないですが、ロードバイクらしいスピードを出すことは可能です。
また、8速であるがゆえに、ギアやチェーンを頑丈な作りにできるので、耐久性に優れているというメリットがあります。
ただ、ギアとギアの間が大きいので、細かいスピードコントロールや滑らかな変速は難しく、走り方によっては少しストレスを感じることになるかもしれません。
また、これもCLARISの特徴でよく指摘されますが、クランクが少し柔らかめなので、加速力やスピードの維持(巡航性)に劣るところがあります。
しかし、これも裏を返せば、柔らかいということは脚への負担が少ないということでもあるので、デメリットと感じない方もいるはずです。
ロードバイクのスピードとSHIMANO・CLARISの関係は薄い!
そして、これもコンポ選びの基準としてよく議論になりますが、コンポはロードバイクのスピードにあまり関係が無いという点です。
ロードバイクはモーターがありませんから、動力は乗り手自身がペダルを漕ぐことによって生み出します。
そして、ペダルを漕ぐ力はチェーンを介して車輪を回転させることで、ロードバイクは前に進みます。
したがって、スピードアップをさせるには動力を生み出す自分の脚を鍛える、そしてパーツで言えば車輪(ホイール+タイヤ)のレベルを上げるのが最も効果的です。
そのため、コンポがDURA-ADEでもCLARISでも出せるスピードは自分次第ですし、シフターやクランクを交換しても回す車輪が重かったり転がりの悪いものであれば、スピードは上がりません。
厳密に言えば、SHIMANOではDURA-ADEの方が軽量な分空気抵抗が少なくなりますし、クランクの剛性が高い分パワーロスが少ないので、若干スピード面でも有利にはなります。
しかし、それは筋力が上がって脚力が付き、ペダリングの技術を習得して初めて体感できることですし、それもほんのわずかな差かと思います。
SHIMANO・CLARISのブレーキの評価は?
前項まででお話ししたように、コンポは用途や乗り方によってはメリット、デメリットが逆転する関係になります。
また、コンポはロードバイクの身上とも言えるスピードに関与する部分が少ないので、CLARISがSHIMANOの中で最下位グレードだから評価されないということはありません。
まして、CLARISはセット一式で約4万円、これは最上位モデルDURA-ACEのクランク1本分にも満たない価格です。
それを考えれば、この価格で普通に走っている分には何の問題もないコンポ一式が装備されているということを、もっと評価すべきでしょう。
ただし、ブレーキだけは早めの交換が推奨されるところで、特に雨の日でも関係なく乗るという方や、アップダウンの激しい場所を頻繁に走るのであれば、CLARISのブレーキは少し制動力に不安があります。
そして、交換ですが、ブレーキはドライブトレインではないため互換性をあまり気にする必要はありません。
そのため、グレードに関係なく装備でき、SHIMANOの中ではサードグレードである「105(イチマルゴ)」以上が推奨されます。
コンポの交換はロードバイクの何を変えるのか?
ここまでお話ししてきた通り、SHIMNO・CLARISはロードバイクの性能を保持するには必要十分であり、コスパ的には評価できるコンポだと考えられます。
しかし、たたき台であるというお話もしましたが、ステップアップを望みたくなることもあるはずです。
筆者の経験上からも言えることですが、SHIMANOコンポのグレード間の差が最も大きく感じられるのは、フロントの変速性能です。
基本ロードバイクのフロント変速は2速ですから、2枚のギアで運用されています。
その歯数構成は50×34など大小の落差が激しいので、変速の際にはチェーンが大きく動き、ギアに強い力が掛かります。
そのため、この部分の性能差が変速のアクションに関係してきます。
上位グレードになるとスパッと一発で決まるイメージで音も静かですし、シフトレバーの押し込みも軽いです。
そして、グレードが下がってきますと、徐々に変速にタイムラグが生まれるようになり滑らかさを欠くようになります。
音も105なら「カチャッ」くらいで済みますが、その下になると「ガチャン」と音が濁って大きくなっていきます。
もちろん下位グレードだから変速できないというわけではないのですが、上記のように快適性には差が出ます。
CLARISからのグレードアップにはどのコンポがおすすめか?
前項ではロードバイクのフロント変速を例に挙げ、SHIMANOコンポのグレード間の差についてお話ししました。
コンポは走行時の快適性や効率のよさに深く関わりますので、ロードバイクで走る距離が長くなるにつれて、交換の欲求が高まってくるものです。
ただし、コンポの交換は、気になる部分だけをピンポイントでというわけにはいきません。
SHIMANOはリアの変速段数の違うコンポ同士の互換性を保証していないので、カスタムは全てのパーツをリアの変速数に合わせなければなりません。
先述した通りCLARISはリア8速であり、SHIMANOには他に8速のコンポがありませんので、交換はリアの変速数を変えるカスタムとなり、セット一式の導入ということになります。
その際ですが、自分がどこの性能を上げたいかにもよりますが、変速段数を増やしたいということであれば、9速の「SORA(ソラ)」、10速の「TIAGRA(ティアグラ)」でよいかと思います。
しかし、もう少し快適性や効率を求め、レースやロングライドなど本格的にロードバイクと付き合っていきたいのであれば、「105」以上がおすすめになります。
必要十分ではあるがグレードアップを考える日も来るはず!
今回は、SHIMANOのロードバイク用コンポCLARISについてお話ししました。
ロードバイクに必要十分な機能と普通の性能はありますので、コストを考えれば十分に評価できるコンポかと思います。
ただし、快適性や効率アップを求めるのであれば、コンポのグレードアップが効果的です。