シマノのリア11速用のグループセットが2018年の105をもって全てアップグレードされ、型番にRが付く新世代モデルに移行しました。
その中でも新たにディスクブレーキモデルが加わり、さらにデュラエースに迫る存在となったのがセカンドグレードのアルテグラです。
そこで今回は、アルテグラをグループセット一式導入することを考え、特徴や価格などをご紹介します。
グループセットとは?
今回は、シマノ・アルテグラをグループセット一式で導入することを考えていきますので、まずはグル―プセットについてご説明します。
グループセットは、元はシマノのライバルであるイタリアの「カンパニョーロ」が自社製品に付けた英語の呼称ですが、今では英語圏でコンポのことを指す用語になっています。
シマノやカンパニョーロにはこのグループセットにグレードがありますので、イメージとしては同じグレードのパーツの集まりと考えれば分かりやすいかと思います。
シマノでは、デュアルコントロールレバー、前後ディレイラー(変速機)、クランクセット、BB(ボトムブラケット)、カセットスプロケット、チェーン、ブレーキを一式としてグループセットと考えています。
完成車にはグループセットとしてグレード一式で導入されていることが多いですが、互換性がある場合には、他のグレードや他社製のパーツがミックスされていることもあります。
アルテグラはシマノの中でデュラエースに次ぐ上から2番目のグレードで、一般的なセット一式の価格は約11万円です。
また、従来型の機械式変速に加え、モーター内蔵の変速機を電子信号を送って操作する電動式コンポ「Di2」もあり、そのセット一式の価格は18~19万円になります。
シマノのグループセットの中でのアルテグラの立ち位置
シマノのロードバイク用グループセットでは、ハイエンドグレードの「デュラエース」が特別な存在となっています。
グループセットの価格は、セカンドグレード「アルテグラ」の2倍以上、同じリア11速でありながら「105」からは3倍以上高額になります。
ただ、性能面ではこれほどの差はないと評価されており、特にアルテグラは極めて近い位置にあるとも言われています。
それもそのはずで、デュラエースとアルテグラは同じコンセプトを持ち、1つのパッケージとして開発されています。
そこから、デュラエースはプロ、アルテグラはアマチュアをメインターゲットとしている分、素材や製造過程が違ってきます。
例えば、アルテグラでは鉄やアルミを使用している部分が、デュラエースではチタンやカーボンになっています。
また、表面的には違いが分かりませんが、ギアの歯車などは裏返してみるとデュラエースの方が仕事が丁寧で、精巧に作られているのが分かります。
こういった積み重ねが価格の差になっているのですが、それが性能に及ぼす影響が僅かであるため、アルテグラはデュラエースに引けを取らないという評価になるのかと思います。
シマノ・アルテグラでグループセットのグレードアップを目指す
完成車にシマノ・アルテグラのグループセットを一式で導入することを考えますと、目的はグレードアップということになるかと思います。
アルテグラは上から2番目のグレードなので、その下のグレードからのジャンプアップを目指すことになります。
アルテグラのすぐ下には「105」というグレードがありますが、これはリア変速が11速でアルテグラと同じです。
そのため、多くのパーツに互換性があり、ベースが105ならば単体のパーツをピンポイントでアルテグラにすることができます。
特に最新モデルのアルテグラ「R8000」、105「R7000」は完全互換ですので、自由に組み合わせることができます。(デュラエースのR9100も同様)
もちろん105ベースのところからアルテグラのグループセット一式に換装することは否定しませんが、性能にそこまで差のないパーツも見られますので、105からであれば一部導入でも構わないかと思います。
その際ですが、クランクセットとブレーキは性能の差があるという評価が多いので、強化したいポイントになります。
リアの変速段数違いのグループセットはシマノが互換性を保証しない
前項に引き続きロードバイクのグレードアップ目的で、シマノ・アルテグラのグループセット導入することを考えていきます。
リアが同じ11速であればピンポイント導入は可能ですが、リアの変速段数が違うコンポがベースですと、ほぼ一式での交換となります。
これはシマノがリアの変速段数違い同士に互換性を保証していないため、ミックスしてしまうと正常に機能するかどうか疑わしくなるからです。
一番の問題はチェーンにあり、チェーンの幅はリアギアであるスプロケットの厚さや歯車間の間隔に合わせてありますので、リアの変速段数が違えば当然ながら適合しなくなります。
そして、フロントギアも変速機もチェーンの幅をベースにしていますので、ほぼ全てを交換することになります。
また、アルテグラのようなリア11速のグループセットはホイールが11速に対応している必要があります。
しかし、最近は少なくなりましたが、8・9・10速用で11速に対応していないホイールもまだありますので、その場合アルテグラの導入にはホイールの交換も必要になります。
変速段数を増やすカスタムにアルテグラのグループセットが向く理由
ロードバイクでは、リアの変速段数を増やすカスタムになりますと、前項のようにグループセット一式での導入になるわけですが、その際にシマノ・アルテグラが適している理由をお伝えします。
シマノのリア11速には、アルテグラの他にデュラエースと105があります。
一番高みを目指すのであればデュラエースになりますが、先述しました通り価格が飛び抜けている一方で、性能面ではアルテグラとの差が少ないという評価です。
そのため、筆者は約半分のコストで導入できるアルテグラをおすすめします。
では105はどうかと言いますと、グレードアップした効果は体感できますが、感動するほどの劇的な変化ではないかと思います。
ブレーキなどは十分に差を認識することができるはずですが、変速となるとその差は小さくなってしまいます。
105とアルテグラはグループセット一式で約4万円の価格差ですが、この差を補って余りあるほど、アルテグラの変速性能は高いものがあります。
したがって、グレードアップ目的でグループセット一式導入をするのであれば、アルテグラがおすすめという結論になります。
シマノ・アルテグラには電動式変速「Di2」もある
シマノ・アルテグラのグループセット導入について考えてきましたが、グレードアップの際には電動変速(Di2)という手もあります。
コントロールレバーとディレイラーが専用のものになり、バッテリーやジャンクションなど電動化するためのパーツが必要になりますので、高額にはなります。
しかし、Di2ユーザーのインプレ情報には、もう機械式には戻れないという旨の文言が目立ち、異次元の変速性能の高さが報告されてます。
特に機械式のフロント変速では、ワイヤーを引くのに大きな負荷が掛かるので、レバーをかなり強く押し込む必要があります。
しかし、電動式のレバーは電子信号を送るだけですので、スイッチに軽く触れるだけで変速することができます。
機械式変速では、ハンドルのポジションによっては手が十分に届かず諦めていたフロント変速が、どのポジションからでも可能になります。
また、1回の操作で前後のディレラーが連動して、自動で最適なギア比を設定してくれる機能などもありますので、一つ上の楽しみ方ができるのもおすすめのポイントです。
アルテグラは価格と性能のバランスが抜群!
アルテグラはシマノの最高峰であるデュラエースと性能ではほぼ肩を並べているという評価ながら、半額以下でグループセット一式が導入できます。
シマノではデュラエースとアルテグラが性能面では抜けた存在ですので、価格を考えればグループセット一式の導入は、アルテグラがおすすめになります。
また、リアの変速段数が揃っていればピンポイント導入が可能ですが、その際のおすすめはクランクセットとブレーキになります。