ロードバイクのエントリーグレードの完成車に付属していることが多いシマノのホイールに、「WH-R500」「WH-R501」があります。
また、市販品でもあり、シマノの完組みホイールでは最廉価モデルになります。
今回はそんなWH-R500、WH-R501についてのお話になります。
シマノ・WH-R500、R501は「完組みホイール」
ロードバイクのホイールには「完組みホイール」と「手組みホイール」があります。
完組みホイールはパーツ1つからパッケージとして専用設計されている、唯一無二の存在になるホイールです。
一方手組みは、市販されているパーツをかき集めて組んだホイールになります。
設計や製造に特別な技術や複雑な工程もいらないので低コストで済み、エントリーグレードの完成車には多く採用されます。
その点では、今回お伝えするシマノのWH-R500、WH-R501も、よくエントリーの完成車に付属していますので変わらないと言えます。
しかし、こちらは低コストではありますが、れっきとした完組みホイールであり、シマノは世界4大メーカーの内の1つと評されるほど、ホイールに長けたメーカーです。
いわゆる、今回のお話しに先立ってお伝えしたいことは、エントリーグレードの完成車に付属しているという立場は同じでも、WH-R500、WH-R501は、手組みホイールとは一線を画すということです。
なお、手組みホイールにもプロが使用するような高いレベルのものもあり、総じて手組みが劣るということではありません。
シマノ・WH-R501(旧R500)のスペック
それではシマノ・WH-R501のスペックをご紹介します。
なお、WH-R500は2011年にR501に切り替わった旧モデルであり、大きな仕様変更はなかったとされていますので、ここではR501をご紹介します。
◆参考価格:¥12,704(税抜)
◆重量:フロント・820g リア・1069g(合計1889g)
◆リムハイト:24mm(カタログには未掲載も30mmのモデルもあり)
◆リム幅:20.8㎜(推奨タイヤサイズ23c~32c)
◆スポーク本数:フロント・20本 リア・24本
◆対応ギア:8、9、10速
なお、未掲載のリムハイト30mmモデルは「WH-R501-30」ですが、重量が100g程度重いとされていること以上の詳しい情報はつかめませんでした。
また、「きしめんスポーク」とも言われるエアロ形状のスポークを採用した「WH-R501-A」は、その他の規格は変わらず価格が13,483円になります。
シマノ・WH-R501(R500)の価格と重量
ここからは、前項でお伝えしたシマノのWH-R501(R500)のスペックについて、項目ごとに確認していきます。
なお、シマノのホイールには必ず頭に「WH」が付きますので、この後の本文ではWHを省略させて頂きます。
まず価格ですが、冒頭でもお伝えしたようにシマノでは一番安いホイールになります。
ただし、その他のスペックと合わせて考えるとお得感はそれほどありません。
何と言ってもこのホイールはシマノでは唯一11速に対応していないホイールであり、11速のコンポとは組み合わせられません。
それでいながら、11速対応の最廉価モデル(RS-010)と2,000円程度しか変わらないので、将来の11速化を考えるとコスパに疑問が残ります。
次に重量ですが、シマノのホイール全体で見ればヘビー級の部類であり、「鉄下駄」などと言われることもあります。
しかし、冒頭でもお伝えした手組みホイールは、2000gを超えるのが常ですし、2500g前後あっても珍しくありません。
それらと比較すればやはり一線を画すとは言えますので、ホイール界全体を見渡せば、エントリーグレードとしてはそれほど悪くない数字です。
R501のスポークはなぜ本数が多いのか?
シマノのロードバイク用ホイールR501(R500)のスペックを確認していますが、続いてはスポークです。
R501はフロントが20本、リアが24本ですが、上位モデルに比べ前後共に4本づつ多くなっています。
スポークは乱気流を生みだしますので、空気抵抗を減らしたいロードバイクにとっては、少ないことに越したことはありません。
そのため、上位モデルではスポークをきつめに締めて強いテンションを掛けることで、少ない本数でもリム(ホイール外周部分)が真円になる仕様になっています。
ところが、R501のグレードでスポークをきつく締めてしまうと、リムの強度が足らないのでバランスを保ちにくいですし、下手をするとすぐにスポークが折れてしまいます。
また、R501はリムの素材が柔らかく変形しやすいので、スポークが少ないとフニャフニャでロードバイク用としては使いものになりません。
しかし、だからと言ってリムの強度を上げようと素材の密度を増やせば、今度はあり得ないくらいの重量になってしまいます。
したがって、スポークのテンションがほどほどでも、ホイール全体の剛性を維持することができるように、スポーク本数が多くなっているというわけです。
R501の剛性は?
前項で「剛性」という言葉を使いましたが、ホイールにはとても重要な要素です。
剛性は物質が変形しにくい度合いを指す指標で、変形しにくい物は高い、逆に変形しやすい物を低いと表現します。
シマノのR501(R500)は前項でもお話ししたようにリムが柔らかいので、変形しやすく剛性は低いと言わざるを得ません。
ホイールは剛性が低いとたわみますので、ペダルを漕いだ力が吸収されてしまい、漕いでも進まないような感覚になるので、走りが重く感じられるようになります。
そのため、漕ぎ出しや坂の上りでは重いですし、無駄な力も使うので、長距離走行では不利になります。
しかし、これはあくまでもロードバイクの中の話であり、ママチャリなどと比べれば、R501も各段に剛性は高いです。
しかも、たわみというのはデメリットばかりではなく、地面からの振動や段差を超える際の衝撃も吸収しますので、乗り心地はよくなります。
そのため、ホイールにおける剛性は、何が何でも高ければよいというものではないので、用途によってはR501も必要十分と言えます。
シマノ・R501を上位モデルと比較するのはどうか?
シマノ・R501(R500)はさすがに最廉価モデルですから、上位グレードと比較すれば欠点も多く見えてきますので、厳しい意見も多いです。
しかし、無名のホイールと一線を画すことを強調しているインプレ情報は少なく、上位グレードと比較するものが多いので、R501がいかにもひどいホイールのような扱いになっています。
1万円ちょっとのホイールを10万円もするホイールと比較するのは、あまりにも極端すぎますし、フェアではありません。
R501はエントリーグレードの完成車に付属していることが多いわけで、最初にロードバイクに乗る方がどう体感するかが最も重要なホイールなのです。
それを考えれば、ママチャリは元より、クロスバイクとも走りのレベルは格段に違います。
クロスバイクでもロードバイク用のホイールを装着している機種がありますが、それでも引けをとることはありません。
もちろん限界はありますので、もっと速く走りたいと思えばそこで次の選択肢を考えればよいのであり、最初から上位モデルを持ち出して否定するのは違う気がします。
ただし、先ほども触れたように11速に対応していないので、将来11速化を考えている方は別のホイールの方がよいかもしれません。
ハンデはあるが引けは取らない!
今回は、シマノのロードバイク用ホイール「WH-R501(R500)」をご紹介しました。
11速対応ではないというのは大きなハンデですが、それを含んだ上での最初の選択なら決して悪くはありません。
何よりシマノの完組みホイールである以上、同グレードのものに引けは取らないので、満足度も高いはずです。