ラチェット音ってご存知ですか?
ロードバイクを押して歩いたり、ペダルを止めて空回りさせた時に、リアホイールから聞こえてくる「カチカチ」という音です。
カンパニョーロやフルクラムは、爆音と言う方もいるほど、ラチェット音が大きいようですね。
このラチェット音、放っておくと、どんどん大音量になってきます。
そんな時は、メンテナンスして静音化しましょう。
ハブのグリスアップ方法をご紹介しますので、音量調節しませんか?
ラチェット音とは?フルクラムは音が大きい!?
「ラチェット音」とはどういった音かご存知でしょうか。
ロードバイクを走らせている時に、足を止めて空転させると、リアホイールが「カチカチ…」と鳴ることがありませんか。
これをラチェット音と言います。
ペダルを正方向に回すと、チェーンを介してリアホイールが回ります。
しかし、止まっている状態で、ペダルだけを逆回転させてみると、チェーンは逆方向に動きますがリアホイールは動かないのです。
これは、ラチェットというパーツが働いているからです。
ラチェットはフリーハブボディの中にあり、シマノやマヴィック、カンパニョーロなど、メーカーによって構造は異なります。
マヴィックの場合、フリーハブボディにラチェットの爪が二つあり、この爪を小さなスプリングで支える構造になっています。
フリーハブボディの内部はギザギザになっており、ラチェットの爪が当たるとカラカラといったラチェット音がします。
カンパニョーロやフルクラムはラチェット音が大きいと言われており、音をかっこいいと感じる人には、おすすめです。
この2社は、構造上の問題でラチェット音が大きめになっています。
それでは、性能に定評があるフルクラム・レーシング3のラチェット音はどんな感じなのでしょう。
例えば、フルクラム・レーシング3のラチェット音って?
先ほどは、カンパニョーロとフルクラムのラチェット音が大きいとお伝えしましたが、フルクラムのレーシング3のラチェット音はどんな感じなのでしょうか。
参考までに、ここではフルクラム・レーシング3のラチェット音はどんなものなのでしょう。
フルクラムはカンパニョーロの子会社であり、同じパーツが使用されています。
よって、ハブの構造も同じです。
カンパニョーロやフルクラムはラチェット音が大きいと言われていますが、購入時のレーシング3はだいたいの方が想像しているよりも音は小さいでしょう。
しかし、しばらく乗り込んでくると、存在感のある大きな音を発するようになります。
だいたい走行距離100キロを越えると、良い音がしてきます。
良い音と感じるか、うるさいと感じるのかは人それぞれですね。
ラチェット音に魅力を感じる方には、カンパニョーロやフルクラムは、特有のラチェット音があり、心地良さを実感できるかもしれません。
逆に、シマノやマヴィックは静音だと言われており、ラチェット音を不快に感じる方にはおすすめです。
レーシング3の場合は、走行距離100キロを越えたあたりでラチェット音が大きくなり、そのまま放っておくと更に音は大きくなる可能性があります。
あまりラチェット音が大きくなるようなら、メンテナンスの時期かもしれません。
ラチェット音がひどくなったら、ハブのメンテナンス時期?
もしも、以前よりもラチェット音がひどくなったと感じたら、メンテナンスが必要かもしれません。
グリスが抜けてくることによって、ラチェットの爪が当たる際に、大きな音がするようになります。
大きなラチェット音が気になり始めたら、ハブのメンテナンスをしましょう。
整備しないと、ホイールの回転も悪くなります。
また、ラチェット音が大きいと他の部分からの異音に気付きにくくなってしまうので、早めに対処しましょう。
それでは、カンパニョーロやフルクラムのハブのグリスアップ方法をご紹介します。
先述しましたが、フルクラムは、カンパニョーロの子会社であり、パーツの構造は同じです。
ここでも、フルクラムのレーシング3を例にご説明していきます。
●フルクラム・レーシング3、ハブのグリスアップ方法
まずは、スプロケットを外します。
次に、フリーハブ側のボルトを逆締めで外します。
続いてシャフトのボルトの両側を、5mmのアーレンキーを使って正締めで緩めます。
ダストカバーを外すと、玉押し用ロックシステムがあります。
ロックシステムはシャフトに正締めしてあるので、緩めて外しましょう。
シャフトカラーも外します。
先の細いドライバーなどを使って、カラーを軸受けするパーツのスリット部分をねじって外します。
カラーを外せば、シャフトが抜けるようになります。
フルクラム・レーシング3、ハブのメンテナンス方法
フルクラム・レーシング3のハブのグリスアップについて続きをご説明していきます。
●シャフトを取ったら掃除をしよう!
シャフトカラーを外したら、次はダストシールを取り外します。
先が広めのT字ドライバーで、軽く持ち上げると外れます。
続いてベアリングを外すと、フリーハブ内部のギザギザが見えます。
このギザギザにラチェットの爪が当たって、音が鳴っているのです。
この部分のグリスが抜けることが、大きなラチェット音の原因です。
経年により、汚れも目立つことでしょう。
外したシャフトやカップ、ベアリングをクリーナーを使って洗浄しましょう。
一緒に、シャフトやベアリングも正常かも、よく確認します。
洗浄したら、いよいよラチェット部分のグリスアップですが、その前に、ラチェット部分を分解して、お掃除しましょう。
まずは、スプリングを楊枝で引っ掛けて外します。
このスプリングには切れ込みが入っているので、そこに楊枝を引っ掛けたら、優しく一周回転させながら外しましょう。
スプリングはとても細いので、無理に回したり強くひねってしまうと、簡単に曲がったり折れたりしてしまうので注意してください。
スプリングを外せたら、ラチェットの爪が外れます。
フリーハブボディ内部やスプリング、爪も汚れているので綺麗に拭き取りましょう。
ここでパーツクリーナーを使って、ボディ内部も綺麗にしたいところですが、フリーハブボディ内部には、シールドベアリングが2個入っているので、これにクリーナーを付着させるのは避けた方が無難です。
布で磨くだけでも、充分綺麗になります。
グリスアップで、フルクラム・レーシング3のラチェット音を調節!
ラチェット部分を綺麗にお掃除したらグリスを塗って、静音化しましょう。
●フルクラム・レーシング3のラチェット部分をグリスアップ
実は、爪の外側に塗るグリスの量で、ラチェット音の大きさが調整可能なのです。
ここで、注意するのは使用するグリスです。
硬過ぎると爪が起きなくなってしまうことがあるので、なるべく柔らかいグリスを使いましょう。
爪が起きないと、自転車は走りません。
どうしても硬いグリスを使う場合は、薄く塗るようにしてください。
ラチェット音を小さくしたいなら、柔らかいグリスを多めに塗って、逆に大きくしたいなら、薄く塗るようにします。
これはお好みでどうぞ。
グリスを塗ったら、ラチェット部分を元通りに組み付けていきます。
グリスで潤っているので、爪も簡単に取り付けられます。
次に、スプリングを付けます。
もしスプリングが曲がっている場合は、新品に交換しましょう。
まずはフリーハブボディにある丸印と、スプリングの切れ込み部分からはめていきます。
ここを正しくはめてから、楊枝を使って溝にはめ込んでいくのですが、外した時と同様に、優しく丁寧に扱いましょう。
溝にぴったりとはまると、爪が起き上がります。
爪の外側にも、忘れずにグリスを塗りましょう。
ハブのメンテナンス完了!ラチェット音に変化は!?
ラチェット部分のグリスアップが完了したら、分解したパーツを組み上げていきます。
●グリスを塗りながら組み上げる
ここでも、各所にグリスを塗って、組み付けましょう。
取り外した時とは、逆の手順で組み付けていきます。
まずは、フリーボディ内部のシールドベアリングに異物や水分が入らないようにグリスを塗って保護します。
ホイールのハブ側のベアリングシールも綺麗に磨いてください。
ボディ内部の爪が当たるギザギザの溝にも、グリスを塗ります。
薄く塗ると、ラチェット音は大きめ、厚めに塗ると静音できます。
お好みでどうぞ。
異物が混入しやすいフリーボディとハブの隙間には、しっかりとグリスを塗りましょう。
シャフトにも薄くグリスを塗ってください。
これでグリスアップは完了です。
フリーボディを回しながら、はめ込みましょう。
この段階で、一度ラチェット音を確認してみるといいですね。
静音化したいならグリスを追加し、逆にもっと大きくしたいならグリスを減らすなど、お好みで調整してください。
フリーハブ側のボルトを締める前に、忘れずにスペーサーを入れてください。
最後にスプロケットを装着したら、組み上げ完了です。
ラチェット音が大きいと言われているフルクラム・レーシング3。
グリスアップ後の音量の変化はというと、それほど劇的に変わるものではないようですが、もちろん違いを感じる方もいらっしゃいます。
また、なによりグリスアップの効果で、ホイールの回転は良くなります。
ラチェット音が大きくなってきたら、グリスアップの時期と考えてみてはいかがでしょうか。
音量調節よりも回転に効果あり
グリスアップをすることで、ホイールは軽くなり回転が良くなります。
ラチェット音の変化については、人それぞれでしょうか。
余程うるさい音がしていた場合は、グリスアップすることで静音化されるかと思います。
ぜひ、効果はご自分の耳で確かめてください。
ラチェット音が心地良いからといって放置しておくのは、おすすめできません。
他の異音に気づきにくくなりますので、ハブのメンテナンスをしましょう。