アンカーの「RS9」は、推進力最大化を至上目標に設計された、フラッグシップオールラウンドロードバイクです。
この「RS9」は、フラッグシップモデルでありながら極端に高価ではないため、ヒルクライムレース用の軽量ロードバイクとして購入を検討している方も多いと思います。
そこで、この記事では「RS9」のヒルクライム性能について分析を行います。
アンカーの「RS9」ってどんなロードバイク?
本題に入る前に、アンカーの「RS9」の概要についてお話しします。
「RS9」は、アンカーのフラッグシップオールラウンドロードバイクです。
そのフレームは、ブリヂストン中央研究所と共同で行われ、アンカー独自の最新解析技術であるプロフォーマットにより得られたデータを用いて設計されました。
それにより、ペダルから入力された力が、最大限に推進力へと変換されます。
コンポーネントは、シマノのトップグレードであるデュラエースの機械式です。
なお、コンポーネントはアップチャージにより電動式へと変更が可能です。
ホイールには、ヒルクライム用ホイールとして人気の高い、フルクラムのレーシングゼロのクリンチャー仕様がアッセンブルされています。
ホイールに付属するタイヤは、ブリヂストンのレーシングタイヤであるエクステンザR1Xです。
これらのパーツ類から、この「RS9」は購入したその日からレースに参戦可能な状態であることがわかります。
価格は、基本の完成車仕様で780,000円、フレームセットで350,000円です。
ヒルクライムで苦しいときほど活きる!アンカーの「RS9」のフレーム!
それでは本題に移り、アンカーの「RS9」のヒルクライム性能を分析します。
最初にフレームについて分析を行います。
ヒルクライムにおいて、重量の軽さは最重要と言っても過言ではありません。
この「RS9」のフレームセットの重量は、490サイズで1350gです。
1350gの重量は、超軽量ロードバイクには一歩及ばないものの、十分に軽量であると言えます。
先の章で述べたように、「RS9」のフレームはアンカー独自の解析技術であるプロフォーマットによって得られたデータによって設計を行っています。
それにより、ペダルから入力された力が最大限に推進力へと変換されます。
では、これはヒルクライムにおいてはどのような意味があるのでしょうか。
ヒルクライム時には苦しくなると、ダンシングをしたりシッティングで上体を揺らしながら走るため、ペダリング効率が落ちます。
しかし、「RS9」フレームはペダルに入力された力は最大限推進力へと変換されるため、ペダリング効率が大きく低下しません。
つまり、ヒルクライムで苦しいときほど、「RS9」のフレームの能力が発揮されると言えます。
ヒルクライムにはやや重い?アンカーの「RS9」のコンポーネント
アンカーの「RS9」のコンポーネントは、シマノのデュラエースです。
このコンポーネントはシマノのトップグレードであるため、絶対的なヒルクライム性能に不満はないでしょう。
しかし、圧倒的な普及率であるため、ヒルクライムレースにおいてはコンポーネントから得られるアドバンテージはほとんどないと考えられます。
また、重量面では、スラムのREDの方がデュラエースよりも軽量です。
そのため、何よりも軽量性を重視するライダーには、やや不満が残るかと思われます。
ギアは、スタンダードな仕様でフロントが52/36T、リアが11-25Tです。
このギアは、ヒルクライムよりもロードレース向けであると言えますが、ある程度脚力のある方であれば、このギア比でヒルクライムも問題なくこなせるでしょう。
しかし、脚力に自信のない方は、ギアの変更をおすすめします。
ギアは、フロントをコンパクトギアに、リアスプロケットを11-28Tか14-28Tへとそれぞれ変更が可能です。
なお、フロントギアの変更は0円ですが、リアスプロケットの変更はスプロケットのグレードがアルテグラへと落ちるため、16,000円割引されます。
アンカーの「RS9」のホイールはヒルクライムにベスト!
アンカーの「RS9」の完成車にアッセンブルされるホイールは、フルクラムのレーシングゼロです。
このホイールは、エントリーグレードのホイールからのステップアップとして、非常に人気の高いホイールです。
ホイールの重量は前後セットで1500g前後と軽量ですが、超軽量ではありません。
しかし、若干重たい分ホイールの剛性が高いため、反応性が高くよく進みます。
また、ハブのべアリングも高性能で、高い巡航性能を誇ります。
ヒルクライムにおいては、このホイールはベストチョイスです。
なぜなら、フルクラムのレーシングゼロは、軽量でありながらも剛性が高いため、超軽量ホイールにありがちなダンシング時のパワーのロスが発生しないからです。
剛性の高さは疲労の原因にもなりますが、ヒルクライムレースなどの短距離の勝負では疲労が発生する前にレースが終わるため、問題にならないでしょう。
ホイールもレーシングゼロから、フルクラムのレーシング3またはシマノのデュラエースC40への変更が可能です。
軽さよりも総合性能を追求したアンカーの「RS9」のタイヤ
アンカーの「RS9」の完成車に付属するタイヤは、ブリヂストンのエクステンザR1Xです。
エクステンザR1Xは、ブリヂストンが展開しているロードバイク向けタイヤであるエクステンザシリーズのトップモデルです。
タイヤの重量は23cで180gと、ロードバイク向けタイヤのなかでもかなり軽量です。
また、エクステンザR1Xは軽量なだけではなく、グリップ力や転がり抵抗の少なさもブリヂストンのラインナップのなかでトップクラスです。
ヒルクライム性能では、重量と転がり抵抗の少なさにおいて、エクステンザシリーズのエクステンザR1Sに一歩及びません。
そのため、決戦用としてここ一番のタイヤを求める場合には、やや不満に思われるかもしれません。
しかし、耐パンク性能においてはエクステンザR1Sを上回るため、パンクのリスクを含め現実的なヒルクライムの性能を考えれば、エクステンザR1Xに分があります。
そして、エクステンザR1Xはタイヤとして重要であるグリップ性能も優れるため、ヒルクライムにつきものであるダウンヒルにおいても安心感があります。
アンカーの「RS9」のヒルクライム性能は?
最後の章では、アンカーの「RS9」のヒルクライム性能を総合的に評価したいと思います。
スタンダードなパーツ構成の「RS9」の重量は、490サイズのペダル込みで7.1kgです。
この7.1kgという重量は、軽量パーツが市場にあふれている昨今においては、ややインパクトに欠けます。
しかし、公認の自転車ロードレースにおいては、自転車の最低重量が6.8kgと定められています。
そのため、必要以上の軽量化を施す代わりに総合的な性能の向上を図ったためこの重量に落ち着いたものと思われます。
つまり、「RS9」はヒルクライム性能において、純粋なクライミング用のロードバイクとはならないと考えられます。
言い換えれば、アップダウンや平地を含めた総合的な走りの結果として、速いロードバイクであると言えます。
実際のコースを例に挙げれば、富士スバルラインやスカイライン、赤城ヒルクライムのコース、東京都の都民の森にいたるまでのヒルクライムなど、比較的緩やかで距離の長いヒルクライムコースにおいて、「RS9」は強さを発揮するでしょう。
総合的に速いロードバイク「RS9」
この記事では、アンカーの「RS9」のヒルクライム性能の分析を行いました。
結論として、「RS9」はヒルクライム限定で考えればクライミングバイクに劣りますが、総合的な走りの結果のタイムでは優れるロードバイクであると言えます。
そのため、ヒルクライムにおいて圧倒的な走りの軽さを求める方よりも、走った結果として速いロードバイクを求めている方に「RS9」をおすすめします。