ピナレロはイタリアのスポーツバイクブランドですが、大方のロードバイクは欧米人の身長や体型に合わせて製造されています。
そのため、世界の中では小柄な部類になる日本人は、サイズで苦労することが結構あります。
特に平均身長が160㎝に満たない日本人女性には、一番小さなサイズですら大きすぎるということも少なくありません。
女性モデルとして販売している車種もありますが、実情はどうなのかをピナレロを参考に確認していきます。
ロードバイクの女性モデルは専用では無い
ロードバイクには女性向けのモデルはありますが、男性向けというのはあまり明確にはされないので、無記載であれば基本的には男女兼用です。
また、あくまで女性「向け」であり、女性「専用」では無いので、サイズさえ合えば男性が乗っても何ら支障はありません。
のちほど、ピナレロの女性向けモデルを詳しくご紹介しますが、女性向けモデルにはいくつかの特徴があります。
まず日本人でも女性は平均身長で男性より10㎝以上低いので、兼用モデルに比べ小さなサイズが用意されています。
また、女性は身長比で脚が長いという特徴がありますので、それに合わせたフレームジオメトリになります。
そして、身体に合わせたパーツが付属されますが、女性は骨盤が横に広いので座面が幅広いサドルや、体格的に手が小さくなりますので、ハンドルやSTIレバーも小ぶりなものになります。
あくまでも平均的な話であり一概には言えませんが、このような要素があれば自分に合ったバイクである可能性が高いということになります。
ロードバイクのサイズの目安はトップチューブ長を参考にする
ロードバイクはサイズごとに適応身長が示されているメーカーがあり、おおまかな目安にはなります。
ところがピナレロは明示されていませんので、他のメーカーのものを参考にしてみます。
日本人のために、体型や柔軟性なども考慮してもの作りを行っている「ブリヂストン・アンカー」を参考にしてみます。
ロードバイクにはジオメトリ表という、フレーム各部分の寸法や角度を記した設計図のようなものがあります。
主要メーカー、ブランドでは、カタログやホームページに必ず記載されています。
そのジオメトリ表の中でも、まず「トップチューブ長」に注目してください。
トップチューブはフレーム上端のハンドルからサドルに伸びるチューブで、ハンドルからサドルの距離を表しています。
ブリジストン・アンカーの女性向けモデル、「RL8W」のトップチューブ長と適応身長は以下の通りです。
「トップチューブ長:適応身長」
490㎜:145㎝~156㎝
505㎜:149㎝~160㎝
520㎜:156㎝~169㎝
この数値を参考にして、次項ではピナレロのバイクに当てはめてみます。
ピナレロの女性向けモデル「EZ-fit」
ピナレロのロードバイクで女性向けは、2019モデルでは「PRINCE(プリンス)」と「RAZHA(ラザ)」に「EZ-fit」というモデルが用意されています。
一番小さなワンサイズのみですが、女性向けのジオメトリが採用されています。
そして、このEZ-fitのトップチューブ長は、プリンスもラザも500㎜になります。
これを前項でお伝えしたアンカーの適応身長に当てはめてみますと、150~160㎝前後になります。
日本人の成人女性の平均身長は約158㎝ですから、あくまでも目安としてですが、EZ-fitは女性向けモデルと言えるサイズであることが分かります。
ただし、アンカーの適応身長を参考にするのであれば、もう少し長めのトップチューブでも適応する可能性があります。
ピナレロはサイズが豊富なので、適応身長を見ますとあと2サイズ上くらいまでは、対応できる可能性もあります。
筆者の知人の女性もそうでしたが、「欧米のブランドはサイズが無いから」と最初から諦めている方もいらっしゃると思います。
しかし、ピナレロはこの様に、EZ-fitもありますし、意識的に小さめなサイズを展開していますので、諦める必要はありません。
ピナレロの女性向けモデルEZ-fitのジオメトリ
ピナレロの「EZ-fit」について前項で触れましたが、女性向けのジオメトリになっています。
先ほど女性は身長比で脚が長いとお伝えしました。
小さなサイズは、ペダルからハンドルまでの距離が近くなりすぎてしまうので、脚が長めの女性は詰まり気味になる傾向にあります。
しかも、脚が詰まってしまう状態ですと、ハンドルを大きく切った際に前輪と靴の先が接触する可能性が高くなります。
下り坂のコーナーなどでもし前輪との接触が原因で転倒でもすれば、大惨事になってもおかしくありません。
それを避けるために、EZ-fitは前輪を支持するフロントフォークの先端を、前方向に50㎜も大きくオフセット(ずらす)させています。
これによって、前輪と靴が接触するのを防げますし、反応もマイルドになるので、非力な女性でもコーナーなどで重心が傾いた際に、ハンドリングがしやすくなります。
この配慮が女性向けとされている意味なので、ピナレロは、やはりしっかりと意識をしてもの作りをしている感じを受けます。
ピナレロでEZ-fitが用意されているモデル
お伝えしていますように、ピナレロの2019モデルで女性向けの「EZ-fit」が用意されているのは、プリンスとラザになりますので、ここでご紹介します。
【PRINCE (シマノ105 EZ 完成車)】
参考価格:¥415,800
プリンスは2019モデルでフルモデルチェンジを果たしました。
ピナレロの最高峰である「DOGMA(ドグマ)F10」の技術を踏襲しながら、一般ユーザー向けに乗り味やハンドリングのやりやすさも加味されています。
EZ-fitは新シマノ・105搭載となり、コンパクトクランクや操作性が上がり、ブレーキが掛けやすくなったSTIレバーなど、女性に嬉しい仕様になっています。
【RAZHA(105 Mix EZ 完成車)】
参考価格:¥262,440
太めで幅広のチューブを使用したエアロ形状が多いピナレロの中では、スタイリッシュなフォルムで人気を博しているモデルです。
加速力があって前にスゥーと伸びていく様な快適さがあるので、長い距離を走るのにも適しています。
ピナレロの購入時には女性店員さんを探す
さて、ここまでピナレロの女性向けロードバイクを確認してきました。
EZ-fitはもちろんですが、小さめのサイズにも適応できそうなものが揃っているので、実際に販売店でそれを確かめたいところです。
ロードバイクは購入したらそれっきりというわけではなく、メンテナンスや消耗品の交換、ちょっとした修理など、お店との付き合いも大切です。
そのため、使い勝手の良い自宅の近くが最優先で、あとはいつでも気軽に立ち寄れる雰囲気なども大切です。
そして、女性には女性にしか分からないこともありますので、できれば女性店員さんがいるショップにしたいところです。
最近は女性店員さんも増えていますし、筆者が知っているあるメーカーの直営店には、女性店長さんもいらっしゃいます。
一つの例を言いますと、店員さんが実際に乗っている(乗ったことがある)機種をおすすめされるとします。
その際に、男性からおすすめされるのと、女性からおすすめされるのでは、同じ体験談でも女性の方が参考になるのは明らかです。
ピナレロは女性への配慮を意識している
今回はピナレロの女性向きモデルを参考に、特徴やサイズ感を確認しました。
大きめのサイズが多いイタリアの中では、EZ-fitを始め、小さめのサイズにも配慮がされており、女性が選びやすいブランドかと思います。
ですから、諦めることなく店舗に出向き、積極的に跨ってみて、試乗もしてみてください。