ピナレロの礎を築いた!2019年プリンスがフルモデルチェンジ

ピナレロの2019年モデルですが、ホームページにも製品が記載されるようになり、その陣容が明らかになりました。

中でも、ピナレロの躍進を長年に渡り支えてきた「PRINCE(プリンス)」のフルモデルチェンジが、大きな反響を呼んでいます。

かつてはフラッグシップモデルでもあったプリンスが、どんな変遷を歩んできたのか、歴史を振り返ると共に、2019年モデルをご紹介します。

ピナレロ「プリンス」の歴史①~初代はアルミの「カーボンバック」

今回はピナレロの近代の歴史を作ってきた1台である「プリンス」が、2019年シーズンにフルモデルチェンジを果たすことに注目します。

そこでまずは、プリンスの歴史を振り返ってみましょう。

プリンスはアルミフレーム全盛時代の1997年に、ピナレロ初(世界初と言われることもある)のシートステイのみカーボンチューブを採用する「カーボンバック」という技術をまとってデビューします。

フルカーボンフレームがまだあり得ないほどの高額だった時代でしたので、一部だけでもカーボンを使用したこのモデルは目新しさもあり、最大納期1年待ちという記録が残っているほど爆発的人気を誇りました。

フルカーボン全盛の今でこそカーボンバックはほぼ見られなくなり、今後追加発表も考えられますが、2018年8月時点おの情報からはピナレロからも姿を消すことになりそうです。

しかし、当時はこの画期的な構造を多くのメーカーがコピーしていたように、レースで勝ち続けるピナレロに追従したいという、風潮が如実に表れていたようです。

ピナレロ「プリンス」の歴史②~初のONDAフォーク搭載モデルへ

2019年にフルモデルチェンジとなる、ピナレロのプリンスの歴史を振り返っています。

カーボンバックの初代に続いたのは、今のピナレロの象徴でもある波打つフロントフォーク「ONDA(オンダ)」を初めて搭載した「プリンスSL」でした。

空力性能と剛性のバランスを取るピナレロ独自のオンダの技術は、異次元のハンドリング性能と衝撃吸収性を持ち、現代まで継承され続けている技術です。

そして、3代目のプリンスは、2008年フルカーボンのフラッグシップモデルとして登場します。

バイシクルマガジン誌の「レースバイクオブザイヤー」を、初登場からいきなり2年連続で獲得するなど、カーボンフレームの開発に出遅れた感のあったピナレロにとって、間違いなく大きな転機となったモデルです。

プリンスに乗り、2009年の「ブエルタ・ア・エスパーニャ」を総合優勝した「アレハンドロ・バルベルデ」の活躍も非常に大きかったと言われています。

ピナレロ「プリンス」の歴史③~冬から春へ

引き続き、ピナレロ・プリンスの歴史を振り返ります。

2009年に世界初の左右非対称ロードバイクとなる「DOGMA(ドグマ) 60.1」が登場して以来、プリンスはレースの世界から退き、数年間ラインナップからも外れます。

しかし、2015年モデルにおいてその名が復活、4代目となったプリンスは、ツール・ド・フランスを連覇した「ドグマ65.1」の金型を使用しながら少し価格を抑えた、セカンドグレードとなります。

また、この年から登場した「ドグマF8」がエアロ形状に特化したので、プリンスがオールラウンダーを引き継ぐ形にもなりました。

その後、ドグマを継承したエアロロード「GAN(ガン)」がセカンドグレードの座に就き、プリンスはサードグレードとなり再び冬の時代を迎えるかと思われていました。

しかし2019年、前年に革新的なモデルチェンジを果たした「ドグマF10」の技術を継承しつつ、ハンドリングのしやすさや、乗り心地も加味したモデルに生まれ変わります。

さらに、エアロロードではドグマF10の反響が大きすぎて、セカンドグレードのガンが縮小傾向になり、変わってプリンスが2019年モデルで機種を増やし、存在感を取り戻したのです。

ピナレロ・プリンス2019年モデルの全体像

それではここから、プリンスの2019年モデルをご紹介します。

前項でも触れましたが、プリンスは2019モデルで機種数が増えます。

基本となる「PRINCE」、ディスクブレーキ搭載の「PRINCE DISK」、上位グレードのカーボンを使用した「PRINCE FX」の3機種となります。

個々についてはのちほど詳しくご紹介しますが、カーボンのグレードが異なり、価格的に見ても、FXが頭一つ、二つ抜け出している存在です。

今回のプリンスのモデルチェンジに当たり、ピナレロが掲げた主なコンセプトは以下の通りです。

★「ドグマF10」からの技術の継承

★空力性能の向上

★ライダーを選ばない、乗り心地とハンドリングを目指す

フラッグシップモデル「ドグマF10」の名を出し、空力性能の向上まで謳い、あくまでもレーシングモデルであることをアピールしているのがピナレロらしさかと思います。

しかし反面、乗り心地とハンドリングに味付けをして、クセの少ないバイクにしようとしていることもうかがえますので、ドグマとの差別化も図っていきたいのでしょう。

ピナレロ・プリンス2019年モデル詳細①~ハイエンドモデル

それでは、ピナレロ・プリンスの2019年モデルを個別にご紹介していきます。

【PRINCE FX】

◎参考価格(税込)

フレームセット:¥491,400

シマノ Dura-Ace Di2 11S 完成車:¥1,047,600

シマノ Ultegra 11S 完成車:¥570,240

軽量かつ剛性が高めのフレームなので、プリンスの中では間違いなく一番レーシーなバイクに仕上がっています。

ハンドリングの安定感からして、ヒルクライムに最適なモデルでもあります。

完成車においては、シマノ・デュラエースもこのモデルのみですし、電動変速もしかりです。

しかも、カーボンリムホイールもこのモデルだけですので、明らかに他のモデルとは一線を画しています。

また、これはシリーズ全体に共通して言えますが、サイズが多いのが嬉しいところです。

小さな44、46サイズは跨りやすさや足つき性を考慮して、トップチューブがスローピングスタイルになります。

また、ミドルレンジは、ほぼ1㎝刻みでサイズが設定されていますので、より自分の体にフィットするものが見つけられるでしょう。

ピナレロ・プリンス2019年モデル詳細②~オールラウンダー

引き続きピナレロ・プリンスの2019年モデルをご紹介します。

【PRINCE】

◎参考価格

フレームセット:¥297,000

カンパニョーロ Potenza 11S 完成車/シマノ Ultegra 11S 完成車:¥469,800

シマノ 105 11S 完成車/シマノ 105 11S EZ(イージーフィット) 完成車:¥415,800

FXとはフレームのグレードが違いますが、剛性の調整をして、扱いやすさも考慮されたフレームになっています。

まだインプレもなく筆者も試乗していませんが、ピナレロはオンダの技術でも分かるように、元々衝撃吸収性には定評がありますので、そこがさらに強化されていれば乗り心地が良いのは十分に想像がつきます。

なお、シマノ・105の完成車のイージーフィットとは、小さめの42.5サイズで、パーツもコンパクトサイズのものが採用されています。

【PRINCE DISK】

◎参考価格

フレームセット:¥318,600

シマノ Ultegra 11S 完成車:¥516,240

プリンスのディスクブレーキ搭載モデルです。

UCIワールドツアーでも2018年のツール・ド・フランス直前に完全解禁となり、今後ますますディスクロードの需要は高まることでしょう。

プリンスの復活!

今回は2019年にフルモデルチェンジとなる、ピナレロのプリンスをご紹介しました。

歴史を作ってきたロードバイクの完全復活とも言えるようなモデルチェンジとなり、存在感も高まることになるでしょう。

ドグマとはまた違った乗り味になりそうなので、ぜひ確かめてみて頂きたいですね。