みなさんは、シクロクロス車(シクロクロスバイク)をご存知でしょうか。
パッと見た印象はロードバイクに近いけれど、太めのタイヤを装着してオフロードのコースで競う「シクロクロスレース」のために作られた自転車です。
今回は、台湾のメジャーメーカー「メリダ」が発売しているシクロクロスバイクをご紹介しつつ、その評判についてチェックします。
メリダの新作シクロクロス「MISSION CX」は前作とどう違う?
メリダは、台湾生まれのスポーツ自転車ブランドとして知られていますが、ヨーロッパを中心にプロ選手への機材提供を積極的に行なっています。
今では、「台湾生まれの欧州育ち」とも言われるほどです。
そんなメリダが、欧米で盛んで日本でも人気が出てきている「シクロクロス」向けの自転車として新たに発表したのが「MISSION CX(ミッション CX)」です。
メリダは、2018年モデルまで、その名もずばり「CYCLO CROSS(シクロクロス)」というシクロクロスバイクを発売していました。
従来のCYCLO CROSSと新しいMISSION CX、どんな違いがあるのでしょうか。
2018年モデルまでのCYCLO CROSSシリーズは、シクロクロスのレースでだけではなく、天候に左右されないディスクブレーキや、安定感がある太めのタイヤを装着できるというメリットがあります。
この特徴を生かし、通勤や通学、ツーリングにも使えるとアピールをしていたため、その実用性の高さが評判でもありました。
一方、新しいMISSION CXは、従来よりももっと、シクロクロスのレースに特化したコンセプトです。
ただ、実用性を捨てているわけではなく、むしろ進化している点もあるので、従来モデルを狙っていた方も安心してください。
なぜコンセプトの変更があったのかは後ほどご紹介するとして、まずはMISSION CXについてお話ししましょう。
「メリダ MISSION CX」の展示会での評判をチェック
メリダの新しいシクロクロスバイク「MISSION CX」が2019年モデルの展示会で販売店向けに発表された際の、ショップスタッフの感想を自転車店のブログなどで拾ってみますと、概ね前評判は良いと言えそうです。
従来モデルのCYCLO CROSSシリーズは、シクロクロスだけにとどまらない万能性、実用性が評判だったわけですが、純粋にシクロクロスレースで使う自転車として考えると「どっちつかず」「中途半端」という印象を持たれるのも事実です。
一方で新しいMISSION CXシリーズは、より前傾が強い乗車姿勢となるようにフレームの設計が改められ、レースを意識しており、より本格的なシクロクロスバイクとして生まれ変わっています。
しかもメリダは、「従来モデルの利点も捨てない」という、欲張りな選択をしました。
レース向けの本格シクロクロスバイクには珍しく、マットガード(泥除け、フェンダー)を取りつけるための台座が備わっているのです。
この台座は、シクロクロスのレースでは不要なので、取り外し可能な点もポイントでしょう。
本気でシクロクロスレースを戦う選手は雨でも練習をしますし、ロードレースの選手でも悪天候時のトレーニング用にシクロクロスバイクを使用することがあります。
選手であっても、雨の日はマットガードが欲しいものでしょう。
メリダは、そのような選手のニーズをしっかり汲んでおり、この点はショップスタッフも高く評価しているようです。
評判の高いCF3カーボンを採用した「MISSION CX 8000-E」
「MISSION CX 8000-E」は、メリダのシクロクロスバイクではフラッグシップとなる、フルカーボンモデルです。
フレームに使われている素材「CF3」は、メリダのバイクでシクロクロスのW杯を戦う選手のバイクにも使用されてきた、評判のカーボンです。
そのCF3カーボンフレームに、シマノの電動コンポーネント・アルテグラDi2を装備、しかも泥詰まりに強くスタイルもかっこいいカーボンディープリムホイールを装備しています。
また、しなることで乗り心地を向上させるカーボンシートポストなども採用しているのです。
近年のシクロクロスバイクは、上位グレードでフロントギアをシングルにすることが多いのですが、MISSION CX 8000-Eはあえてフロントダブルとすることで、幅広いシチュエーションに対応します。
価格は700,000円(税別)、フレームセットでも249,000円(税別)と安くはありませんが、買って即レースに出ることができるスペックで、必要としている方にとってはお買い得でしょう。
「MISSION CX 5000」は高コスパのシクロクロスバイク
「MISSION CX 5000」は、メリダのシクロクロスバイクの中でセカンドグレードとなるカーボンバイクです。
フレームのカーボンは、MISSION CX 8000-Eと同じ「CF3」が採用されています。
メインコンポーネントは、シクロクロス選手には評判のSRAM APEX 1というもので、フロントシングル仕様となっているのが特徴です。
フロントシングルは、変速トラブルが起きにくいというメリットがあります。
フラッグシップのMISSION CX 8000-Eはフロントダブル仕様ですが、近年のシクロクロスレースではフロントシングルを好む選手も多いので、予算に余裕があってもあえてMISSION CX 5000を選ぶというケースもあるでしょう。
MISSION CX 5000の価格は349,000円(税別)で、内容を考えれば高コスパで魅力的な選択肢です。
「メリダ MISSION CX 400」は乗りやすさが評判のアルミモデル
「MISSION CX 400」は、メリダのシクロクロスバイクの中でもっとも安価なモデルであり、MISSION CXシリーズの中では万能性もあります。
メリダのアルミフレームは、軽量で走りが良いことでは評判ですので、このMISSION CX 400も走りの面では期待できるでしょう。
メインコンポーネントはシマノ・105で、ブレーキは機械式ディスクのテクトロ・スパイアを採用しています。
また、テクトロ・スパイアは機械式ディスクブレーキの中では性能が良いと評判です。
一般的な機械式ディスクブレーキは、片方のパッドをディスクローターに押しつけ、押されたディスクローターがもう片方のパッドに当たることでブレーキを効かせています。
そこをスパイアは、両側のパッドが動いてディスクローターを平行に押さえつけることで、制動力やコントロール性を高めています。
この性能が良い評判に繋がっています。
MISSION CX 400の価格は、179,900円(税別)となっています。
シクロクロスの「MISSION CX」と「SILEX」を比較する
メリダには「MISSION CX」以外にも、ドロップハンドルと太めのタイヤを装着した自転車があります。
それが、2018年モデルから登場した「SILEX(サイレックス)」です。
MISSION CXとSILEX、見た目は似ています。
スポーツ自転車に詳しくない方が見たら、何が違うのかわからないくらいです。
両者の違いを簡単にご説明すると、MISSION CXは「レースのためのシクロクロス車」、そしてSILEXは「ダート走行もできるマルチな自転車」です。
SILEXは、MISSION CXよりもずっと上体が起きた姿勢で乗ることができ、走行安定性も高められています。
SILEXは誰にでも扱いやすく、レースではなく趣味のサイクリングを楽しむのにぴったりな「グラベルロードバイク」として評判なのです。
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、万能で扱いやすいSILEXが登場したからこそ、MISSION CXはよりシクロクロスに特化することができました。
この点を理解すれば、MISSION CXとSILEXとで迷うことはないでしょう。
「メリダ MISSION CX」は前評判が高いシクロクロスレーサー
メリダのシクロクロスバイク「MISSION CX」は、2019年モデルとして発表され、すでに高い前評判を得ていることがおわかりいただけたかと思います。
シクロクロスのレースに出ている方はもちろん、ロードレース選手の雨天用トレーニングバイクとしても、検討すべき価値があります。
また、ツーリングや通勤・通学目的の方は、SILEXを検討してみてはいかがでしょう。
用途に応じて、最適な1台を見極めたいですね。