ロードバイクを選ぶ際にまず気になるのは、価格ではないでしょうか?
100円、200円の買い物であれば悩むこともないでしょうが、高額なロードバイクはそうはいきません。
今回の主役であるメリダのスクルトゥーラ700は、アルミフレームモデルの中では「ハイエンドモデル」になります。
そうなると、それだけの価値があるかどうかは大いに気になるところですので、ライバルなどとも比較しながら考えていきます。
メリダ・スクルトゥーラ700はアルミのハイエンドモデル
現在、ロードバイクのフレーム素材はカーボンが主流となっています。
これは、プロのレースで使う車体のほとんどがカーボンフレームだからであり、ロードレースの機材として開発されるロードバイクは何よりもレース主導です。
しかし、近年はロードバイクが一つのブームになっていることもあり、フィットネスや通勤など、レース志向の薄い用途でも活用されることが多くなっています。
ロードバイクには「軽さは正義」などという言葉があり、重量を異常とも思えるくらい重視する傾向があります。
自転車が前に進むのを妨げる最大の要因は「空気抵抗」であり、重量を軽くすればそれだけ受ける抵抗は減ります。
そうなれば、金属であるアルミよりも明らかに軽量であるカーボンが、プロのロードレースで主流になるのは当然です。
しかし、レース志向の薄い人であればスピードより重視したいこともありますし、何より価格が段違いに安いアルミフレームやクロモリを選択する方がむしろ自然かもしれません。
ただし、今回の主役であるメリダのスクルトゥーラ700のような、アルミでもハイエンドモデルになると、カーボンフレーム車と価格が近づいてきますので、考えどころになってきます。
メリダ・スクルトゥーラ700はシリーズでどの価格帯に属するか?
メリダのスクルトゥーラシリーズは、2018年モデルでカーボンフレーム8機種、アルミ6機種の計14機種がラインナップされています。
アルミのハイエンドモデルが今回の主役である「スクルトゥーラ700」で、価格は183,492円になります。
一方、カーボンフレームのハイエンドは、2018年のツール・ド・フランスで大躍進を遂げた「バーレーン・メリダ」チームが使用した「TEAM-E」で、価格は約120万円ですから、今回のお話では次元が違い過ぎます。
それでも、カーボンで最も価格の安い「4000」でさえ214,920円となっており、アルミのハイエンドモデルよりも高価です。
完成車なのでフレームの素材だけではなく、価格の差は組み合わされているパーツの関係もありますが、むしろ700の方がパーツのグレードは若干ですが上回っています。
それでいてなおカーボン車の方が3万円ほど高価なわけですから、アルミとカーボンの価格差は歴然ということです。
しかし、この両者はロードバイクにおいては、20万円前後という同じ価格帯で見られますから、直接のライバル関係と見てよいでしょう。
そのため、最初からカーボンが欲しいのか、アルミが欲しいのかを決めておかないと大いに迷ってしまうことになるでしょう。
メリダ・スクルトゥーラ700と4000!価格以外の選択の決め手は?
前項でお話ししたメリダ・スクルトゥーラ700と4000は、安価であることがメリットの一つであるアルミフレームと、高価であるカーボン車が、極めて近い価格帯に存在していることの難しさを表しています。
そのため、もうそこは個人の問題としか言いようがなく、今の用途や描く将来像でどちらが適しているのかを考えることになります。
ちなみに両者の重量は700が8.5㎏、4000が8.1㎏、その差は400gです。
レースであれば大きい差ではありますが、それ以外の用途ではこの差を感じられる方は少ないのではないかと思います。
とは言え、大差がないことを強調ばかりしていても迷いを深めるばかりですので、ここでは筆者が考える両者の適性を記しておきます。
まずカーボンの4000は、レース仕様のフレームよりも剛性が抑え気味なので、乗り心地のよさが加味されています。
元々カーボンはアルミよりも衝撃吸収性に長けていますので、乗り心地では差があります。
そのため、ツーリングなどで長距離を乗るのが中心であれば、疲労が蓄積しにくい4000をおすすめします。
一方、アルミは金属なので剛性が高く、シャキッとした反応のよさが持ち味です。
そのため、加速力では上回りますし、この重量差であれば巡航速度もむしろアルミの方がキープしやすいくらいなので、とにかく速く走りたいという方は700がおすすめです。
スクルトゥーラ700の同価格帯のライバルたち
前項までは、スクルトゥーラ700に対し、同じメリダの中でのライバルとしてカーボンフレーム「4000」との比較をしました。
ここからは、同じアルミフレームでの比較とし、他メーカーのライバルをご紹介していきます。
条件としては、価格帯と組み合わされているパーツが同レベル程度のものとします。
【GIANT(ジャイアント):CONTEND SL1】
参考価格:¥162,000(税込)
メリダと同じ台湾を本拠とする世界最大の自転車メーカーで、両者は何かと比較されることが多く、正にライバル関係です。
アルミロード「CONTEND」のハイエンドモデルであり、メインコンポやホイールがほぼスクルトゥーラ700と同じレベルと推測します。
ジオメトリを見る限り形状も非常に似通っており、ライバルと呼ぶにふさわしいでしょう。
少しだけ価格で安いですが、こちらの方がクランクやブレーキのグレードを下げている差だと思われます。
【TREK(トレック):Émonda ALR 5】
参考価格:¥185,760
世界のロードバイク市場で台湾勢と並ぶ勢力のアメリカ勢ですが、そのトップがトレックです。
こちらもジオメトリ、パーツスペックがそっくりで、その差はデザインの違いだけというところです。
スクルトゥーラ700の同価格帯のライバルたち~続き
前項に引き続き、メリダ・スクルトゥーラ700のライバルとなる他メーカーのバイクをご紹介します。
【cannondale(キャノンデール):CAAD12 105】
参考価格:¥205,200
「アルミのキャノンデール」と言われるほど、昔からアルミへのこだわりを強くもつアメリカのブランドです。
特にこの「CAAD」は「カーボンキラー」という異名がある軽量フレームで、世界一と評価する声も多いです。
CAAD12は昔ながらのホリゾンタルスタイルの上に、攻めのジオメトリなので、スクルトゥーラ700と比べると少しレース志向が強いモデルです。
【FELT(フェルト):F75】
参考価格:¥159,840
「フレームの魔術師」と言われる、創業者ジム・フェルトが最初に設計したのが「F」シリーズです。
価格が安いのはパーツのところどころにコストカットが見られるためですが、このモデルの真骨頂はフレームなのでそこは目をつぶってもよいでしょう。
少し硬めのアルミ素材を使用しているので、剛性が高く少しレーシーです。
また、耐久性に不安のある素材なのでチューブを厚くする必要があり、その分重量も嵩んでしまうはずです。
しかし、実際にチューブは太く、見た目にもボテッとしたシルエットですが、それでも8㎏台をキープしているのがさすがフレームの魔術師といったところです。
メリダ・スクルトゥーラ700がライバルに勝るポイント
前項までメリダ・スクルトゥーラ700のライバルを見てきましたが、いずれもアルミフレームを代表する機種だけあり、強敵揃いですね。
ただし、スクルトゥーラ700には他にはない強みがあります。
それはプロが使用しているのと同じ形状の機体ということであり、素材やパーツは天と地の差がありますが、コンセプトは同じなのです。
前項までにご紹介したライバルは、トレックのエモンダを除くと、コンセプトを引き継いでいるものもありますが、基本的にはアルミ専用のモデルです。
これは、筆者がスクルトゥーラ700を際立たせるために意図的に選んだのではなく、現役のレース仕様と同じモデルのアルミ車は少ないということなんです。
そして、スクルトゥーラ700には、「バーレーン・メリダ」がワールドツアーを走っている機体と同じカラーリングのレプリカモデルもあります。
すなわち、ツール・ド・フランスを走った機体とパッと見ではほぼ同じ物が、1/5以下の価格で手に入るという付加価値もスクルトゥーラ700の大きなメリットなのです。
スクルトゥーラ700はカーボン車やライバルに負けない部分を多く持っている
今回はメリダのスクルトゥーラ700について、カーボン車や他メーカーのライバルとの比較をしてその価値を考えてみました。
カーボンとの比較では、用途によっては優位に立てる部分もあります。
また、他メーカーのライバルたちはかなり強敵揃いですが、レース仕様と同じ形状であるという付加価値を考えればまったく引けはとりません。