メリダは世界最高峰のワールドチームに機材を提供していますが、2018年シーズンにおいて「ライド」は提供されていません。
これは少し問題ですが、ライドはレースとは別の道もあるモデルです。
しかも、「ライド400」などのアルミフレーム車は、「初めからレースを想定されていないのでは?」と思う部分もあります。
そこで今回は、そんなライド400をインプレなどから探っていきます。
メリダのロードバイクをインプレを参考にご紹介
まずは、メリダのロードバイクを種類別にご紹介します。
メリダは冒頭でお伝えしたように、世界最高峰のチームにロードバイクを提供するメーカーですので、ラインナップもレースモデルが多くなります。
中心的存在はオールラウンドモデルの「スクルトゥーラ」で、2018年のツール・ド・フランスで大躍進を遂げた「バーレーン・メリダ」のメインバイクでもあります。
手が届きやすい価格のモデルもありますが、本格的なレースバイクというインプレ評価が多く、メリダの強いこだわりが表現されているバイクです。
続いては、今やどのメーカーでもラインナップに欠かせない存在のエアロロードで、メリダでは「リアクト」がそれに当たります。
これもバーレーン・メリダに提供されている機体であり、タイムトライアルや平坦のスプリントステージで活躍をしています。
硬さが目立ってしまうエアロロードですが、リアクトは扱いやすさや乗り心地もインプレからは高評価を受けています。
そして「ライド」ですが、「エンデュランスモデル」というカテゴリーとなり、これも根本的にはレースモデルです。
しかし、実戦への投入がなくなってしまった影響から、2018年は今回の主役である「ライド400」も含めてわずか4機種のみと縮小傾向にあります。
メリダ・ライド400はエンデュランスモデル
前項の最後にエンデュランスモデルについて簡単に触れましたが、ここでは詳しく確認していきます。
ヨーロッパの伝統的なレースに、石畳が敷き詰められた場所や不整地をメインコースとするものがあります。
「パリ~ルーベ」や「ロンド・ファン・フラーンデレン」などが有名で、クラシックレースとも呼ばれ、ツール・ド・フランスなどと並ぶ非常に人気の高いレースです。
このレースに使用されるのがエンデュランスモデルであり、不整地でも力強く走るための安定感や、石畳からの突き上げを吸収したり、いなしたりすることが重視されます。
また、非常に過酷なレースのため、視野を広く持たないと危険ですので、車体に安定感を出すことにも共通しますが、乗車姿勢は上体が起き気味のアップライドになります。
こういった要素は身体に負担が少ないこともあり、インプレでは長い距離を走るツーリングや、路面状況に左右されないという点で、通勤などにも使用している方が多いことが分かります。
そして、車体に安定感があって扱いやすいことから、初心者向けとされる傾向もあります。
そのため、メリダのライド400もそうですが、価格が抑えめになるアルミフレーム車も多くなります。
メリダ・ライドシリーズのラインナップ
メリダは2017年から機材を提供するチームが現在のバーレーン・メリダに変わりましたが、ライドシリーズはチームが変わってから実戦に投入されなくなりました。
その関係もあってか、ピークであった2016年モデルは、スクルトゥーラやリアクトをも上回る11機種の展開でしたが、グラベルロードの要素もあった機種が、「サイレックス」という新シリーズに組み込まれたこともあり、2018年には一気に4機種まで減少してしまいました。
ざっとご紹介しますと、カーボンフレームは「ライド3000」の1機種となりました。
レーシングモデルにも使用されている「CF2」というカーボンフレームが採用されており、フレームのレベルは高いです。
メインコンポはリア10速の「シマノ・ティアグラ」、ホイールはイタリアの超有名メーカー「フルクラム」製、価格は約22万円になります。
インプレでも扱いやすさや乗り心地のよさが強調されており、筆者も試乗しましたがレースモデルとは違う安定感を感じました。
次にアルミフレームですが、「ライド400」、「410(400の小サイズモデル)」、「80」の3種類となります。
400に関しては次項以降で詳しくお話するとして、80はメリダの中で最も価格の安いロードバイクで、税込では唯一10万円を切ります。
インプレで評価の高いライド400の衝撃吸収性
それではここから、メリダのライド400についてお話ししていきます。
フレームはメリダの上位モデルに採用される、「6066」系の弾力に優れたアルミ素材を使用しています。
1本のチューブ内に3か所厚みの違う部分を設ける「トリプルバテッド」の技術を用い、軽量化を図ると同時に、剛性を適度に抑えて硬すぎないフレームにしています。
また、シートステイをトップチューブと繋げず下がり気味の位置に付けることで、後ろの三角形を小さくしてペダルを漕いだ力をダイレクトに伝えるようにしています。
これはエンデュランスモデルとしては逆行に近いことであり、通常後ろの面積が小さくなると衝撃を吸収する範囲が狭くなりますので、身体に地面からの突き上げが伝わりやすくなります。
しかし、メリダはシートステイを薄く偏平形にすることでしなりを持たせ、車軸に向かうにつれて曲げ加工を施しているので、突き上げをいなしながら、上手く吸収もしています。
アルミフレームは振動の伝導率が高いので、エンデュランスモデルでも衝撃吸収性に問題があるものもありますが、実際に乗った方のインプレに不満の声がほぼないのが、メリダの技術の高さを物語っています。
ライド400の試乗インプレ
筆者の知人にメリダライド400のユーザーがいるため、何度か乗らせてもらったことがあります。
そのインプレですが、エンデュランスモデルにしては、よく進むバイクという印象を持ちました。
もちろん、スピード重視のレースモデルである、スクルトゥーラやリアクトに比べれば、マイルドな感じですが、割としっかりと漕いだ分だけ期待に応えてくれる感じはあります。
衝撃吸収性に関しては、「優等生」という言葉が当てはまるかと思います。
「衝撃をいなす→いなしきれない振動を吸収する→車体をばたつかせず落ち着かせる」という3ステップを淡々とこなしている印象です。
ライド400にはトレックの「Iso Speed」やビアンキの「カウンターヴェイル」のような、特殊な衝撃吸収の技術は投入されていません。
ですから、「まるでじゅうたんの上を走っている」や「氷の上を滑っている」など、感動的なインプレにはなりません。
しかし、できることを黙々とこなす、渋い職人のような仕事ぶりで、申し分のない快適さを提供してくれます。
また、ハンドル周りの剛性が高く、大口径のベアリングがフロントフォークをしっかり受け止めているので、とてもハンドリングがしやすく、車体に安定感があります。
ライド400で注意したいことをインプレから学ぶ
筆者はメリダのライド400に、前項で記したように何回か乗りましたが、癖がなく扱いやすい、それでいてレーシーなスピード感や軽快さも加味されている、面白い味付けのバイクだと思いました。
思ったよりも進みがよいと言いましたが、これはスピードの維持が出来ているということなので、本領である衝撃吸収性も合わせ、長い距離を走れるバイクであることは間違いありません。
これは多くのインプレでも取り上げられていますが、ブレーキだけは交換した方がよいレベルかもしれません。
筆者が借りた知人は購入からわずか3か月程度で制動力に不安を感じて、ブレーキを交換していました。
特に坂の下りなどは制動距離が長く、カーブを切ったところで、前から来た歩行者に激突しそうになったのが交換の決め手と言っていました。
あとは、タイヤをもう少しエアボリュームの大きいものに交換すると、さらにクッション性が増して乗り心地がよくなります。
標準装備は25c(25㎜)ですが、28cまでの太さが装着可能なことをインプレで確認しましたので、太さを変える手もあります。
メリダ・ライドシリーズは残すべきモデル
今回は、メリダのライド400についてお話ししました。
ライドシリーズはラインナップが減っていますが、レースモデルが多いメリダの中にあっては少しマイルドな味付けで、乗りやすく快適で、残すべき貴重なモデルです。
ライド400はアルミフレームらしい反応のよさやスピード感があり、本来のエンデュランスモデルの持つ安定感や衝撃吸収性も加味して、非常に面白い仕上がりになっているのでおすすめです。