メリダは自転車大国と言われる台湾で、2番目の出荷台数を誇るマンモスメーカーです。
MTBでは早くから世界のビッグレースで実績を積み重ね、メーカーの看板として高い評価を受けてきました。
一方ロードバイクではそこまでの評価されていませんでしたが、デザイン性を認められ、レースでの実績も積み重ねてきましたので、今が旬と言えるところです。
今回はそんなメリダの歴史を振り返りながら、今乗りたいモデルなどもご紹介します。
メリダが世界的な評価をされたきっかけはMTB
メリダは1972年に台湾で創業しており、キャリア面では中堅といったところです。
台湾や中国のメーカーは、欧米のメーカーからのOEM生産で技術を磨き、自社ブランドの成長につなげてきたという経緯があります。
OEMは日本語では「相手先(委託者)ブランド名製造」などと訳され、他社の製品を自社の名前を出すことなく生産するということです。
メリダも「キャノンデール」や「シュウイン」といった、アメリカメーカーを中心に多くのOEM生産を手掛けてきました。
その経緯もあり、メリダが世界的に高い評価を受けたのは、アメリカが発祥であるMTBでした。
往年の自転車ファンの方は、今でもメリダと聞くと「MTBのメーカーね!」と思われる方も多いかと思います。
2007年にはMTBの世界選手権を制した選手にバイクを提供していた記録が残っていますし、オリンピックの金メダル、世界選手権5勝など、「MTB界の女帝」とも言われる「ガン・リタ・ダール」もメリダのMTBに乗る選手の一人です。
MTBではこのように華々しい活躍を見せていましたが、ロードバイクは日陰の存在とでも言いますか、正直それほど目立つ存在ではありませんでした。
メリダのロードバイクに不足していたものとは?
前項では、メリダの歴史はMTBと共にあったというニュアンスのお話でしたが、これはスポーツバイク界における知名度や認知度が、レースの成績に左右されるということを表しています。
クロスバイクなどは別ですが、スポーツバイクはレースの機材として開発されるもので、それを元に素材やパーツを工夫して市場に流すという図式があります。
しかも、レースを走ったものと同じものが手に入る可能性があるのも、自転車ならではの特権です。
F1などのフォーミュラーカーは公道を走れませんが、ロードバイクはどんなにレーシーにセッティングしても公道を走ることをとがめられることはありません。
話がそれましたが、レース機材としての根っこがある以上レースで結果を出さないことには評価されにくいのがロードバイクの世界です。
しかも、そのレースは何でも構わないというわけではなく、「ツール・ド・フランス」や「パリ~ルーベ」など、自転車競技を知らない人でも一度は聞いたことがあるような、伝統も格式も高いビッグレースになります。
メリダのロードバイクにはそこが不足しており、MTBに後れを取る印象を植えつけてしまった大きな要因の一つでした。
メリダのロードバイクはデザインの改善と共に評価を上げてきた
ロードバイクの評価はプロレースの結果に左右されると言いましたが、もう一つ大きいのはデザイン性=見た目です。
レーサーにとっては商売道具のロードバイクも、一般ユーザーにとっては嗜好品、趣味の乗り物です。
それだけに、まずは注目を集める必要があるわけですから、見た目は非常に大切です。
そして、メリダはそこでもロードバイクで後手を踏んでおり、デザインへの厳しい評価が相次ぎ、全体の評価が上がらない時期も長かったと言います。
しかし、メリダのロードバイクにも大きな転機が訪れます。
1998年にドイツの「センチュリオン」というメーカ―と提携したことをきっかけに(2000年にメリダ傘下となる)、設計部門をドイツに移すことになります。
そのセンチュリオンから影響を受けたメリダのロードバイクは、そこからデザインの評価を巻き返していきます。
残念ながら具体的な資料が残っていませんが、当時を知る方は方針転換が行われたことがはっきり分かるデザインの変化だったと言っていました。
MTBはもちろん、多くのOEM生産で培った技術は確かなものがありましたので、苦手分野であったデザインにメスが入ったことにより、評価が上がり始めます。
メリダは「ワールドチーム」にロードバイクを提供して評価を上げる!
創業して約30年にしてようやく自社ブランドのロードバイクの評価が上がり始めたメリダですが、プロロードレースへの本格参戦はもっとずっと後のことになります。
先ほど少し触れましたが、ツール・ド・フランスやパリ~ルーベは「UCIワールドツアー」という年間シリーズ戦の中のレースです。
そして、このツアーに優先的に参戦するのが、「ワールドチーム」と呼ばれる世界最高峰のチームです。
いわゆる、このワールドチームに機材を提供しているメーカーこそが、世界のロードバイク市場で最も高い評価を受けるわけです。
メリダのワールドツアー初参戦は2013年、「ランプレ」チームのスポンサーとなり「ランプレ・メリダ」チームにロードバイクを提供します。
今も主力バイクとしてラインナップの中核を担う「スクルトゥーラ」や「ライド」を中心に成績を上げ、それに伴い市場での評価もじわじわと上昇していきます。
そして、2017年スポンサーを務めるチームが「バーレーン・メリダ」に変わり、ここに数少ない日本人のワールドツアーレーサーである「新城幸也」選手が移籍してきたことで、日本での知名度が一気に上がりました。
さらには、2018年のツール・ド・フランスにおいて、メリダのワールドツアーの歴史の中で最も輝く成績を残しました。
チーム総合2位、しかもステージ優勝なし、個人総合でベスト10に入った選手もいない中、正にチームの総合力でなし得た結果です。
そこにメリダの技術力が大きな貢献を果たしたのは言うまでもなく、これからロードバイクの評価が上がってくるのは必至でしょう。
評価の高いメリダのロードバイク~カーボンフレーム編
それではここから、メリダのロードバイクについて評価の高い機種をご紹介します。
【REACTO(リアクト)6000】
参考価格:¥484,920(税込)
プロ仕様と同じ「CF4」フレームに、シマノ・アルテグラとフルクラムのホイールを組み合わせたモデルです。
ミドルグレードのエアロロードとしてはかなりの軽量で、組み合わされているパーツにも妥協が無いので、50万円前後の予算を考えている方にはかなりのおすすめモデルです。
【SCULTURA(スクルトゥーラ) DISC 4000】
参考価格:¥258,120
オールラウンダー「スクルトゥーラ」のディスクブレーキモデルです。
天候や路面状況に左右されない安定した制動力は、ロードバイクの用途を広げるのに大きく貢献してくれます。
また、油圧式は軽いタッチでもしっかりと効きますので、長時間の走行で握力が厳しい状況でも苦も無くブレーキを掛けることができます。
チーム仕様のコンセプトを受け継いでいる「CF2」フレームにディスクブレーキでこの価格は、文句なくコスパの高い一台です。
評価の高いメリダのロードバイク~アルミフレーム編
前項に続きここでは、アルミフレームで評価の高いロードバイクをご紹介します。
【SCULTURA 700】
参考価格:¥183,492
スクルトゥーラのアルミフレームでは、ハイエンドモデルになります。
メリダのアルミ成形技術を結集させた、剛性と重量のバランス、そしてカーボンフレーム並みの美しい表面を持つレベルの高いフレームです。
しかも、コンポが他メーカーが混じらず、グレードもダウンさせていない、シマノ・105のフルセットになりますので、コスパが非常に高いモデルです。
【REACTO 400】
参考価格:¥172,692
他のメーカーでは見ることが少なくなった、アルミフレームのエアロロードです。
重量が嵩みがちなところを「トリプルバテッド」という技術で、チューブ内に厚みの変化を持たせ、重くなりすぎない配慮がされています。
また、カーボンフレームと同じ端をカットした断面を持つ形状のチューブが成形できるので、アルミでも空力性能に長けたフレームが製造可能になっています。
ホイールなどをカスタムすれば、レースにも参戦できるレベルです。
メリダはさらに上のステージに駆け上がる!
今回はメリダのロードバイクの歴史を振り返りながら、どんな評価を受け、今どんな評価を受けているのかを確認してきました。
2018年のツール・ド・フランスの結果が出た、正に今が旬とも言えるメーカ―であり、ここから評価が上がっていくのは必至です。
既に販売台数では結果が出ていますが、ここからさらにもう一つ上のステージで戦っていくメリダに期待したいですね。