メリダのロードバイクは2016年モデルを境に変貌しつつある!

メリダは世界最高峰の「UCIワールドツアー」を戦うチームに機材を提供するサプライヤーであり、ワールドチーム「バーレーン・メリダ」のスポンサーでもあります。

2017年に前チームから現在のチームに契約が変わりましたので、それ以降ロードバイクのラインナップも一変しました。

そこで今回は、分岐点となった2016年モデルとその後のラインナップを比較して、変化を検証してみます。

メリダのロードバイクは成長期に入っている!

冒頭でお話ししたUCIワールドツアーを戦う「ワールドチーム」は、世界に18チームしかありません。

スペシャライズドのように複数のチームにバイクを提供しているメーカーもありますので、限られたメーカーしか世界最高峰で戦う事を許されていません。

メリダがその舞台に初めて立ったのは2013年、「ランプレ・メリダ」のスポンサーとなり「スクルトゥーラ」を提供したのが始まりです。

MTBでは既に世界のトップ選手が使用していたので、その世界では知らぬものなしのメーカーでしたが、ロードバイクは後発の域を出ませんでした。

2016年までスポンサーを務めたランプレ・メリダでは、お世辞にもかんばしい成績とは言えず、評価を覆すまでには至りませんでした。

しかし、2017年にスポンサー契約をした「バーレーン・メリダ」で、ついに花が開きます。

2018年のツール・ド・フランスにおいてチーム2位に食い込む大躍進、しかもステージ優勝なし、個人総合ベスト10選手もゼロという中で、これは正にチームの総合力でなしえた成績です。

もちろんメリダのロードバイクの貢献度が大きいのは言うまでもなく、これから評価が上がるのは必至の状況です。

チームに採用されるロードバイクが主流になる!

メリダのようにレースに参戦しているメーカーは、基本的にはチームのオーダーによってロードバイクが開発されます。

そのため、市場に出るモデルもチームオーダーを反映しているといえます。

メリダのロードバイクは、オールラウンドのレースモデル「スクルトゥーラ」、エアロロードの「リアクト」、そしてエンデュランスモデルの「ライド」、この3本柱がメインとなります。

この内、2018年シーズンに「バーレーン・メリダ」に提供されているのは、スクルトゥーラとリアクトになります。

ライドは2018年はおろか、チームが変わった2017年から採用が見送られていますので、バーレーン・メリダの移行にそぐわないということでしょうか?

理由はどうあれチームオーダーから外れたライドは、2016年まではロードバイクの中で最もラインナップの多い主力モデルでしたが、今では消滅の危機すらささやかれる存在になってしまいました。

メリダのロードバイク2016モデル~「ライド」編

それではここで、メリダのロードバイクが、どのように変遷してきたのかを確認しましょう。

ランプレ・メリダのスポンサー最終年の、2016年モデルから確認します。

前項でお話しした3本柱のみのラインナップで、3モデルともにチームモデルが存在します。

最も多くラインナップされているのはエンデュランスモデルのライド、カーボンフレーム5機種、アルミフレーム6機種の計11機種の展開でした。

次いでスクルトゥーラがカーボン5、アルミ3の8機種、リアクトがカーボン4、アルミ1の計5機種の展開でした。

この中でやはり注目なのはライドで、メリダの戦略が分かるようなラインナップでした。

ハイエンドモデルはチーム仕様の「TEAM-E」で、この年のメリダの最高級カーボンフレーム「CF5」に、シマノ・デュラエースの電動変速Di2、市場価格約17万円のホイールを組み合わせ、価格は約111万円です。

ハイエンドモデルに相応しいスペックで、プロ仕様を思わせるのに十分なものです。

ただ、ここらがライドの2016年モデルの面白いところであり、セカンドグレードがいきなり30万円を切り、ミドルグレード帯がぼっこり抜け落ちている印象です。

これは推測ですが、チーム仕様は一種の広告塔なので、ツールやパリ~ルーベなどを走って目を引かせ、安価なものを多くして、一般ユーザーに広く門戸を開いたのだと思います。

さらに、レース仕様車を持つモデルで、カーボンよりアルミフレームのほうが種類が多いというのはかなり違和感がありますので、余計にそういった戦略なのかと思わせます。

メリダのロードバイク2016モデル~「スクルトゥーラ」編

メリダのロードバイクの変遷を確認していますが、2016年モデルには前項でお話ししたライドのラインナップと共に、スクルトゥーラにもチームオーダーがあったようです。

通常であれば、チームに提供されるモデルが「フラッグシップモデル」であり、グレードも価格も一番上になります。

しかし、2016年のスクルトゥーラはチーム仕様の上に、もう一つ「9000」という品番がありました。

前項でもお伝えした最高級のカーボン「CF5」を使用し、この時点では世界最軽量級の5.8㎏(47サイズ)というバイクに仕上げました。

しかし、これがランプレ・メリダには採用されませんでした。

UCIワールドツアーには重量制限があり、機体が6.8㎏を下回ってはいけないという規定があります。

したがって、1㎏も下回るスクルトゥーラ9000は、レースでは乗り手や機体に余計な重量を背負わせる必要があるので、悪影響が懸念されたと言われています。

また、あまりにも軽量過ぎて、プロの脚力に耐えうる剛性が不足していたという説もあります。

いずれにしても、チームが採用したのは、現行モデル(2018年)の最高級グレード「CF4」フレームでした。

この不思議なラインナップは2017年まで続き、2018年上位モデルがCF4フレームに統一され、ようやく幕を閉じました。

メリダのロードバイク2017モデル~迷走からの脱却

前項までメリダの2016年モデルのロードバイクを確認してきましたが、エンデュランスモデル「ライド」への集中や、スクルトゥーラの上位モデルの2極化など、迷走の時期であったのかもしれません。

さて、その翌年の2017年ですが、先述通りこの年はワールドツアーのチームが変わった年です。

大きな変化はチーム仕様車がスクルトゥーラだけとなり、リアクトとライドは採用を見送られました。

バーレーン・メリダの初年度ですが、チーム側が「CF5」フレームを使ったモデルを見送ったいうのが、当時のインプレでの意見だったと記憶しています。

また、2017年よりスクルトゥーラにディスクブレーキモデルが加わりました。

ワールドツアーではディスクブレーキ搭載車が2015年に試験的な解禁となり、2017年の本格使用を目指していました。

しかし、2016年のシーズン当初に一人の選手が大けがを負い、それがローターの責任とされたことで凍結されました。

その後、ローターの外側から鋭利な部分を除くという条件で2017年に再解禁されたことを受けて、メリダにもディスクブレーキモデルが加わりました。

そして、この年は迷走からの軌道修正を図っていた年と考えられます。

最高級フレーム「CF5」はチームから採用を見送られ、ここで見切りを付ける判断を下したのでしょう。

翌年の2018年、上位モデルはスクルトゥーラ以外も「CF4」に統一されました。

また、ライドはレースモデルがなくなったこともあり、価格の幅が均一化されました。

そして、ディスクブレーキモデルを、グラベルロードの要素も取りこんだ「RIDE DISC ADVENTURE」として別シリーズ化したことで、ラインナップをすっきりとさせました。

メリダのロードバイク2018モデルの2016年からの変遷

ここまで、メリダのロードバイクの変遷を確認してきましたが、最後に2018年モデルをご紹介して、2016年からの変化を確認しておきましょう。

2018年モデルはスクルトゥーラがカーボン8機種、アルミ6機種の14機種で2016年から6機種増え、エースバイクとして存在感を増しています。

リアクトはホームページの製品欄でロードバイクのトップに出てくるように、今メリダが推したい機種というのが分かります。

カーボン8、アルミ1、2016年から4機種増え、2018年からはバーレーン・メリダにも採用されており、順調な歩みが伺えます。

そしてライドですが、カーボン1、アルミ3と2016年から7機種減となり、縮小傾向は否めません。

先述通り、チームでの採用が2017、2018年と2年連続見送られたことがこの結果になっていますが、スクルトゥーラやリアクトとは違うマイルドさは捨てがたいところなので、筆者個人的には何とか残って欲しい機種です。

ライドの縮小傾向が心配!

今回は、メリダのロードバイクの変遷を見てきました。

スポンサーを務めていたチームが変わったことにより、ラインナップにも大きな変化が見られました。

特に「ライド」の縮小傾向が見逃せないところなので、購入を検討されている方は早めがよいでしょう。