「型落ち」という言葉に馴染みの無い方も多いかと思いますが、2018年を最新モデルとした場合の2017年以前のモデル、いわゆる「旧型」のことです。
言葉の響きから少しネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、れっきとした新品で中古品ではありません。
今回はメリダのロードバイクを例に取り、型落ちの仕組みや手に入れる際の注意点などをお話ししていきます。
ロードバイクが型落ちになるメカニズム
ロードバイクは、毎年のようにモデルチェンジがあります。
しかし、素材やデザインまで変えるフルモデルチェンジは数年に一回程度、普段の年は色だったり組み合わされているパーツのちょっとした変更です。
それでも、ニューモデルと称せば付加価値が付いてそちらに注目を向けることができますし、為替などの問題で値上げをする際も、「パーツが○○から○○に変わって性能が上がった」という理由付けができるわけです。
例年ニューモデルは前年の6~7月に掛けて発表が始まり順次更新され、店頭に並び始めるのが10~11月というところです。
ニューモデルが発表された時点でそちらにユーザーの目が向いてしまうので、今年のモデルは型落ち路線を歩み始めます。
そのため、メーカー側も販売店も、ニューモデルの発表から店頭販売までの3~4か月の間に旧モデルの在庫を処分したいわけです。
そうなると手段は当然のことながら値下げしかありませんので、定価よりも安い価格で販売されます。
販売台数が世界第2位とも言われているメリダのような大メーカーは、販売店も多いのでなおさら型落ちが多くなる可能性が高いです。
メリダのロードバイクを安く購入できる!型落ちロードバイクのメリット
それではここから、型落ちロードバイクのメリット、デメリットについてお話ししていきます。
まずメリットですが、これは何と言っても定価よりも安価に購入できるという点に尽きます。
スポーツバイクは店頭で定価での対面販売が基本とされているため、通販も行われないことが多いようです。
また、通販で販売されるとしても、正式な商品は、店頭で受け取りを行うことになることが多いでしょう。
安いものでも10万円前後というロードバイクでは、価格が一つのネックでもありますから、少しでも安く購入できるチャンスは逃したくないものです。
また、ニューモデルは前項でお話ししたように、色やパーツの仕様が変わる程度のことが多いです。
そのため、型落ちと言ってもスケールダウンしているわけではないので、何の見劣りもないです。
例年の傾向ですが、値引きが始まるのは8月の上旬からで、最初は10%オフくらいからスタートし、本格的に処分に入りたい秋口ごろから20、30%と値引き率が大きくなっていきます。
2018年の初め(1月)だったと思いますが、筆者がたまたま立ち寄ったサイクルチェーンで、メリダの「スクルトゥーラ」の2017年モデルのいくつかの機種が、40%オフに届こうかという価格で販売されていました。
これだけの値引き率ですと、例えば定価との差額でホイールやサドルをよいものにしようなどの考えも出てきますから、性能面の向上も望めます。
メリダだからこそ起こる!型落ちロードバイクのデメリット
続きまして型落ちロードバイクのデメリットについて考えてみましょう。
メリダのような大メーカーになるとロードバイクにしても種類が多いので、売れ筋が限られてきます。
そのため、型落ちはいわば「売れ残り」ですから、売れ筋以外のモデルが多くなるのは致し方ありません。
したがって、型落ちは機種にこだわりがある方にとっては厳しいものになるかもしれません。
また、売れ残りという性格上、サイズや色の選択肢は少ないと考えておかなければなりません。
ロードバイクは大小に関わらず、サイズが合わないものに乗るほど不幸なことはありません。
パーツのさじ加減である程度までは何とかなりますが、根本的な部分はフレームサイズが握っていますので、ロードバイクはサイズ合わせありきで購入するものです。
また、色も軽く見ていると痛い目にあいます。
筆者がそうでした。
型落ちの場合、好みではない色でも、サイズが合えば買うという可能性は少なくありません。
しかし、好みの色ではないと愛着が湧きにくいので、徐々に「この色のロードバイクを人に見せたくない」「眺めていてため息をついてしまう」など、所有欲が低下してきます。
そうなると、せっかく安い価格で購入してもすぐに手放すことになり、中長期的なコスパが大変に悪いことになってしまいます。
105搭載ロードバイクが型落ちになる可能性が高い!メリダの2018モデル
ここまで型落ちロードバイクのメリット、デメリットを考えてきましたが、デメリットはクリアできる可能性があるものなので、定価よりも安く購入できる型落ちを狙うという戦略も大いにありです。
特に2018年モデルは、型落ちに堀だしものが出てくる可能性が高いと予測されています。
ロードバイクの完成車には「コンポ」という、駆動系やブレーキなどのパーツをひとまとめにしたシリーズを搭載するという考え方があります。
そのコンポの中でもミドルグレードからエントリーグレードまで幅広く採用されているのが、「シマノ・105」です。
メリダの完成車でも約半数がメインコンポを105としており、性能と価格のバランスから人気の中心と言えるコンポです。
その105が2018年にフルモデルチェンジを果たし、型番が「R7000」に生まれ変わりました。
そのため、2019年モデルのロードバイクには、この新しい105を搭載したモデルが多くなると予測されます。
そうなると、新しい105をユーザーさんが求めるのは必至なので、2018年モデルは例年以上に型落ちになるでしょうし、値引き率も大きくなる可能性が高いです。
2018年8月の情報で、メリダの105搭載の人気モデル「スクルトゥーラ700」が早くも10%オフになっている店舗がありました。
今後もこのような人気モデルでさえ2018モデルは型落ちが考えられますので、積極的に狙ってみるのも手です。
フルモデルチェンジを控えたモデルを狙う手もある
前項では2018年モデルに限った話になりますが、ロードバイク自体がフルモデルチェンジを控えた年も型落ちが多くなります。
メリダの2019年モデルは最初のプレスリリースの時点(2018年7月末)では、ロードバイクのどのシリーズにも大きなモデルチェンジはないと言われています。
ただ、新しい「シクロクロス」車がリリースされるという情報がありますので、現行のシクロクロスが多く型落ちになる可能性はあります。
2018年モデルの話ですが、カーボンフレームの素材や空力性能が見直され、2018年が大規模なモデルチェンジイヤーとなった「リアクト」は、型落ちが多く発生したと聞いています。
こういった、フルモデルチェンジイヤーを踏まえますと、思わぬ堀だしものに当たる可能性は高くなります。
型落ちロードバイクを購入する際の注意点
最後に型落ちロードバイクのメリット、デメリットを踏まえ、購入の際の注意点をまとめておきます。
まず意中のモデルがある場合は、型落ちはおすすめできません。
今回お伝えした105などの特殊な要件があれば別ですが、型落ちは毎年必ず発生するものではないですし、自宅近くの店舗に出るとは限りません。
そのため、型落ちを当てにしているといつまで経っても購入できないことになり、旬を逃してしまいます。
メリダは、2018年のツール・ド・フランスでスポンサーを務める「バーレーン・メリダ」がチーム総合2位に食い込んだこともあり、今が正に旬として大きく注目を集めています。
また、サイズや色の問題は無視できませんので、無理はくれぐれもしないことです。
型落ちで値引きがされているとはいえ、ロードバイクは決して安い買い物ではありませんので、妥協は大きな後悔に繋がります。
悪い言い方をすれば、型落ちはメーカーや販売店の「都合」ですから、踊らされないという心構えも必要かと思います。
価格だけで飛びついてはいけない!
今回は、型落ちのロードバイクについて考えてみました。
高額であるロードバイクを定価の何割引きかで購入できるメリットは大きいですが、本文でお伝えした相応のデメリットもよく考えて検討してください。
今回お伝えした情報が、皆さんの後悔の少ないロードバイク選びに繋がれば幸いです。