ロードバイクには、乗り手の用途に合わせてモデルを選べるようになっています。
今回の主役であるメリダ「ライド」シリーズは、ヨーロッパの石畳レース用に開発されたエンデュランスモデルで、衝撃吸収性に長けたロングライド向きのロードバイクです。
中でも「3000」はライドシリーズ唯一のカーボンフレームで、発売当初コスパの高さが話題になった記憶があります。
今回はそんなメリダのライド・3000をご紹介します。
メリダ・ライド3000はエンデュランスモデル
今回の主役であるメリダの「ライド3000」は、冒頭でもお話ししたようにエンデュランスモデルに分類されます。
エンデュランスモデルは、「パリ~ルーベ」や「ロンド・ファン・フラーンデレン」といったヨーロッパの石畳レース向けに開発されたモデルです。
石畳やダートのコースが連続しますので、スピードよりも地面からの突き上げをいなすことや、いかに衝撃を吸収できるかが優先されます。
また、車体を安定させなければいけませんし、視界が広く開けていないと危険ですので、一般的なレーシングバイクに比べると上体を起こしたアップライドな乗車姿勢になります。
こういった性質があるので、石畳レースとは無関係の一般ユーザー向けには、長距離向きのロードバイクという認識がされます。
衝撃吸収性に長けているということは、長く走っても身体に疲労を残さないことになりますし、アップライドな姿勢も身体には優しいのでやはりダメージが蓄積されにくくなります。
また、深い前傾姿勢は経験が浅い方には難しいですし、脚力が付いていない内に硬いレーシングバイクに乗っても脚に負担が掛かるだけで面白みがありません。
ということも考慮され、エンデュランスモデルは初心者の方の最初の一台に選ばれることも多くなります。
メリダのロードバイクのラインナップ
メリダのライドシリーズは、前項でお伝えしたようにエンデュランスモデルのカテゴリーに入ります。
今のロードバイクメーカーの基本的なラインナップは、レースにおいて平地でも山でも使用できる総合レーシングモデル。
そして空力性能をきわめ、スピードに特化したエアロロード、最後にエンデュランスモデル、この3種類が柱になります。
メリダでは、総合レーシングモデルが「スクルトゥーラ」、エアロロードが「リアクト」、エンデュランスモデルが「ライド」となります。
それぞれのモデルにフレームの素材や組み合わされているパーツによってグレード分けがされており、プロチームに提供されているフレームは、完成車にすると100万円を超えるようなものもあります。
それは他のプロに機材を提供しているメーカーも同様ですが、メリダは一般市場向けの製品はかなり安価なものが多いです。
今回の主役ライド3000はフルカーボンフレームで約22万円(税込)、他メーカーにはあまり見られない価格です。
しかも、プロが使用する素材とは違いますが、「CF2」という非常に高評価を受けているカーボン素材を使用していますので、コスパの高さもお墨付きというところです。
メリダ・ライド3000のスペック
それでは、ここからメリダのライド・3000について詳しくお話ししていきます。
まず2018年モデルのスペックからご紹介します。
コンポは、シマノ・ティアグラで、リア10速になります。
ロードバイク熟練者の方は「10速?」と思われるかもしれませんが、現在のライドはレースを想定されていないのでティアグラに落ち着いたものと考えられます。
ティアグラはシマノのコンポの中では「中の下」辺りのグレードですが、シビアなスピードコントロールを要求されないモデルには必要十分なコンポです。
型番が4700にバージョンアップしてからの評価も上々なので、レースを目指さないのであれば、否定する理由はどこにもないコンポです。
しかも、他のメーカーのコンポが混じらない、シマノ・ティアグラのフルコンポですから連動性も抜群です。
その他のパーツについてはメリダのオリジナルが多いのでレベルは不明ですが、ホイールだけは早めの交換を考えた方がよさそうです。
この価格の完成車ではホイールの品質を求めるのは難しく、バイクに慣れてくると不満が出てくるレベルです。
ライド3000は20万円台前半のフルカーボンフレームですから、ホイールの交換費用を温存できたと考えることもできます。
メリダ・ライド3000のインプレ
続いては、メリダ・ライド3000のインプレや使用感についてのお話になります。
インプレではやはり機種のコンセプト通り、乗り心地のよさや快適性を伝えるものが多くなります。
しかも、ライド3000の凄いところは、サスペンションやショックアブソーバー的な機能を搭載しておらず、フレーム形状と素材の質だけで衝撃吸収性を高めています。
特殊な機能がないからこそ安価に提供できるのであり、それでいて衝撃吸収性に劣ったところがないのですから文句なしですね。
筆者も試乗会で乗ったことがあり、そのコースが川べりの少し荒れたコースでしたが、振動が伝わって来ないというのが印象的でした。
筆者はプロのような剛脚ではないですが、少しペダルを踏み込んだパワーがフレームに吸収され過ぎてしまう感覚がありましたので、レース向きではないかもしれません。
しかし、ある程度のスピードで長距離を流すような走り方には最適で、扱いやすい車体でもあるので初心者の方もハードルの高さを過剰に感じることなく入っていけるはずです。
その他のライドシリーズのラインナップ
ここまではメリダのライド・3000についてお話ししてきましたが、ライドにはアルミフレーム車もあります。
リア11速のシマノ・105、フルクラム製のホイール搭載で17万円前後というコスパ抜群の「400」、400を基本に小柄な人向けの専用設計モデルの「410」です。
そして、10万円を切るメリダのロードバイクで最安値である「80」があります。
今は各メーカーともにアルミの成形技術が向上しており、カーボン並みの美しい見た目と、性能の高さがあります。
ライドのアルミフレームも、コンパクトな後ろ三角で衝撃吸収性を高め、ヘッドチューブは各所の厚さを変える「バテッド」の技術を導入して剛性を上手くコントロールしています。
特に400は上記のようにコスパの高いモデルなので、アルミ好きには自信を持っておすすめしたいものです。
しかし、あくまでも乗り心地を重視したいという方は、あと5万円ほど高くなっても奮発して3000にすることをおすすめします。
アルミとカーボンでは衝撃吸収性において決定的な差がありますので、どんなにアルミの成形技術が高くてもカーボンの乗り心地にはかないません。
反応のよさや、全体的な扱いやすさなど、アルミにはアルミのメリットがありますが、乗り心地においてはカーボンに軍配が上がります。
メリダ・ライドの購入は急ぎたい!
今回はメリダのライドシリーズについて3000を中心に確認してきましたが、少し気になる点があります。
それはラインナップの縮小で、カーボンフレームは今回お伝えした3000のみで、しかもリア10速になりました。
410は400の小さいサイズ版ですから、2018モデルのライドは実質3種類しかラインナップされていないことになります。
メリダが初めてワールドツアーのプロチームに機材を提供した「ランプレ・メリダ」時代には、100万円を超えるチーム仕様のものや、グラベルロードに近いモデルもありました。
しかし、「サイレックス」という新モデルができグラベルに近いものはそちらに統合され、チームが「バーレーン・メリダ」に代わってからは、レースに投入されている気配がありません。
なにより、メリダの本拠地である台湾のサイトでは、「ライド」がラインナップから外れています。
したがって、日本での先行きは分かりませんが、ライドに興味を持たれた方は早めに動いたほうがよさそうです。
ライド3000は長く付き合っていきたいバイク
今回は、メリダのエンデュランスロードバイク「ライド3000」をご紹介しました。
フルカーボンフレームとしては中々のコスパの高さで、特にロングライドを楽しみたいという志向の方におすすめしたい一台です。
また、ホイールなどをカスタムしながら仕上げていく楽しみも残っているので、長く付き合っていけそうなのもよいです。