メリダのスクルトゥーラ5000は、カーボンフレームの中ではミドルグレードよりも少し下という位置付けです。
スクルトゥーラはツール・ド・フランスも走る「バーレーン・メリダ」のメインバイクであり、下位グレードに至るまでそのコンセプトは引き継がれています。
今回はそんなメリダ・スクルトゥーラ5000についてお話ししていきます。
メリダの飛躍を支える「スクルトゥーラ」
メリダは自転車大国台湾では「ジャイアント」に次ぐ販売台数を誇るメーカーで、ロードバイクとMTBにおいて、世界的なチームに機材を提供しています。
MTBにおいては、世界選手権を5度制した女王「ガン・リタ・ダール」の愛機として有名で、彼女は40歳を超えた今でもメリダのMTBに乗り世界で戦っています。
ロードレースにおいてはMTBより後発ですが、2013年にワールドツアーを戦うチームに初めて機材を提供しました。
2017年から「バーレーン・メリダサイクリングチーム」に機材を提供し、2018年のツール・ド・フランスではチーム総合2位となり、今後の飛躍を感じさせる大活躍を見せました。
そのワールドツアーに初参戦した際の機体が「スクルトゥーラ」であり、メリダのエースロードバイクです。
平坦も山もこなすオールラウンダータイプのレーシングバイクですので、用途も広く乗り手を問わない汎用性の高さも魅力です。
今回の主役は「5000」で、カーボンとアルミを合わせれば中堅モデルですが、カーボンフレームでは下から2番目のグレードになります。
メリダ・スクルトゥーラシリーズのラインナップ
スクルトゥーラのカーボンフレーム車は2018年モデルでは、8機種がラインナップされています。
最高峰のプロ仕様モデルは「TEAM-E」で、メリダ最高グレードのカーボンフレーム「CF4」に、シマノ・デュラエースの電動変速Di2に、フルクラムの高級カーボンホイールが配されています。
夢のような組み合わせですが、当然ながら価格も100万円を軽く超えるようなもので、おいそれと手が届くようなものではないかと思います。
しかし、そういったものが手に入れられる可能性があるというのが、ロードバイクの一つの醍醐味でもあります。
ラインナップはここから徐々に組み合わせるパーツのグレードが下がっていきますが、8000と6000はチーム仕様と同じCF4のフレームになります。
8000は約70万円でコンポとホイールのグレードが少し下がります。
その下の6000になると、約40万円になってきますので、大分現実味を帯びてきます。
そして、今回の主役5000がその下にくるわけですが、ここからフレームが「CF2」になります。
筆者は上位モデルに乗ったことが無いので実際の違いは明確ではないですが、プロ仕様は脚力に合わせて剛性が高い仕上がりになっていることが多いです。
しかし、5000は明らかにホビーライダーを意識した仕様なので、少し剛性が抑えられてはいます。
実際にショップが行っているテストライダーのインプレを見ても、プロ仕様よりもフレームにしなりがあるという評価になっています。
メリダ・スクルトゥーラ5000のフレーム
それではここで、メリダ・スクルトゥーラ5000のスペックを確認しておきましょう。
フルカーボンフレームで、形状はやはりプロチーム仕様と変わりませんので、レーシーなジオメトリになっています。
トップチューブが長めですし、ヘッドチューブの角度もかなり立ち気味なので、ポジション出しをしない初期の状態で跨るとかなりの前傾姿勢に驚くレベルかもしれません。
後三角を形成するチェーンステー長も408㎜ですから、紛れの無いレース仕様です。
筆者も同じCF2の「4000」も含めて何度か試乗しましたが、このクラスのカーボンフレームにしては非常に反応が鋭く、踏み応えのある硬めのフレームと感じました。
そうなると反面少し衝撃吸収性は犠牲になるので、コツコツとした細かい地面からの振動を拾ってしまう感覚があります。
それでも、ハンドルが過敏に反応しすぎるようなことはありませんし、レース仕様よりしなりがあるということは、乗り心地もやさしめなので、経験が浅い方が持て余してしまうということはないはずです。
メリダ・スクルトゥーラ5000のパーツスペック
メリダ・スクルトゥーラ5000のスペックを確認していますが、次は組み合わされているパーツをご紹介します。
メインコンポは、シマノのセカンドグレード「アルテグラ」になります。
ただし、フルコンポではなく、アルテグラが採用されているのは、前後のディレイラーとSTIレバーになります。
これは、変速はアルテグラが行うという意味なので、シマノの中でも数段レベルが上がると言われている変速性能には十分期待が持てます。
しかし、クランクとブレーキがアルテグラより1.5ランク程度下がるシマノのノングレード品となります。
ノングレードと言ってもシマノには変わりないのでさらっと流してもよいのですが、コストダウンの対象になっているのは事実です。
また、ホイールですが、メリダの手組みと思われます。(情報が少ないです)
普通にサイクリングしている分には問題ありませんが、レースを目指すようになったり、ロングライドをしたいとなってくると物足りないレベルかもしれません。
他のパーツに関してもメリダのオリジナルですが、筆者の試乗経験や、インプレを見る限り目立った不満はありません。
重量は50サイズ(適応身長165㎝~175㎝)で8.0㎏、価格は税込みで258,120円となります。(いずれも2018年モデルの数字になります)
スクルトゥーラ「5000」と「4000」の比較
さて、ここからは筆者の独断で、メリダ・スクルトゥーラ5000の一つ下のグレードである、4000との比較をしていきます。
フレームは4000も「CF2」、クランクを支持するBB(ボトムブラケット)も同じ規格なので、両者は全く同じフレームになります。
そのため、約4万円の価格差は、組み合わされているパーツのグレード差ということになります。
そして、パーツでも違うのはコンポとタイヤだけで、ホイールや、その他のパーツは同じ物が使用されています。
4000のコンポは、前後のディレイラーとSTIレバーが「シマノ・105」で、これはアルテグラよりもワングレード下になります。
また、4000はクランクがシマノではなく、FSAの「ゴッサマー」という製品になります。
その他、リアギアの歯車であるスプロケットとブレーキは5000と同じ物になります。
なお、タイヤはメーカーが違うのでレベルの比較が難しいですが、価格は同程度なので、著しい差はないものと考えておきます。
スクルトゥーラで5000と4000ならどちらが買いか?
前項では、メリダ・スクルトゥーラ5000の比較対象とする「4000」のスペックをご紹介しました。
まとめますと、4000は変速系統がシマノ・105になり、クランクがFSA製のゴッサマーになります。
フレームとその他のパーツは変わりませんので、比較は上記の条件のみになります。
それではどちらがよいのかという判断になりますが、筆者は4000を選びます。
105とアルテグラの変速性能は少し差を感じますが、これはフロントだけの話であり、リアはほとんど差がありません。
フロントは2速しかありませんので、ディレイラーの移動幅が大きくなります。
そのため、性能が低いと相当大きなアクションになり、特にインナー(軽い)からアウター(重い)に引き上げる際に差を感じることがあります。
ただし、この差はクランクのチェーンリング(ギア)の剛性によるところが大きく、変速の際に掛かる力でチェーンリングがたわむかどうかがポイントです。
そのため、これはクランクを比較することになりますので、そうなると105とアルテグラではなく、シマノのノングレード(5000)とFSAのゴッサマー(4000)との比較になります。
そして、この両者の比較ですが、「ほぼ変わらない」というのが筆者の経験からの判断になります。
それならば、安価な4000の方を選び、差額分を自分がしたいカスタム費用に充てた方がよいということになります。
5000と4000の差額は約4万円ですが、もうあと1~2万円投資すればそこそこよいレベルのホイールが手に入ります。
ホイールはコンポに比べレベルを上げた時の体感が分かりやすく効果も大きいので、差額をホイール交換の費用にするという考え方を推奨します。
フレームは秀逸!ただし5000の必要があるかどうかは要検討
今回はメリダのエースロードバイク「スクルトゥーラ」シリーズから、「5000」を中心にお話ししました。
これからレース参戦を考えている方には期待に応えてくれるフレームで、加速力やパワーはグレードからは想像できないものがあるはずです。
ただし、組み合わされているパーツからすると、同じフレームでありながら少し安価な4000がおすすめで、その差額をホイールのカスタム費用と考える方が、将来的には幸せになれそうです。