スポーツバイクの購入を考える場合、どのメーカーを選ぶかが重要な要素になります。
世界には数えきれないほどの自転車メーカーがありますので、その評価が気になるのは当然のことでもあります。
その世界的メーカーの一つが、今回の主役「スペシャライズド」です。
日本にもオフィシャルショップを構え、正規販売店もそれこそ数えきれないほどの数を誇るマンモスメーカーです。
今回は、そんなスペシャライズドに迫ってみます。
スペシャライズドの自転車メーカーとしての総合評価
スペシャライズドは1974年の創設ですので、ヨーロッパの老舗メーカー程の歴史はありませんが、アメリカではあの「トレック」と同じくらいのキャリアがあります。
今もラインナップに名を残すロードバイク「アレー」の販売開始がきっかけとなり、1981年に世界初の量産型MTB「スタンプジャンパー」で、一気に世界にその名を知らしめることになります。
創業当時から革新的なもの作りで名を馳せてきましたが、それが時にマイナス方向に働くこともあり、倒産寸前まで追い込まれたこともあります。
また、小さな個人商店を相手取り、命名権を巡って訴訟を起こすようなプライドの高さもあるので、自転車の善し悪しとは関係のないところで、評価を落とすこともあります。
プロレースでは2000年に初めてツール・ド・フランスに出場して、いきなりチームを総合2位に導きました。
その後も活躍は続き、2017年では世界初のディスクブレーキ搭載車のステージ優勝も果たし、ステージ最多勝も達成しています。
今やロードレースの世界では、ゆるぎない地位を得たとまで評価されるメーカーになりました。
また、創設者が腰痛に悩まされていたこともあり、身体に自転車をフィットさせることに情熱を注いでおり、正規販売店では自社以外のバイクでもフィッティングしてもらえます。(有料)
スペシャライズドの自転車の特徴
スペシャライズドの扱う自転車はロードバイク、MTB、クロスバイクで、現在の主力はロードバイクです。
全体的にレース色が濃く、カーボンフレーム車が圧倒的に多くなっています。
また、女性モデルも多数取り揃えており、単に男性用を小さくしただけでなく、設計段階から女性モデル専属スタッフが、女性からの意見のフィードバックを受けた上で、ものづくりを行っています。
筆者も訪れて感じましたが、オフィシャルショップに女性店員さんが多いのも、女性サイクリストを大切にしている証かと思われます。
完成車以外にも、サドルやハンドルなど身体に直接触れる部分のパーツはかなり高評価を受けています。
特にサドルの評判のよさは群を抜いており、筆者の周りにも他メーカのバイクにスペシャライズドのサドルという組み合わせのライダーをよく見ます。
ちなみに、世界で初めてサドルに穴を開けたのはスペシャライズドです。
スペシャライズドのロードバイクはレース向きという評価が圧倒的!
それではここから、スペシャライズドの自転車についてジャンル別に評価を見ていきましょう。
まずロードバイクですが、こちらは先ほども触れましたが、今や世界トップクラスの成績を残すメーカーですので、レース向きという評価が圧倒的です。
総合レーシングバイク「ターマック」、エアロロード「ヴェンジ」、エンデュランスモデルの「ルーベ」がカーボン車の代表です。
そして、最も歴史の古い「アレー」は、アルミフレームの一大総合モデルとなっています。
今ではどのメーカーにもラインナップされているエアロロードにいち早く着手しており、2011年段階でヴェンジが既にツール・ド・フランスでステージ5勝を挙げています。
2016年にモデルチェンジされた「ヴェンジ・ViAS」は、究極の空力性能を搭載し「モンスターマシン」との評価もあるほどです。
レース機材である「S-Works」モデルが、2017年のツールでステージ7勝と順調な結果を残しており、ますますスペシャライズドの評価を上げるに至っています。
アルミロードに上位グレードの技術を投入する姿勢が高評価
前項でお伝えしたように、スペシャライズドのロードバイクはレース志向が強い方向きです。
それは、アルミフレームである「アレー」にも表れています。
他のメーカーではあまり見られない、アルミのエアロロードがあったり、そのままでレースに出られるのではないか、というスペックのバイクもあります。
また、アレーが高評価を受けている一因に、ラインナップの中では価格的に末端に位置するアルミフレームにも、プロ仕様のS-Worksの技術やパーツを投入することが挙げられます。
そのため、将来レースを目指してロードバイクを始める方には、最初の一台として最適のモデルになる可能性が高いです。
こういったレース志向の強い自転車メーカーは、走行性能に特化させているので「本格志向」のメーカーなどとも呼ばれます。
スペシャライズドはロードバイクのみならず、クロスバイクにもその姿勢が表れています。
以前からどちらかといえば、ママチャリ色が薄くスポーツ性の高いクロスバイクが得意ではありましたが、近年はその傾向が顕著です。
ターゲットを完全に二極化していると思われるので、街乗り車としてのクロスバイクらしい手ごろさを残すモデルもあります。
しかし、ロードバイク並みの重いギアにディスクブレーキ、軽量フレームにカーボンフォークという、どう見ても「ツーリングで100㎞、200㎞走ります」的なモデルが多くなっています。
スペシャライズドのMTBの特徴
冒頭でもお話したように、スペシャライズドはMTBでその名を世界にとどろかせたメーカーですから、今でもMTBは主力機種の一つです。
礎となった「スタンプジャンパー」を始めとする本格的なクロスカントリーモデルから、街乗りにも対応できるトレイルバイクまで、幅広いラインナップになっています。
中でも特徴的なのは、他の自転車メーカーではめっきり少なくなった29インチ車を、今でも多く有している点です。
29インチのMTBは、スピードや快適性が受けて、2000年代半ばまでは一世を風靡した主流モデルでした。
しかし、その後レースを中心にスピードと小回り性を兼ね備えた27.5インチ(650B)が台頭し高評価を受けたので、29インチは下火になっていきました。
しかし、29インチは「29er」という特別な呼称もあるくらいこだわりを持っている方も多いので、そのニーズに応えているのがスペシャライズドです。
多くのモデルで27.5インチと29インチを共存させており、このこだわりに対する評価が高く、依然として29erも好調に推移していると聞きます。
スペシャライズドの自転車全体の評価
ここまでお伝えしてきたように、スペシャライズドはロードバイクではレース、MTBでは29er、クロスバイクではスポーツ性と、自転車に強いこだわりを持っているメーカーです。
そのため、価格面からするとリーズナブルという評価は少なく、コスパも価格相応という評価が大半を占めます。
また、本格志向のため、経験の浅いライダーさんからは「扱いにくい」という声が聞かれるることもあります。
しかし、慣れてくれば評価も変化してきますし、真骨頂である身体とのフィット感の素晴らしさも分かってくれば、楽しくなってくるバイクが多いです。
スペシャライズドは社訓が「Innovate or Die(革新を、さもなくば死を)」というもので、常に最先端の技術革新を追い求めています。
もちろんそれは現在も変わらず、例えばターマックなどは近年めまぐるしくジオメトリの見直しが行われています。
そのため、現在は三世代の形状が混在する形となり、見方によっては試行錯誤中という評価になりますが、よりよいものを求める姿勢とも受け取れます。
次年度モデルも発表される時期に差し掛かってきましたので、2019モデルのスペシャライズドが楽しみですね。
スペシャライズドはとにかくこだわりが強い!
今回はスペシャライズドの自転車が、世間でどんな評価を受けているのかを確認しました。
筆者の持つイメージ以上にこだわりが強く、本格的なスポーツバイクメーカーという印象でした。
特に近年のロードレースにおける輝かしい成績が示すように、ロードバイクの革新は凄まじいものがありますので、レース志向の強い方に満足してもらえるラインナップになっていますね。