世界でもトップクラスの販売台数を誇るtrekのロードバイクは、その汎用性の高さから様々な評価、評判があります。
有名メーカーの宿命ではありますが、賛辞あり、酷評ありで、「一体何を信じていいの?」という状態です。
そこで今回は、trekのロードバイクについての評価を確認しながら、実態に迫ってみましょう。
trekのロードバイク全般の評価は?
ロードバイクはレース機材であるため、レースの結果によって評価が変わってしまうことがあります。
trekは近年のグランツールでは芳しい成績を収められていませんので、よくない評価を受けている向きが見られます。
しかし、これについては、単にレース向きのガチガチの硬さのロードバイクが少ないからという意見もあり、レース志向の薄いホビーライダーには気にならないことでもあります。
ロードバイクがレースの機材として高嶺の花だった時代はとうの昔に過ぎ去り、今では末端まで裾野が広がり、趣味の自転車としてすっかり定着しています。
そのため、trekのように世界90か国での販売実績があるような大メーカーになれば、我々のようなホビーライダーを強く意識したモノつくりになるのは至極当然です。
それを物語るのは、trekの最近のロードバイクは、「乗り心地のよさ」を評価する声が圧倒的に多いです。
バリバリのレースモデルである「Madone(マドン)」までが、マイルドな乗り心地と評されています。
それをどう受け止めるかで評価は分かれますし、評価はあくまでも主観ですから、分かれて当然なんですね。
trekのロードバイクの技術力の評価は高い!
trekは以前から革新的な技術力、特に開発力が高い評価を受けています。
独自開発の「OCLV」カーボンなどは、難しい技術までは公表していませんが、「Emonda(エモンダ)」シリーズの驚異的とも言える軽さは、この技術なくしてはあり得ません。
また、エンデュランスモデル「Domane(ドマーネ)」に採用されている「ISO SPEED」テクノロジーは、「なぜこんなことができるのか?」と唸らされてしまいます。
ロードバイクのフレームは1本1本のチューブの集合体ですから、当然繋がっているわけですが、ISO SPEEDは繋がっていません。
フレームのサドルの下のチューブ(シートチューブ)が一番上のチューブ(トップチューブ)と繋がっておらず、独立して前後に動くようになっています。
そのため、地面からの振動を簡単にいなしてくれるので、衝撃の伝わりが本当に少ないです。
エンデュランスモデルはヨーロッパで人気の石畳の上のコースを走るレース用に開発されている物なので、衝撃吸収性が重視されるのは当然です。
しかし、レースで使用されることがまず無いと思われる、10万円台のアルミフレーム車までにこの技術を搭載するのが、trekの真摯な姿勢かと思います。
trekのロードバイクのビジュアル面の評価は?
前項ではtrekのロードバイクの革新的な技術の一部をご紹介しましたが、反面ビジュアルに関してはシンプルでオーソドックスなので、面白みに欠けるという評価が多いです。
trekは昔から「見た目よりも中身で勝負」的なメーカーであり、「質実剛健」という言葉でも表現されるほどです。
ボディカラーも差し色を最低限に抑えた単色が多く、黒やグレーを基調とした渋めの配色になっています。
ロードバイクには、「デザインが奇抜で見た目は派手くらいで丁度よい」という考え方が根付いている風潮があります。
確かに嗜好品であるロードバイクには所有欲を満たす意味で、人に誇示する部分が欲しいのも事実です。
いくら性能の凄さを説明したところで、第一印象が悪ければ中々評価は上がりづらいですからね。
もちろん、「シンプルイズベスト」という言葉もありますので、悪いと言っているわけではありません。
しかし、こういう評価もあるということは、今後の参考にして頂きたいところです。
trekのロードバイク「Emonda(エモンダ)」シリーズの評価
では、ここからはtrekのロードバイクについて、個別のモデルがどのような評価を受けているのかをご紹介します。
trekのロードバイクのベースは、「Emonda(エモンダ)」「Domane(ドマーネ)」「Madone(マドン)」3シリーズです。
それぞれにフレーム素材と組み合わされるパーツによって、グレードが設定されています。
まずエモンダですが、総合レーシングバイクという位置付けから、とにかく「軽い」のが特徴です。
フラッグシップモデルの「SLR 9」は、約5.9㎏(56サイズ)と破格の数字を叩き出しています。
実はtrekはこれまでロードバイクの軽量化争いには距離を置いているメーカーでしたが、このエモンダを投入した2010年辺りから急に舵を切って争いに参戦してきました。
先述した「OCLV」カーボンの存在が大きいのは確かですが、アルミフレームでも最軽量を目指しているところに好感が持てるという評価が多いです。
特に「ALR 5」はアルミフレームのミドルグレードながら、8㎏台中盤(56サイズ)をキープしており、1500g台のホイールと200g台のタイヤに交換すれば6㎏台も狙えます。
軽量フレームは一歩間違えると剛性不足で、ロードバイクらしい軽快さや俊敏性を失いがちです。
しかし、エモンダは素材の量を各所に分散させ、剛性が必要な力が伝達される部分に集中させることでバランスを保っています。
それが、軽量なのにしっかりとペダルの踏み応えを感じられる、という評価に繋がっています。
trekのロードバイク「Domane(ドマーネ)」シリーズの評価
続いてご紹介するtrekのロードバイクは、「Domane(ドマーネ)」シリーズです。
先述した通り、「ISO SPEED」は他のメーカーでは考えられない、一歩突き抜けた技術ですので、このロードバイクの評価はそこに集約されます。
MTBのリアサスペンションにも似た感じでシートチューブが動くので、試乗段階では評価が分かれているのが見受けられます。
たわみがあり過ぎて前に進んでいかない感覚や、少し安定感を欠くという評価もありました。
もちろんメーカーが意図した通りの衝撃吸収力をたたえる評価が多いのですが、こういった意見があることも覚えておいた方がよいでしょう。
衝撃吸収性に特化した一面があるためなのか、ドマーネは少し硬めのアルミフレームの評価が高いように感じます。
特に「ALR」シリーズはISO SPEEDとのバランスで適度な剛性という評価が多く、10万円台ということもあり、プロショップのブログでおすすめされているのをよく見かけます。
trekのロードバイク「Madone(マドン)」シリーズの評価
trekのロードバイクの主流モデルの3つ目は、エアロロードの「Madone(マドン)」です。
紹介が最後になりましたが、主流モデルの中で最も歴史が古いのはこのマドンです。
2018年モデルの「マドン9」はエアロロードでありながら、何とドマーネと同じISO SPEEDを搭載しています。
「コンセプトがぶれている」という評価もありますが、それこそ「戦闘機」とも評された2~3世代前の完全プロ仕様に比べれば、乗りやすさという点の改善は見られています。
実際に試乗した方のインプレを見ると、剛性が適度でガチガチ感がないのに、踏み応えがあって力が逃げない、不思議な感覚、と伝えていました。
また、新たに投入された最低グレードでも50万円以上しますので、ハードルの高さは相変わらずですが、ホビーライダーが検討できるレベルまで来たという見方もあります。
近年のtrekのロードバイクは乗り心地が評価ポイントになっている
今回は、trekのロードバイクの評価について検証してみました。
性能や技術では評価の高さが目立ち、ビジュアルやアピール度ではやや低い評価になっていますね。
また、ガチガチのレースモデルが少なく、近年では乗り心地重視の傾向も見られますので、ロードバイク初心者の方でもなじみやすいといったところです。